凍りついた過去
🧊劇場版プリキュア第30作
🧊ハートキャッチの出演
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監督が志水で、脚本が成田……
あれ、プリキュア草創期作品かな?…
🔷懐かしい名前の目立つ製作陣にて作られたトロピカル〜ジュプリキュアの劇場作品。登場はトロプリ該当キャラの他に、前作より始まったピックアップ出演でハートキャッチプリキュアが選出登場。
ハートキャッチといえば商業面で最も成功したシリーズであるが、意外にもトロピカル〜ジュとの類似性があったので、それぞれの魅力が相殺されることなく展開していたのは良かった。
かつ志水監督らしいホラー節や異化もところどころ見受けられ、しかもストーリーはプリキュア初期っぽい遠足式のものだったこともあり、プリキュア初期の雰囲気が感じられる作品でした。
🔶大きく違うのは敵との和解についてでした。草創期作品だと、浄化や、倒してしまう、などこの先の明るい未来が想起できるような結末に終わる。だが今作は、死にかけの敵をプリキュア流で弔い(ここは春のカーニバルみたいなプリキュア中期っぽい方法)、その想いと記憶をプリキュアたちが受け継ぐという形で物語が終わる。
かすかに不安を残すもののそれでも生きていくのだ、というようなこのメッセージは、前作「ヒーリングっとプリキュア」より始まった”不安な未来を生きていく”という精神の継承であるように見える。
そしてやはり、コロナ禍という現実における不安が、この物語性に説得力を与えている。
🔷「ヒーリングっとプリキュア」が興じた”プリキュアの破壊”、その血統を受け継ぎながら、トロピカル〜ジュらしい再構成や原点回帰に彩りを与えた興味深い作品です。
🔶しかし、もうちょいやりようはあった気もする。王国に招待されている所謂パフォーマーのモブたち、彼らのラインナップがちょっと古い……
それから浄化の手段に歌を選ぶのは良いのだが「スタートゥインクル」などをやってのけたプリキュア史において、あえてプリキュア中期っぽいシンプル歌唱演出で締め括る意図もよくわからない。
なおかつ音楽が題材なら、ハートキャッチよりスイートの方が親和性があったのではないか…??
と、志水・成田という古参コンビゆえか…どことなく多様性やら新しさに欠けるような印象の映画だった。
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🧊まとめ🧊
やはり、ハートキャッチいらないのでは…と思ってしまうのだが、ハートキャッチ世代の人たちが喜んだのなら成功と解釈していいのだろうか…?草創期との呪い、商業面でのニーズ、プリキュアのあるべき進路、そういうことを色々考えさせれる作品でした。