原爆の父と呼ばれたロバート・オッペンハイマーの半生を描いた作品。
ウランの核分裂の連鎖反応が止まらず世界を焼き尽くす可能性が劇中で語られますが、実際には現時点でそれは起きていません。
しかし、核兵器という存在の誕生は軍拡という連鎖反応を引き起こし既に人類は自分たちを(地球上のその他の命を巻き込んで)滅ぼす事が可能になってしまいました。
そして現在起きている大きな戦争はそれを引き起こす可能性を十分に秘めています。
人間は地球上で最も知能の高い生き物ではあるけれど、最も賢い生き物ではないのだと思う事があります。
むしろある意味では、最も愚な生き物かのかもしれません。
本作の主人公である天才・オッペンハイマーはその二つの性質を高度に併せ持つ、まるでその象徴のようでもありました。
人類はいつの日か平和を手に入れる事が出来るのか、それとも争うことが人間の本質であり人間が人間である以上戦争はなくならないのかは分かりませんが、それらについて想像し考え続ける事だけはやめてはいけないように思います。