くわまんG

わたしは最悪。のくわまんGのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.0
あらすじ:私はどうなりたいんだろう?それを考え続けていれば、何かが起こって答えが出るはず。

何者かになりたくて、でもどんどん落ちぶれちゃって、そんな折出会った彼は優しくて成功者で…というお話。

自分に不都合なことが起こると、怒りや悲しみが脳内を占拠して、状況が整理できなくなって疲れて、疲れたのを誰かのせいにして自分を顧みないから問題は全く解決しなくて、若さにかまけて恋愛に逃避して現実から目を背ける。

そんな私は最悪か?いや、今はそれでいい。あって当たり前だったものが無くなったり、いつか人生が終わることを実感したりして、腹を決めるか迫られる日が来るから。そのタイミングで覚悟できたら、もう自分の感情を分かってもらおうとしたり、他人の人生にケチつけたりしてる暇は無くなるから。

身勝手のツケを全て支払って、ゼロから出直し。でも、もう虚勢張らなくていい。私は前途洋々の医学生でも、新進気鋭のコラムニストでもなく、30前半未婚の駆け出し社会人だと胸張って言える。

なりたい自分に向かって一歩一歩進むことに集中していると、誰が成功していようが幸せそうだろうがどうでもよくなる、それすなわち人生の始まり。ふと立ち止まって振り返れば、最悪だった私も必要だったと知り、恥ずかしいような誇らしいような気持ちになって、微笑が漏れたり涙が溢れ出たりする。

深く共感した一本。惨めな嫉妬心を素直に認めてからラストシーンにかけて、自分を保証してくれたものが瞬く間に失われ、因果応報を理解して覚悟を決めていく様は特に出色。確実に誰かの人生を救ってると思う。