やっちんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

やっちん

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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.0

善か悪か。
ずーっと判断が天秤にかけられている作品であった。
それも常に観客に問われているかのような感じで物語は進んでいた。

正直者は馬鹿を見る…
美談の英雄の座から小さな嘘の上塗りでひたすら転落し
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.8

子供の視点から見る北アイルランドの紛争
における日常の生活。
どうしても今のウクライナ侵攻の状況と被ってしまう。

ただ鑑賞後余りその感情に囚われないのは
何処か牧歌的であり紛争自体を殆ど映像化
して
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.2

栄光と破滅。

まるで鏡のようであり哀しみに溢れたある意味おどろおどろしい暗黒のデルトロ監督の本領発揮といった感じで非常に見応えがあった!

伏線の張り方が絶妙でありラストシーンは思わず唸ってしまった
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.7

皆さん思うだろうけど、ちょっとどころかずっと思っている…

池松壮亮主演というところで多分外さないだろうという思いで鑑賞。

コロナ禍で思っている人と思うように会えない状況だから主人公二人に余計に感情
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.3

評判通り非常に心温まる良質な映画であった。

この映画の一番共感出来る所は、障害者に対する偏見や差別に対する今までの良くある作品とは違う通り一辺倒な脚本でないところにあると思う。

主人公ルビーだけが
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.4

延期に次ぐ延期でようやく公開。
そういった背景もありまた作品名に郷愁を感じてしまい気になって鑑賞。

最近リメイク作品が多いが、本作のような古典的謎解きのミステリー物は映像や演出をいくら凝らしても犯人
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ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.7

邦題ドリームプラン…
原題はキングリチャード。
一味一風違ったスポーツドラマ。

鑑賞後の感想印象は原題そのもの。
客観的に見ても父親リチャードの接し方は子供虐待スレスレであり、もはや常人とは思えない
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.2

さすがスピルバーグと思わず唸りたくなるような全く古臭くなく見事にアップデートされリメイクが進化された作品となっている!

珠玉のバーンスタインの楽曲と切れ味鋭い強烈なダンスに終始圧倒された。

人種差
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.6

この映画は劇中どこかに各人が面白み興味を見出せないと極めて退屈な時間を過ごす事になってしまう。

現にエンドロール後のほぼ満員の劇場も何とも言えない空気感に包まれていた。

アンダーソンの作品はいわゆ
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.9

御大84歳 リドリースコット監督の新作。
イーストウッドのように今尚精力的に作品を発表している稀有な監督である。

本作はGUCCI家の栄華の中にあった確執と混迷をレディガガを擁しゴージャスにそして上
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.9

マットデイモンの米国白人労働者階級の役のハマり方はかなりの研究の後が伺えて素晴らしい!

トランプ支持者達のレッドネックと呼ばれる階層の人達と同化して見えた。

階級、人種、ジェンダー等々複層的な問題
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

御大50周年という本作を前から楽しみにしていた。
イーストウッドの作品は自分にとって長きに渡り新作が封切りすれば必ず劇場で鑑賞すると決めている数少ない監督であり俳優である。

イーストウッドは一人の人
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.4

本作はスリリングでありサスペンスフルであり時たまエロチックであったり…
そして思わず声を出して笑ってしまうユーモアを持ち合わせている。

終始淡々とした会話劇ながら三遍共どの作品も極めて優れた脚本をベ
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.8

こうして大々的に有名俳優を使い政治批判をブラックユーモアで表現出来るアメリカのエンタメ環境が毎度羨ましい。

切り口はコメディタッチではあるが、シリアスでまた結構辛辣であり皮肉めいており正直あまり笑え
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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.8

アメリカ版のミナマタ。
チッソとデュポン、会社規模は大きく違うものの非常にリアルに身に迫る実話ベースの本作である。

環境問題に関心を持つ主演のマークラファロ。自らが積極的に動いて本作の制作運営に携わ
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.8

今年の東京国際映画祭クロージング作品でもあり、またララランドの音楽チームが携わっているとの事で鑑賞。

本作は大人数での歌いながらのダンスシーン等はないものの流石前述の音楽チームが携わっているだけに、
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リスペクト(2021年製作の映画)

3.7

女性の人権、解放に向けて尽力したアレサフランクリンの半生をきめ細かく丁寧に描いている。

こういった伝記ドラマにおいて常套手段ではあるが、スーパースターの華やかな生活に重きを置かず深い闇に苦悩するアレ
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.2

本作での瀧内久美は今年の主演女優賞最有力候補で間違いないだろう。

2時間半余りの上映時間であるがサスペンスタッチな作風でもあり終始緊張感を醸し出しどっぷりとスクリーンに引き込まれてしまった。

春本
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モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.7

