戦争と倫理の葛藤
ジャン=リュック・ゴダール監督の長編第2作目は、フランスとアルジェリアの独立戦争を背景に、政治的な陰謀と個人の葛藤を描いた重厚な作品。1959年に制作されたものの、センシティブなテーマが原因で3年間の公開禁止措置を受け、1963年にようやく世に公開することができたそう。
即興的な演技やドキュメンタリー風の撮影手法。特に、主人公ブリュノの独白や哲学的な対話は、抽象的すぎるせいか情景が思い浮かばないものの、アート性は非常に高い。
ミシェル・シュボールとアンナ・カリーナの演技も本作の大きな魅力の一つ。シュボールは、使命と個人の信念との間で揺れ動くブリュノの複雑な内面を見事に表現しています。一方、カリーナは、ヴェロニカというキャラクターを通じて、戦争の狂気に対する反戦の声を力強く伝えてくる。この二人の組み合わせは良いね。
フランスとアルジェリアの独立戦争というデリケートなテーマを扱いながらも、人間の心理と倫理を鋭く探求する本作は考えさせられるものがあります。至る所で詩の引用をしているので、文学的な映画でもありました。
2024.7.21 初鑑賞