~仕組まれた“人間狩り”、過激な風刺が乱れ撃つサバイバル・ホラー~
「ザ・ハント」は、いわゆる“人間狩り”をテーマにしたサバイバル・スリラーでありながら、社会風刺を大胆に織り交ぜた異色作である。ある日、見ず知らずの人々が謎の場所へ集められ、目を覚ますと既に猟銃や罠が用意され、誰が敵かもわからないまま殺し合いに巻き込まれていく。
作品では、SNSや政治的立場の対立を揶揄するようなセリフや、ブラックユーモアが散りばめられており、過激な描写が続く中でも皮肉めいた笑いが沸き起こる。次々と意外な結末を迎えるキャラクターの多さもあり、観客は誰を信用してよいかわからないまま不穏な空気に飲み込まれる。
おすすめのシーンは、主人公と思しき人物たちがあっさり退場していく衝撃の序盤。誰もが安全ではないという凄惨なゲームの恐ろしさを、コミカルかつ血なまぐさいタッチで一気に加速させる。
風刺が強いため、真面目に観るか、荒唐無稽なパニックものとして観るかで印象が変わるが、一風変わったサバイバル映画を求める人にとっては、アクの強い娯楽作と言えるだろう。
特にアメリカの政治情報をある程度知っていると(左翼、右翼国民が信じている都市伝説あるあるetc)より風刺が理解できて面白いです。