やっちんさんの映画レビュー・感想・評価

やっちん

やっちん

映画(339)
ドラマ(0)
アニメ(0)

スピーク・ノー・イーブル 異常な家族(2024年製作の映画)

3.8

オリジナル胸騒ぎ未見の上で鑑賞。

比較的小さいスクリーンながらも年末の夕方銀座の劇場は満席であった。

ラジオでTBSの山本アナが本年度ベストの事で本作を今年の劇場見納めにすることにした。

オリジ
>>続きを読む

雨の中の慾情(2024年製作の映画)

3.8

岬の兄妹以来の片山監督作品鑑賞。
その作品とは打って変わっての芸術的な映像と情感溢れる作風である。

題名に使われている通常の欲ではなく、慾の字を選んだのは、人の欲望には、この字という古来の定義になら
>>続きを読む

正体(2024年製作の映画)

3.4

原作未読の上鑑賞。

映画の日という事もあり満席。完売。

本作は言うまでもないが横浜流星ありきの作品であった。
顔つき髪型や面構えまで変えて逃亡劇を続ける七変化のような演技は鬼気迫るものを感じ素晴ら
>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.7

夢から悪夢へ

このジェットコースターのようなポールの日常の変貌ぶりは、演じるニコラスケイジの役者人生そのもののようである意味本作は適役だったとつくづく思ってしまった。

今年初頭に公開された同じアリ
>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.4

普段あまりアニメーション映画は見ないのだが、先日ラジオで宇多丸さんが強く勧めしていたので触発され鑑賞。

結論から言えば非常に切なくもあり、失った友情や新しい出会いに思いを馳せたくなる珠玉の作品であっ
>>続きを読む

本心(2024年製作の映画)

3.7

原作既読の上鑑賞。

平野啓一郎氏の文体は哲学的で人間の内省面を掘り下げていく作品が多いが、特に本作はVFやAIなど映像化になったらどう表現するのか興味があり見ることとした。

また池松壮亮が石井監督
>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.3

時代劇愛、映画愛に溢れた非常に真摯で清々しい稀有な作品。

私財を全て投げ打ってこの映画を作り上げた安田監督の心意気に感銘を受ける。
そして純粋な映画愛から単館上映からここまで拡大公開に漕ぎつけた関係
>>続きを読む

国境ナイトクルージング(2023年製作の映画)

4.0

中国の北の果てで出会った若者3人の束の間の刹那的な交流。

完全に登場人物も物語の舞台も中国なのにシンガポール出身の監督だからか何処かヨーロッパ映画のような趣きが全体感を占めていて不思議な感覚であった
>>続きを読む

サウンド・オブ・フリーダム(2023年製作の映画)

4.2

10年近く前に小説の闇の子供たちを読んだ。内容があまりにも衝撃的で性描写も苛烈で思わずページを読み飛ばしてしまった事を強烈に覚えている。

そんな事もあり心して鑑賞。
しかし本作は様々な配慮からか直接
>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

3.7

監視社会下の近未来。

今ではない、だが近い将来は、こうなっているかもしれないという、そんな息苦しい世界を生きる青春群像劇である。

ただ近未来といえど町の風景や服装などの風俗は現在とほとんど変わらず
>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.2

対話のない世界へのフラストレーションと怒りが制作の原動力になったと本作監督のガーランド監督は語っている。

監督の意思が全面に押し出され内戦における背景説明の類いはほぼない。
不穏な雰囲気が満載で物語
>>続きを読む

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

3.7

本作は非常に観客を選び、賛否両論が激しくなるのも理解できる作風であった。
全米での評判も決して良くない…

個人的には決して嫌いな感じではなかったが…

フェニックスは前作以上に減量したと見えて、骨の
>>続きを読む

ラストマイル(2024年製作の映画)

4.0

評判が良いので遅ばらせながら鑑賞。
日曜日の午後ほぼ満席であった。

確かにこれは現代の日本の縮図と思わせる巨大倉庫で起こる犯罪サスペンスとしては出色の出来栄えである作品である。

多くの社会問題を喚
>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.0

傍若無人でぶっきらぼうに振る舞う女性って客観的に観ていると何故か惹かれてしまう。
本作でも彼氏二人はマウントを取られ殆ど懐柔されながらも彼女に平伏している。
その難しい役を河合優実は見事に演じている。
>>続きを読む

ソウルの春(2023年製作の映画)

4.3

権力への欲望…

韓国の恐るべし軍事政権の誕生の9時間の攻防をここまでエンターテイメントに仕上げる力量感に感服する。

2時間超本当にスクリーンに引き込まれた
史実に基づいた作品なので結末は分かってい
>>続きを読む

フォールガイ(2024年製作の映画)

3.8

映画愛が満ち
溢れたポップコーン映画。

スタントマン出身の監督自身の幾多の経験が上手に取り入れられており、映画の裏側を覗かせてもらう気分になり興味深かった

スタントマンの方達にも何かしらの賞をと思
>>続きを読む

ツイスターズ(2024年製作の映画)

