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ジャンヌのshunsukehのレビュー・感想・評価

ジャンヌ(2019年製作の映画)
2.5
この映画の前段となるのが映画「ジャネット」である。大きな表現方法はこれを踏襲していた。少ない場面切り替えで、舞台演劇のように、人物が代わる代わる登場し何かを語っていく。舞台は僅かに草が茂るだけの砂地とゴシック建築の聖堂だけ。前作に比べ、ミュージカル調の音楽や踊りは抑制され、静かな心理劇になっていた。前作「ジャネット」と同様、この映画をしっかり理解するためには、フランス、西欧の歴史と、キリスト教に関する深い知識が必要なようだ。両方備えていない私には、神の啓示で行動を起こすジャンヌや、そのジャンヌを異端者として糾弾する宗教者たちへの共感や感情移入は難しい。私がこの映画を見て、考えたのは、宗教の寛容性ということ。宗教が、人々にこの世での、あるいは、あの世での救いを与えるものだとしたら、この映画だけではなく、この世界で見られる宗教の不寛容はどこから来るのか。教義の根本での対立でもあれば別だが、信じるものが違う人々は、ただ、放っておけばいいのではないか。それをそうしない理由。何らかの力の維持や拡大、多分、根本にそんなものがあって、それに教えをまぶして隠しているのではないか。そして、こうしたものに人は煽動されるのではないか。そんな気がした。
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