ドイツ→ニューヨークのナイトフライトが、テロリストにハイジャックされたが、彼らにも予測不能な乗客が紛れ込んでいた、ソレは・・・。Netflix映画。
本作はドイツのTVムービー「Trans Atlantic 473」を、イギリスの制作会社と協力して創られた開局記念作品だが、毎月新作をリリースする重圧のNetflixが先物買いで配給権を獲得、試しに一週間限定でシネコンで公開すると高評価。英語への吹替えの出来も良く4週間で全米5000万人が視聴、最も成功したドイツ映画と認定された。
製作は2021年、COVIDパンデミックの渦中、ドイツらしいのは医学的見地を逆手に取り、航空機の中で即効性の伝染病が流行したら、と言うプロットをコロナに置き換え、ソコに「ある者」ブッコンだらメッチャ面白いやん、と言う逆転の発想で創られた。
デザスター映画の元祖「大空港」。私は学生時代に推理小説家を目指し、短編を書いて賞を頂き、テレビドラマ化された。成りたい職業の二番目はパイロットで今でも岩国基地フレンドシップデーは常連。飛行機は飛べば究極の移動するクローズドサークル、民間機のハイジャックはスリラー映画の鉄板として今でも本作の様な亜流が創られる。
旅客機を模したスタジオは幾らでも有るので安く済む。問題は議論百出で手垢の着いたプロット。ドイツ人Peter Thorwarth監督の一発アイデアだが、彼が国際的にデビューしたのが「THE WAVE ウェイヴ」。アメリカの高校で実際に行われたサードウェイブ。ナチスの独裁政治を生徒で再現するモノで、ドイツはミステリーはからっきし(関西弁?)だが佳作「esエス」の様に人を精神的に追い詰めるのは大好き(笑)、正に打って付け。
使われた機材はエアバスA340、概ね300席の大型機。日本での運用は無いが、今でも伊丹に行けばドイツのLufthansaでA340は飛んでる。チェコ共和国の軍旗が見えるので、撮影のセットはプラハだろう。COVID-19の陽性反応が出たエキストラが居たので撮影が中断、本作の元ネタのプロット通りミイラ取りがミイラに為ってドウする(笑)。
【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】
最近のハイジャックの傑作と言えば、私のレビュー最多出演Liam Neeson主演「フライト・ゲーム」彼がしてたカシオの電波腕時計を買ったなぁ、本作の一発ネタとは「吸血鬼」。普通に考えると世界初の吸血鬼映画「ノスフェラトゥ」もドイツ映画、ドラキュラ伯爵を世界的に有名にした歴史が有るので、搭乗しても何の不思議も無い。禿げ頭、目が大きい、耳が尖ってる、肌が青白い、口も大きい、動物の歯、本作でも忠実に再現。
普通に考え無くてもドラキュラは太陽光が致命傷、秀逸なのはナイトフライトもレトリックで、ドイツ→ニューヨーク間約8時間。密室にタイムリミットを設定する事で、スリラーとして何重モノ仕掛けに成功。普通に考えると無理筋だが、ソウか!時差が有ったか、と納得してると機体はイギリスに緊急着陸。監督はソレで許してくれない(笑)。
普通に考えると(今日はコノ台詞多いな)、不死身のドラキュラなので飛行機の中は謝肉祭と化し、殺戮が終われば終わる筈が、始めからフラグが立つヤバい奴が、自分の身体に吸血鬼の元を注射して、自分も吸血鬼に変身!、仮面ライダーじゃ無いんだよ(笑)。人間では無い吸血鬼同士の異種格闘技が開幕。秀逸なのはパッと見て分る様にオールドスタイルの吸血鬼VS悪魔寄りのモンスターと言う異文化交流、Netflixも爆笑しただろう。
英語原題「Blood Red Sky」パンデミックをブラッドなレッドにして「密です」言葉も忘却の彼方だが、感染源は元から絶たなきゃダメ!言わんばかりに斧で切断、人が痛い目を見るのが大好きなドイツ人の本性も露わに。さりげなく人種差別も加え、アメリカでも高く評価された。始めから「アレしかない」オチだが、希望を見出すアメリカと違う、全てを容赦なく「根絶」もドイツらしい〆。後に続くハイジャック、吸血鬼映画はプレッシャーだろうな。インパクトでドイツがアメリカに勝てる日が来るとは思わなかった。
ご搭乗頂きありがとうございます、当機はまもなく血塗れに為りますのでご注意下さい。
【皆さんも私のトリックを見破って下さい】
クリスマス・イヴの夜、滋賀県の琵琶湖で京都市在住の20代の女性の水死体が発見された。容疑者は不倫相手の福岡市在住の男性と思われるが、彼にはアリバイが有った。死亡推定時刻に容疑者は羽田空港から福岡行きのJALに搭乗しており、CAの証言も取れてる。しかし、犯人はこの男で有るが、そのトリックとは?。寒い冬の夜の暇潰しにQEDにチャレンジして下さい。※ヒント 犯人は単独犯で共犯者は居ない