~眠れぬ男の痩せこけた影、現実とかすむ悪夢の境界~
クリスチャン・ベールの痛々しい姿は見てらえないけど目が離せない。。
「マシニスト」は、クリスチャン・ベールが常軌を逸した減量を敢行し、激ヤセした姿で挑んだサイコスリラーである。主人公トレバーは、不眠症に苦しみ、一年間まったく眠れないという極限状態に陥っている。彼の周囲では不可解な出来事が頻発し、怪しげな男の存在がちらつき始める。
映像は全体的に青白く陰鬱で、トレバーの精神を映すような寒々しい空気が漂う。見る者は、何が現実で何が幻想なのか、彼の視点で揺さぶられながら物語を追うことになる。
おすすめのシーンは、トレバーが自分の部屋で謎のメモを見つけ、徐々に追いつめられていくくだり。淡々とした日常描写の中に突然差し込まれる不安の演出が、ゾッとする怖さを生む。気味の悪いほど鋭利なクリスチャン・ベールの演技を堪能できる、心理的ホラーの佳作だ。