幽斎

オールド・ガードの幽斎のレビュー・感想・評価

オールド・ガード(2020年製作の映画)
3.8
恒例のシリーズ時系列
2020年 3.8 The Old Guard 本作
2025年 The Old Guard 2 続編、制作中

原作「The Old Guard」は「スーパーマン」「ワンダーウーマン」等のアメリカンコミックライターで小説家Greg Ruckaのオリジナル。レビューが前後するが「ハート・オブ・ストーン」彼の脚本。まぁ、Netflixは金払い良いからね(笑)。私はアメコミがベタ過ぎて苦手ですが、彼は権威有るアイズナー賞を何度も受賞する実力者。主演はオスカー俳優、セレブリティ、ハリウッドスターCharlize Theron 49歳。Netflix映画。

既に2児の母、プロデューサーに介在しないと出演しない(自分のヤリたい様にヤリたい派)。南アフリカ共和国出身、一家は幼い頃からアルコール依存症の父親の家庭内暴力に悩まされ、娘Charlizeの命の危険を感じた母親が父親を射殺、壮絶な家庭で育つ。ソノ影響かレビュー済「スキャンダル」の様に自立した女性を演じる事も多く、ギャップも激しく痩せたりヴィジュアルを毀損する役も喜んで演じるプロ根性はハリウッドでも一目置かれる存在に。Vitalityと言う形容がコレ程似合う女性を私は知らない。

アメリカでOlder Sister、姉御の今回は「アトミック・ブロンド」超えた不死身の女。私は小声で「また不死身だよ、アメコミってよく飽きないね」(笑)。プロットは何処からドウみても「デッドプール」そのまんま。Theronを無敵にすると年齢はソコソコ逝ってるがヴィジュアルと合せオーバースペックにも程が有る。彼女が設立Denver and Delilah Productionsと、メジャーParamountを買収する話題で持ち切りのSkydanceの大作並みの布陣。2020年製作、此の頃はNetflixも景気が良かった。

脚本をTheronが気に入らず書き直させ(プロデューサー兼主演は偉い!(笑)。再考した脚本も不採用でGreg Ruckaは一旦解雇。Theronお墨付きの脚本は、今度はNetflixが首を縦に振らず、最初の脚本を双方で妥結した。原作はQuynhの役は本来は日本人のノリコだが、Veronica Ngoが日本人を演じる事を嫌い、自国のベトナムに変更された。

【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】

私の専門はミステリー、殺人事件で誰か必ず死ぬ。アメコミが苦手なのは「結局、主人公は死なない」結末が見える。つまり、死んでも蘇る無限ループの何が面白いんだ派。ソコは手練手管のGreg Rucka、観客の飽きをディレイさせる。アクション映画の基本は「死ぬかもしれない」緊張感がパースペクティブ、最年長Theronと次世代Veronica Ngoとの壮絶な葛藤。溺死ループを見せる事で生き地獄「死なない事は寧ろ怖い」簡単に観客にイメージを植え付ける。パッと見おバカ映画に見えるが、裏では相当練り込まれてる。

Theron推薦の黒人女性Gina Prince-Bythewood監督は、本作の「デッドプール化」防ぐ為に銃では無く「斧」トッピングして戦わせる。アクションもPlayStationのゲーム感覚で格闘とは違うコンバットスタイルと丁寧な構成で、観客を飽きさせない。豪快な斧は原作と同じデザイン。原作の情報はアメコミ好きの友人の受け売り(笑)。御長寿のアンディの本名はAndromachē、ギリシャ神話の悲運の女性の代表格。

もう一つの「デッドプール化」防ぐ手立てがTheronの無力化。不死身の要素が消え、俄然Theronを守るチームプレイへ変化。ソモソモ論で何もしなくてもTheronは強い(笑)。アクションのインフレを抑える効果がサスペンスを引き出す展開はベタだが上手いタクティクス。批評家から酷評された様に、ラスボスが弱すぎてザコ感も否めず、不死身もドコまで修復するのか、原作の壮大な設定も「チョッとだけよ」。長崎と広島の原爆に続く第3の投下を止めたのも日本人には頷けない。甚大な被害を出した癖にお前ら何を言ってるんだと。続編に着手してるが、Theron推薦の監督では無く、無名女優Victoria Mahoneyにチェンジ。キャストは新たにUma Thurmanが仲間入り。

素のCharlize Theronでもロバート・マッコール、ジョン・ウィックより強いかもしれん(笑)。
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