【他者の真実を巡る攻防の行方】
■あらすじ
「セリーヌとジュリーは舟でゆく」「美しき諍い女」などで知られるフランスの巨匠ジャック・リベットが、父を殺された姉弟の復讐劇が思わぬ事態へと展開していく様子を描いたサスペンス映画。研究所に勤めるシルヴィのもとに弟ポールが訪ねてくる。ポールによると、事故死したとされていた姉弟の父は、実は右腕だった男ヴァルサーに殺されたのだという。復讐を急ごうとするポールに代わり、独自の調査に乗り出すシルヴィだったが……。主人公シルヴィを「冬の旅」「仕立て屋の恋」のサンドリーヌ・ボネール、父殺しの疑いをかけられるヴァルサーをジャン=リュック・ゴダール監督作「パッション」のイエジー・ラジビオビッチが演じ、「モード家の一夜」のフランソワーズ・ファビアンが共演。日本では長らく未公開のままだったが、「もうひとつのジャック・リヴェット傑作選2024」(24年7月10~28日・東京日仏学院)にて初公開。
■みどころ
殺された父の犯人を探す姉弟の話。
真実を知ろうとするサスペンスものだが真実というものへの扱いが面白いと思った。
真実を知った人間の防衛本能、真実へ漸近しようとする想いと受け止められずに拒絶する2者の交錯を3時間かけて描いて原題に収束していく。
リヴェットらしい捻りのある展開や疑心暗鬼のドラマも含めて特徴的ではあるものの、没入する程に面白いかと言えばそうとは思わなかった。
予期せぬ展開もあるものの、物語の推進力が他者の深層心理でいまいちノれなかったのもあるかもしれない。
窓から見える外、照度を使った闇墜ちが映画的演出として面白いが3時間は長いんよ、うん。