【この作品の味わい方(偉そうでごめんなさいね🙇♀️)】
旧ソ連が保管していたヒトラーの頭蓋骨の骨の一部は近年の調査の結果、ヒトラー本人のものと断定された。
ヒトラーは銃で自殺後、建物が焼失し遺体も炎に包まれてしまったために、残された骨が本人のものがどうか当時のソ連も判断がつかず、ずっと西側の調査に応じてこなかったという経緯があったのだ。
だから、ヒトラー生存説は長い間、密かに語り継がれていたのだ。
さて、こんなことを書いてしまったけれども、それでも、この「お隣さんはヒトラー」は十分楽しめる作品だ。
(以下ネタバレ)
「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もそうだが、陰謀論大好きのウヨ思考の人やウッキー猿脳のネチズンの出鼻を挫くようなところがある。
ただ、この作品は笑えるところもあるが、娯楽作品とはちょっと異なる悲哀や示唆もある。
影武者については、ウクライナ侵攻に際しプーチンも複数の影武者を用意していたと言われていたし、黒澤明作品の「影武者」とは異なり、このヒトラーの影武者は死ぬのが役割なのだから、ある意味悲劇的だ。
それに、今考えるべきは、最後にイスラエルの組織が踏み込んでくるところじゃないかと思う。
長いことパレスチナ人への弾圧を止めることなどせず、ハマスの大規模攻撃が最初にあったことは間違いないけれども、その後過剰なまでのガザ地区での戦闘行為を継続し、停戦交渉中の今も多くの人が亡くなっている。
これは看過出来ないだろう。
そんな批判的な視点も盛り込んでいる気がする。
事実、ナチスの虐殺行為でイスラエル支持については逃れる術などないドイツでさえ、今年の3月からイスラエルに対する武器提供はサスペンドしているのだから。
そしてもうひとつ、人間ドラマとして是非考えて欲しいのが、ヘルツォークは、ユダヤ人だとはっきり分かるファーストネーム”マレク”をポルスキーから聞いて、通報される予感はしていたんじゃないのかということだ。
自身もヒトラーの影武者として支えた自分自身にも罪の意識があったために、マレクに逃げるよう示唆されるまで逃げようなんて考えていなかったんじゃないのか。
そして、マレクは戦争の被害者とは多くの人が考えるより多くいて戦争後しばらく経ってからも苦しんでいるのだと気がつくことになる。
そして、被害者としてそこにも想いを馳せないと悲哀は終わらないのだと考えたんじゃないのか。
ここまで考えてこそ、この作品を味わったことになるような気がする。
偉そうですみません。