些細なことでも不安を募らせてしまう中年男ボー。亡くなった父の命日に帰郷を計画していたが、トラブル続きで断念せざるを得なくなってしまう。帰郷できない事を母に告げると、その数分後母が怪死した事を知る。母のもとへ駆けつけ、葬儀をやり遂げようとするのだが…。
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アリ・アスター監督作初体験。
2011年の短編「ボー(Beau)」の再映画化。
主人公のボーがずっと怯えてて、タイトルに偽りない感じ。
3時間がしっかり3時間に感じられる位、ずっと不穏で、見終わって最初の感想は「なんのこっちゃ」(後ろの席の60代位のご夫妻が場内が明転した途端に同じこと言ってて面白かった)
アリ・アスター式のスラップスティックなブラックコメディかと思ったが、インタビューによれば監督曰く「ピカレスクもので冒険モノ・コメディ」らしい。ますますアリ・アスター監督がよく分からなくなった。
旧約聖書のヨブ記になぞらえて…云々。ジューイッシュ・マザー(ユダヤ人のお母さん)etc…といった読み解きや考察・解説をいっぱい読んだけど、地頭が悪いせいか一見しただけではイマイチ理解できなかった。エンドロールで映画に置いて行かれたポツーンとした感じ。それもまた良し。
母がしんどい映画だけど、母子の関係性は神と迷える子羊のよう。理不尽に思える苦難の数々を遠くから見張ってる視点は神のそれ。結局は神の掌の上で右往左往する哀れな子らの物語かと思うと、おっかないやら笑うしかないやら。
(監督曰く「笑いとホラーは紙一重」らしい)
見返したら映画冒頭の配給会社ロゴが順々に出るシークエンスでmw社のロゴもあって、映画全体・観客もまたモナの支配下にいるって作りでゾッとする。
ずっと不穏で不吉。総じて不快だけど、見終わってしばらくするとなんだか癖になる。なるほどこれがアリ・アスターの世界か。「ヘレデタリー/継承」「ミッド・サマー」も挑戦してみようかしら。
15本目