KAKIP

ヘザース ベロニカの熱い日のKAKIPのレビュー・感想・評価

4.2
記録用
マイケル・レーマン監督作品。
ダニエル・ウォーターズ脚本。

ジャケに騙されるな!青春物の皮を被った80年代ティーン映画をぶっ飛ばしたカルト映画!
あらすじは学園のヒエラルキーの上位に位置する「ヘザース」に在籍するウィノラ・ライダーが自分のグループに辟易する中一匹狼のクリスチャン・スレーターに出会うことで物語が動き出す、、。

あらすじだけ見るとウィノラ・ライダーの甘酸っぱい青春学園恋愛ドラマでも始まりそうだが完全な嘘です。

監督はマイケル・レーマンですが本作は脚本家のダニエル・ウォーターズの色がとても強い。
ダニエル・ウォーターズはこの脚本を元々スタンリー・キューブリックに監督してもらうために書いたの有名な話だ。
何故ならキューブリックは様々なジャンル映画を撮影しその各ジャンルを掻き回してきた。
そして当時80年代はジョン・ヒューズ監督の全盛期。
ジョン・ヒューズといえば「ブレックファスト・クラブ」「フェリスの朝は突然に」など青春学園ドラマの名作揃い。
特に「ブレックファスト・クラブ」はスクールカーストという今までアンタッチャブルであった議題に切り込むこちらもカルト映画となっている。

しかしスクールカースト最下層であったダニエル・ウォーターズはそんな綺麗事で学生時代の悪夢を片付けられたくなく脚本でこのジャンル自体の破壊を行うためのジャンルテロリストとなった。
もう一人の主人公のクリスチャン・ステーラー演じるJDにその怒りを乗せ破壊を試みる。
JDは悪ガキを意味するjuvenile delinquent の頭文字であろうことから子供の悪の化身なのだろう。

映画内では物理的な文字通りの破壊者となったJDと共感はできるがギリギリ踏みとどまるウィノラ・ライダーの対決だがこられはどちらも当時のダニエル・ウォーターズの自身の葛藤とも言えるだろう。

そしてラストに新しい友人と共に映画を見ることになる雑談をするがまさに本人は映画という「爆弾」を使用し80年代のティーンムービーに終焉をもたらし復讐はなされたのであった。

その後も社会問題として銃乱射事件など痛ましい現実が起こるたびにこの映画を思い出す。この映画からの影響と問題視されるが今作のJDのような考えに至った方は再鑑賞をオススメしたいと思います。
KAKIP

KAKIP