恒例のシリーズ時系列
2018年 5.0 Den skyldige デンマーク映画、Tジョイ京都で鑑賞。
2021年 4.0 The Guilty 本作、リメイク
2019年4月のレビュー通りJake Gyllenhaalでリメイク。しかし、何でNetflixやねん(笑)。Jakeと姉Maggieが設立した「Nine Stories Productions」製作。Ethan Hawke主演でNetflixは考えたが、Jakeがプロデューサーも兼ねる事で、ビル役に。ヘンリー役Peter Sarsgaardは姉Maggieの旦那、義理の兄弟が音声越しに夢の共演。エミリー役Riley Keoughの熱演も必聴!。Netflix映画。
私の拙い鑑賞経験から見てもオリジナルを超えるリメイクはそぉ~ザラには無い。ヨーロッパ圏の映画をアメリカで上映するには「字幕」「吹替え」問題が勃発。アメリカ人は自分達の作る映画が世界一だと思ってる。非英語の映画を見る事にアレルギー反応も有る。因みに字幕映画を見る文化が定着してるのは世界広しと言えども日本だけ。
真田広之プロデュース「SHOGUN 将軍」エミー賞18冠を達成した様に、COVID化でアメリカでも巣籠り需要が増えネットで映画を見る習慣が定着。全編日本語の「SHOGUN 将軍」喝采を以って迎えられた様に、アメリカ人の価値観も変化してる。では、非英語圏の映画がリメイクされる機会は減るのか?。ネット配信の映画はSHOGUN並みに群雄割拠の戦国時代に突入。熾烈な競争で寧ろ逆に増えると私は予見する。
詳しくはオリジナルを見てね☆彡、ではレビューに為らんか(笑)。オリジナルはミステリーとしても秀逸、私の2018年ベスト3に入る傑作だが、Baroness Orczy「隅の老人」アームチェアディテクティブとAgatha Christie「オリエント急行の殺人」クローズドサークルのミステリーの極みを両方実現。電話とスリラーの相性も良く「フォーン・ブース」「セルラー」「ザ・コール」緊張感を90分維持するのは難しいが、一分の隙も無いオリジナルのリメイクと言う難題に挑戦したのがレビュー済「イコライザー」Antoine Fuqua監督。臨場感を増す為にヘッドホン視聴も強くお薦め。
【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】
撮影はCOVIDパンデミック真っ只中、同居家族が感染して監督はNetflixが用意したCOLORSPACEと言う映画撮影用に開発した車両でリモート演出。撮影は11日と言う超早業。本作はサントリーウイスキー山崎の様に「何も足さない、何も引かない」精神で創られた。私は京都人ですが山崎と言う地名は京都由来ですが、蒸留所は天王山トンネル向こう側の大阪府三島郡島本町、京都産の顔してますけど大阪ですねん(笑)。
ハリウッドと言えど何の仕掛けも作れないデンマーク映画も凄いが「何も足さない」足したのはJake Gyllenhaalの演技力。セットだけのJakeも凄いが、Ethan Hawke以下の声だけで存在感を出すのは素人が考えるより遥かに難しい、Jakeも監督も罪悪感を抱えた者を具現化する事に長けた映画人。Netflixの良いチョイスだと思う。
一方的な電話と言うのは現代のSNSを予見したプロット。新聞は読まない、テレビも見ない、ネットで「自分が知りたい情報だけトッピング」自分の主張に合わせたモノしか見ず、何か起きても俯瞰する視点が足りず、Yahoo!ニュースで満足してる。情報の洪水に人は対処する事を諦め、序盤のJakeの様にヤッツケ仕事。しかし、一本の電話で相手に寄り添う心を思い出し、自分の人間性も復元する。私も仕事で一番大変なのはコールセンターだと思う、相手の顔が見えないコミュニケーションは本当に難しい。SNS世代が電話が怖いのは、我儘だと私は思わない。実社会で問題を起こすのは寧ろ老害だ。
結末もオリジナルと同じ、自分の罪と向き合い己の非を認め外へ語り出す。オリジナルよりマイルドでインパクトに欠けるが、基本的に同じなので監督、俳優、見易い視聴環境で好きな方を選んで是非見て欲しい。見えない相手こそ優しく接して欲しい。
映画は脚本が命と改めて痛感した「人の声に耳を傾ける」忘れていた何かを思い出した。