SF映画の金字塔『猿の惑星』シリーズの
リブート三部作の第一作を再鑑賞。
人間のエゴから展開されていく
悲劇もとい英雄の誕生が魅力的であり、
シリーズの前日譚として面白かった。
物語としては、
アルツハイマー病の治療薬を研究する
科学者ウィルは治療薬の影響で
高い知能を持ったチンパンジーの
シーザーを引き取って育てていたが、
ある出来事を切っ掛けにウィルと
離れ離れになったシーザーは
人間に対しての信頼を失っていき、
他の猿達を率いて人間に反旗していく
内容となっている。
正しく地球が"猿の惑星"へと変貌する
始まりを描いており、
心機一転のリブート第一作として
観易い上に相応しい内容だと思う。
自然の理に背いた事で
しっぺ返しにあう人間側、
高い知能を得た事で反旗する
シーザー側の視点で物語が進行し、
どちらかと言えば純粋さ故に
シーザー側に感情移入してしまった。
基本的に台詞無しで描かれていく
猿達の描写に関しても、
シーザーが台頭していく様子を
丁寧に描いているのが良かった。
シーザーとウィルの関係も魅力的であり、
展開として分かりきっていても
最後の抱擁と別れは悲しかった。
科学者らしいと言えばらしいが、
実の父親や人類の為の薬を
生み出した結果が人類の衰退というのも
ウィルの視点では切ない部分だった。
第1作からのオマージュや小ネタもあり、
イカルス号の言及は嬉しかった。
又、本作のメイキングや未公開シーン
ではシーザーを演じた
アンディ・サーキスが本当に猿のように
演じているのが拝見でき、
CG技術の進歩を実感するのと同時に
猿になりきった演技が凄いと思った。
個人的にはシーザーとウィルが
幸せに暮らしていた頃の家族描写は
もう少し欲しいところであり、
上映時間106分内の約30分程で
シーザーが成長してウィルと別れる為、
もっと長尺じっくり描く事で
最後は更に感動できたように感じられた。
加えて、ウィルの彼女である獣医も
登場してから自然の成り行きのように
カップルとなっているのが端的に思え、
あまり役回りとしても大きくないように
感じられた。
いつぞやの深夜に本作が放送された際、
「あんたが好きそうな『猿の惑星』
みたいな映画が深夜やってたよ」
と親に言われ、内容を尋ねると
"シーザー"の単語が出てきたので
「それ『猿の惑星』だよ」
と笑った事があったな…。