ねまる

明け方の若者たちのねまるのレビュー・感想・評価

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.6
「想像する明るい将来、まだ真っ暗、暗闇から抜けたい。明けるのはいつだろう?」
「自分達の時間である夜が終わってほしくない。こんな時間がまだ続けば良いのに」
この作品が意味する"明け方"はこのどちらもな気がする。終わってほしく無いけど、終わって欲しい。

かくいう自分も、世代はもう少し下とはとはいえ、若者という括りだろうけど、その点でいうとどちらにも共感は出来なかった。サラリーマンの現実って、そんなに暗いのかな…
やりたいことやってる人が眩しく見えるってことかな。勝ち組と煽っていた楽駆の行く末に、そんな考えの行く末が重なっていた気がする。

北村匠海って、全然イケてなく見えるの凄いよね。
に比べ、井上祐貴の華やかなこと。
「人間の身体は、あっためて甘いもんいれれば少しは落ち着くようにできてんだよ」
「これを機にめっちゃいい男になろうぜ」
全ての良い台詞は井上祐貴から聞いた気がする。
夢のようなヒロインならぬ、夢のような友達だった。

大学時代サークルで使った、きのこ帝国の「東京」。自分の大学時代とエモさが重なる。

王将、motherhouse、フジロック、という具体的な店名やイベント名も、ここと地続きの世界。
地続きの世界に見えていないのに、1時間ほどで一気にひっくり返る演出は面白い。私にはむず痒さはあったけど、同じ世界の人たちだと思えてたから。
同じ世界にいたはずなのに、全然違う世界の人だったと急に突き放された感覚。
それでもどこかで、主人公を見離せないのは、それが恋だけでなく、何かで目の前の快楽を選び取り、刺激を求める自分が若者には誰しもいるからかもしれない。
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