3.7

巨大竜巻に挑む人々を描くハリウッドお得意のディザスター映画。

前作と言ってもよいヤン デボン監督のツイスターのリメイク版と言ったところか。

ただ前作と違うのは当事者たちが救助活動に積極的に参加して
>>続きを読む

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

3.6

ナタリーポートマンはレオンで12歳少女と中年男性の純愛ドラマは当時大ヒットした。
本作ではレオンとは反対に、女性側が年長の歳の差カップルが登場する映画を制作会社を興しプロデュースした。
時の流れをまず
>>続きを読む

フェラーリ(2023年製作の映画)

3.8

本作は理想のレーシングカーを作るために妻とフェラーリ社を立ち上げ、高級スポーツカーメーカーに育てあげた男の物語である。

パワーとスピードを競い合うモータースポーツ自体がいわば男性の誇示ならば主人公の
>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.1

評判通り静謐ながらも心に沁みる素晴らしいロードムービーであった。

本作は人間は誰かの人のために自分の人生を使う事が出来ることを信じさせてくれる。

当初は気楽な学園コメディのようだと思われ観ていたが
>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.8

傑作 怒りのデスロードから9年。
正直、前日譚という事もあり少々懐疑的であったが…

ジョージミラー監督御歳79歳と思えない熱量を感じる予想をいい意味で覆す面白い出来栄えであった。

前半はフュリオサ
>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.1

今や希少な問題意識を持った映画作家である吉田恵輔監督作品に直談判した石原さとみの強い覚悟を感じ取られた秀作である。

過去作である空白で描かれなかった部分から着想されたとの脚本は骨太で作品全体に厚みを
>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

本編105分間常時何とも言えない薄ら寒さを感じた鑑賞体験だった。

とにかく隣の収容所から漏れ聞く銃声や悲鳴そして不気味な音楽に心を支配されてしまった。
そして匂わないはずの煙突から噴き出す嫌な匂いま
>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.2

ベネチア映画祭銀獅子賞受賞作品。
濱口監督の新作。
ようやく鑑賞出来たという思いがまず先だった。

著名な俳優は一切出演していないが、そんな事などどうでも良くなるような美しい大自然の風景が映し出される
>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

あまりにも切ない…

登場人物は3人。
語り口は穏やか。しかし、心揺さぶられる恋愛映画である。

アカデミー作品賞にノミネートされるのも
頷ける!
映画は随所に余白があり、3時代を隔てる12年間の空白
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

本作はオッペンハイマーの名声と汚名に包まれた生涯を綴る映画だが、彼の主観、何が彼の目に映り、耳に届いたかに焦点を絞るアプローチに目を引く。

彼の主導の元で秘密裏に製造された原子爆弾が広島と長崎に投下
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.9

落下の解剖学。
監督曰く
解剖されるのは遺体だけでなく夫婦関係のゆがみ。落下する夫は失墜する男性性の象徴。それで、こんな題名を付けたとの事。
鑑賞後思い起こすと何とも腑に落ちる。

人間同士の関係性は
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

ホアキンフェニックス演じる中年男の奇怪な旅。

不安症の男が恐る最悪がもっと最悪な現実となって襲ってくる。
何とも言えない不可思議な体感をスクリーン通じて200分余り味わう事になった。

見る者の感情
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

製作にも名を連ねるエマストーンの強い意志とメッセージが感じとれる作品である。

女性は男性から上から目線で指示されたりすることを当然嫌う。

政治的や性的、知的など自ら女性自身自然と身につけていく。
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

心に沁みた…

ビム ペンダースが企画、制作主体の日本側に招かれた作品ではあるが、彼の美学がこれほど迄に純粋に結実した作品は早々にないだろう出来栄えだと思う。

あらすじとしては、朝早く毎日起きて、仕
>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

正に北野武版 本能寺の変!

そして豪華キャスト!

秀吉は、弟の秀長や黒田官兵衛らとともに光秀を謀略に走らせる策略家として描かれている。
3人の掛け合いがこれがまた面白い。

陰謀家秀吉はこの映画全
>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.9

原作既読の上鑑賞。

最近よく言われる多様性の欺瞞性、新たな  画一的に行ってしまうある種の危険性を群像劇に描いている。

新垣結衣が一人で回転寿司で夕食を取っている表情が何とも印象的であった。

>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

豊かで鷹揚な物腰の先住民たちに白人が、顔色を伺う。
正に上下関係の逆転に映るが史実に基づく映画と知りある種の驚きを感じた。

先住民たちの所有地に石油が発見され、オセージ族に莫大な富が流入、強欲な白人
>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.7

まさか老インディの活躍が見られるとは!

インディジョーンズという人物像を自ら更新していく。
今やゲームのキャラクターとしても有名だが、リアルな加齢から醸し出される魅力は実写でなければ味わえない。
>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.1

一つの物語が3人の視点を介して本筋が変わっていく。
重層的な脚本構成である。

最初の物語は一人息子を育てるシングルマザーを中心とし、彼女の目に息子の言動が謎めいたものと映るようになる。
息子は担任教
>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

永遠のような父との夏の出来事。

トルコのリゾート地で過ごす数日間。
ここに物語はない。
あるのはソフィにとってのきらびやかに見える現在そのものである。

プールやビリヤードなどに好じる父と娘の姿は観
>>続きを読む