同じ男を愛してしまった2人の娘、かたや母は無くとも光の当たる場所で生きて来た裕福な判事の娘、かたや彼が裁いた犯罪者の娘で厳しい環境で光も当たらず生きて来た娘、そんな対照的な陽と陰の人物を一人二役で演じ分ける。彼を成功に導いたのは陰の方の娘であるが、それが同時に陽の娘に引き合わせるきっかけにもなってしまう皮肉。ただこの陰の娘が健気で、自らの身の上に対する引け目があるのか、愛し合う2人を目の当たりにし自ら身を引こうとする。ただこの陽の方の娘とて思いは同じで、彼を見つめる陰の娘の視線に溢れんばかりの愛を感じ取ってしまったが為に自ら身を引こうとする。ただただ環境が違うと言うだけで生きる道筋がこうまでも違ってしまう2人、そんな2人が同一フレームに共存するどころか強く抱擁しあうシーンは神様とピッコロの融合ばりに感動的なのだが、あれマジでどうやって撮ってんのなんの違和感もないんだけど…。互いに健気な恋路の行末は如何に、バッドエンドではないもののなかなかもどかしい。