たま

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-のたまのレビュー・感想・評価

5.0
ヴァンス副大統領の自伝がベストセラーになっていて、映画化もされていると聞いて視聴。
自伝の中のイラク戦争で消しゴムを配る話を聞いて感銘を受けたのだが、そこは映画ではカットされているみたい。

GAFAに代表されるように21世紀になってからも世界一の大国として経済発展を続けるアメリカ合衆国。
その陰では薬物中毒、DV, 離婚など「自己責任論」で片付けられるヤバい人達がたくさん苦しんでいるという現実を描いている。
彼らの苦しみが東海岸・西海岸の都会のエリート層からはなかなか理解されないのだろうという点は非常に納得感がある。
また、ここで書かれているような田舎の白人たちからすれば、当人たちの最大の課題は眼の前の苦しいリアルであり、リベラルの環境問題、移民問題、アイデンティティ・ポリティクスに共感できないのもそりゃそうだろう、とうなずける。


私自身はややリベラルだが、日本でもアメリカでも政治の世界が両極化・先鋭化しているのを見ると(綺麗事かもしれないが)どちらかを排除するのでなくどちらも救われる社会になってほしいと思っている。


ちなみにヴァンスさんはこの自伝を描いてから2016の大統領選あたりまではトランプを批判していたらしいけど、第一次トランプ政権のあたりで信者になったらしい。一体何があったんだ。
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