序盤の早い段階から作品世界に引き込まれたのは、情緒感が溢れているのと、複雑な人間関係が少しずつ明かされていく過程に興味に興味惹かれたからだ。後半に明かされる秘密は予期できなかったもので、いい意味で裏切られた。
演出も私の好みで、そういう意味では当たりだった。この作品の特徴のひとつは、すべての登場人物が善人ばかりであるという点だろう。腹黒い人間がひとりもいないのに、過去と現在に不幸がある。そこがやるせないのだ。
さらに私の気を引いたのは、ミシェル・ウィリアムズの演技。役柄的に仏頂面しているシーンが多いのだが、ほんとうに演技が達者で感心させられる。暗い過去を持つこのキャラクターを見事に演じ切っていると思う。
ただ、手放しで褒めちぎることもできない。厳密に映画として考えた場合、粗いと言えるからだ。特に後半なのだが、シーンが足りていないと思うのだ。特に娘の結婚生活に関しては描写不足が甚だしい。
もし丹念に描くとしたら、2時間を大幅に超えるランタイムが必要になる。が、内容を考えるとそんなに長く観客を縛り付けてはおけない。元は北欧映画だそうだが、個人的にはドラマシリーズで観たかったと感じた。
[オリジナル音声+日本語字幕]2024/12/14 U-NEXT