9,11アメリカの負の側面。
アメリカ映画界はこういったある意味目を背けたく題材を正面から描き訴えていく。
邦画界とはこの点は余りにも開きがある。

久しぶりのジョディフォスター。
外見は年月の刻みを
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.8

テーマ曲が鳴るだけでゾクゾクワクワクする。
この感じはスターウォーズにも通じるものがある。

ダニエルクレイグが本作でラストの事でコロナ禍による度重なる公開延期で待ち侘びていた。

個人的にはリアルタ
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空白(2021年製作の映画)

4.1

さすがスターサンズ制作!
重層的な登場人物の心理的錯綜が根深く混じり合い非常に見応えがあった。
この辺りは吉田監督の得手としているところであろう。

空白という題名。
様々な意味合いが絡み合い意味深く
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

4.0

今に始まった事ではないが何故このような問題題材を日本自国制作で出来ないのであろうか。
また本作を水俣市で先行上映したところ水俣市は後援を辞退したとの事。様々な事情はあるのかもしれないが、この辺りにもこ
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.9

大勢の仲間と酒を呑んで大騒ぎする。
今となっては何だかスクリーンの中が別世界のようで羨ましさや切なさや複雑な心境に陥ってしまった。

この映画の評価されている点は単に酒を呑んで大騒ぎするといった単一的
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.4

179分というの上映時間を全く感じさせないゆったりとロングドライブしているような浮遊感というか至福の時間を体感させてくれた映画であった。

近年洋邦画問わず説明尽くしの作品が多い中、本作は贅沢に隙間を
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.6

原作者柚木裕子の小説が好きで続編である本作楽しみにしていた。
今回は別の脚本家のオリジナル作品ではあるが、彼女も作品中ホステス役でチラッと。

前作は役所広司の存在感があまりにも大きく本作はどうなるか
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.0

笑顔のない17歳…

そして人生を達観してしまったような表情。

何と生きづらい彼女達の現代社会なのだろうか。

現在公開中のプロミシングヤングウーマンと並行して観ると非常にこのテーマに対して深く考察
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.8

これはドミニカ移民の賛歌とも言うべき作品である。
コロナ禍における閉塞感をラテンの底抜けに明るく華やかなダンスと歌で一時忘れさせてくれるパワーをスクリーンから随所に感じさせてくれた。

それもこれもト
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.8

モノクロームのスクリーンにロバートパディンソンと共に狂気の泥沼に引きずり込まれて行く…
ほぼ正方形のスクリーンサイズがより孤島の灯台の閉塞感を高めている。
正に怪作と呼ぶに相応しいのではないだろうか。
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

これは一見善い人と言われる男性に対する復讐の話しである。
男としては居住まいを正したくなる場面の連続ではあった。

ただ纏っている作風がハリウッド風のサスペンスタッチでありラブコメ的要素がありと重たい
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.0

コロナ禍の中で瑞々しくほっこりさせてくれ良い時間を過ごしたと感じさせてくれた作品であった。

時間の捉え方が人は皆平等ではないという
アインシュタイン的発想から仕掛けている本作の作り方は非常に独創的で
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キャラクター(2021年製作の映画)

3.4

菅田将暉主演との事で作品の質はそう悪くないだろうという期待値先入観で鑑賞。

俳優陣は終始高いレベルの演技で作品全体のトーンは保っている。
特にFukaseのサイコパス感溢れる不気味な演技は本作を支え
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.9

逃げた女

核心をついた意味深い良い邦題である。

一見本筋が見えにくい作風であるが故に、この邦題が鑑賞後深みを増して静かな余韻にひたらしてくれた。

終始何も起こらず淡々とした会話劇と食事のシーンの
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.3

サー アンソニーホプキンス主演男優賞受賞納得の演技である。
また原作者が初メガホンでこのクオリティとは驚きである!

まずは映画の構成、画期的な表現技法が素晴らしい。
アンソニーと観客が混乱と混沌の深
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.5

旧社会主義国のチェコ発の生々しい身の毛よだつドキュメンタリー映画。
緊急事態宣言中の僅かに開館している池袋の劇場は完売であった。ある意味注目作である。

チェコという国からの発信という事にまず衝撃とリ
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街の上で(2019年製作の映画)

4.0

ずーっと続く微妙に噛み合わない会話劇。
それがループになり妙に可笑しくたまらない!

若葉竜也の終始とぼけた演技と表情がこの映画の骨格と成している。

渋谷の昼下がりの満場の劇場が温かな笑いに包まれて
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

コロナ禍のこの抑圧された同調圧力に苛まれているこの時代背景がノマドと言われる一見自由奔放に生活している人々に共感し賞賛してしまう気運が本作の高評価に繋がっている一因ではないかと見終わった後感じ取ってし>>続きを読む