純度のものすごく高い、人間の感情があふれる瞬間をたくさん見た。笑顔で装って、強がって、相手を思いやっている優しい人たちの、その笑顔のほころびからあふれる感情がそのままおさめられたフィルムを観ていると、まるでこの村の人々と実際に出会ったように感じられる。人々の話し言葉が、耳にすごく心地よい。
福島第一原発から20km、震災直後は全町避難となった広野町。避難解除となったのは翌年。本作の撮影時は2017年、町の約半数の人が原発事故後の廃炉や除染に従事している。
人々の日常を挟みながら、「復興」について問いかける舞台を作り上げていく高校演劇部の様子を追っていて、悩みながらぶつかりながら、ひとつの舞台を作り上げていく様子には胸が熱くなる。
「本当の復興ってなんだろう?」という問い。
答えをみつけられない私には、その問いかけだけが心に残った。
いつもはドキュメンタリーには点数はつけてないんですが、心揺さぶられ、考えさせられ、勇気をくれ、しかもくすっと笑わせてくれる素晴らしい作品。満点です。