ひでやん

サマーフィルムにのってのひでやんのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
3.8
戸惑いながらも走り抜けるエネルギッシュな輝き。

冒頭からキラキラと瑞々しく、青春真っ盛り。高校最後の夏休みに映画作りに熱中する生徒たちってゾンビ映画を撮りがちだが、そこを時代劇にするのがたまんない。小ネタ満載の秘密基地で、勝新太郎を熱く語るハダシと、その横で『時をかける少女』を読むビート板。そこへ現れるブルーハワイ。

一度聞いたら忘れないニックネームがいいね。なんでそう呼ぶのか気になったので名前の由来を調べた。ハダシは本名、裸足で駆け抜けるような性格。ビート板は運動が苦手で、小学校のプールの授業にビート板を持参していたから。ブルーハワイは、かき氷のシロップはいつもブルーハワイで、クリームソーダを間違えてブルーハワイと呼ぶクセがあるから。面白いね。キャラ設定となるそれぞれの場面が見たかった。

ハダシ役の伊藤万理華が素晴らしい。止められない衝動と妥協できない葛藤を見事に演じた。勝新太郎や三船敏郎の真似は最高。そんなハダシが7人の仲間と、いや七人の侍と作り上げる時代劇、その主演がまさかの未来人。コスパよりタイパの未来か。いやいや、タイムパフォーマンスの極みが5秒って、満足できねえわ笑。

キラキラ恋愛劇にライバル心を燃やしながらも、貶さず認め合うのが良かった。ただラストが微妙…。上映が始まったらやり直しがきかないのが映画であって、そこに待ったをかけるのはなんか違った。ハダシのデビュー作をフルで観たかった。
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