熱量に満ちかつ周到なつかこうへいの世界を、よくもここまで映画という制約のなかで表現したという名作。
日本のいう社会に根強くのこるある種のメンタリティのたくみなカリカチュアであるとも言える。
主役の>>続きを読む
どう考えても舞台でこそ生かされるつかこうへいのナンセンスな因数分解を、無理やり映画にするために展開してしまった一本。
さすがに後半は俳優陣の力技におもわずひきこまれるが、さらなる安易な蛇足でとど>>続きを読む
ビートたけしの『浅草キッド』を原作とする映画化作品。
たけしの修行時代をえがくが、むしろたけしの目をとおして深見千三郎を主人公にえがいた映画である。
大泉洋をはじめとしてウデのあるある俳優がそろっ>>続きを読む
列車のなかで出会った男女のわかれまでのひと晩をえがいた異色作。
異様なまでにリアルなタッチで進行する独特さが面白い会話劇。
そのふたりの会話が気の利いたものだと共感できるひとには、すてきな映画かも>>続きを読む
アメリカのちいさな田舎町を舞台に、若者たちの欲望とその退屈さにみちた生活をえがく。
画面にあふれる息詰まるほどの閉塞感と、しだいに彼らからにじみでる内面のリアリティがみごと。
ことにラスト15分>>続きを読む
痛快コメディシリーズ第2弾。
前作『小河ドラマ織田信長』にくらべて格段に充実した一本。
骨太な舞台作品のような見ごたえがある。
説得力あるプロットを据えて磨きあげられた脚本もそうなのだが、この充実>>続きを読む
狙ったものも含めてチープさに満ち溢れた作品だが、設定と展開がなかなか面白い。
細川徹の脚本の周到具合、三宅弘城の演技の(意外なほどの)真摯さに引き込まれる。
チベット仏教における輪廻転生をえがく作品。
ブッダの出家物語がどうしてもファンタジックになるがゆえに、それを少年が絵本を読むという枠組みのなかでかたらせたのはナイスなアイディア。
しかしながら現>>続きを読む
ベルトルッチ監督の意欲的な一本。
いまとなってはそのプロットは使い古されたものにすぎず、「じつは」という結末に驚かされることもない。
しかし、それをおぎなってあまりあるのは、たくみに時間軸をずらさ>>続きを読む
歴史スペクタクル映画というイメージとはうらはらに、細部まできわめてていねいに作られた傑作。
考え抜かれたカメラワーク、得も言われぬ雰囲気を醸し出す色彩、過剰になることのない演技、効果的だがさりげな>>続きを読む
キャンピングカーでの放浪生活をおくる人々のリアルな姿を、なかばドキュメンタリータッチでえがく秀作。
なんとリアリティにあふれる映像かと思ったら、主演のフランシス・マクドーマンドとデイヴィッド・ストラ>>続きを読む
メタ語りからご都合主義的ギャグまで満載の、コメディタッチの変則的ミステリー。
二転三転するストーリーそのものはたいしたことはないので、全編にわたってセンスのいい演出をあじわうだけで楽しい。
衝撃的なラストで有名なSF映画の古典的名作。
ロケ地の荒廃した風景、猿たちの特集メイクの(当時としては)完成度などはもちろんのこと、文明批判、宗教批判などもまじえた(原作とはことなる)プロットがみ>>続きを読む
脚本家ハーマン・マンキウィッツを主人公にして、名作『市民ケーン』の生まれる舞台裏をえがいた作品。
『市民ケーン』同様に回想シーンをおりまぜた構成や、あえて白黒で撮られた(その出来には賛否両論あるだ>>続きを読む
途中からがらりと風景のかわるドンデン返し系のサスペンス。
評価すべきはていねいな画面づくりと、フィンチャーらしいさりげないサウンドに演出された雰囲気。
多重な顔を見せるロザムンド・パイクの好演も。>>続きを読む
本格ミステリーを思わせる舞台仕立てのなかでくりひろげられる過去の事件の解明と、ひとりの傷ついた女性のものがたりが交錯する力作。
ダニエル・クレイグとルーニー・マーラの魅力なくしては成立しない映画だ>>続きを読む
「悪い人間ではないがそう思われる生き方をする人間」であるマーク・ザッカーバーグを主人公にした、Facebook創業をえがく映画。
その創業の根底に拭い去れない劣等感があるというのは、シンプルながら>>続きを読む
まずもってメイクと特殊効果の仕事ぶりが驚異的だし、それなくしてはそもそも生まれることができなかった映画。
くりかえし扱われてきた「人生と老い」というテーマを、主人公が歳をとるにつれて若返るという異>>続きを読む
未解決事件を著したベストセラーを、その作家を主人公にして映画化した作品。
事件そのものよりも、事件に取り憑かれていくひとびとの心理的な葛藤を見せる。
未解決ゆえに決定的な結末をえがくことができない>>続きを読む
フィンチャーがそれまで世に出した作品の周到さを考えればごく平凡ではあるが、ワンシチュエーションのサスペンスとしてそれなりにまとまった一本。
しかしながら、外部に助けを求めることのできる最大のチャン>>続きを読む
消費社会・資本主義的経済システムへの警鐘をこめたフィンチャーらしい怪作。
その最重要なポイントはなんとなく予測がつくものではあるが、周到にはりめぐらされ插入されたたくらみに再見は必至。
マイナスポイ>>続きを読む
なにがおきているのかわからない不安と緊張感を、全編にわたって主人公とともに体験できる傑作。
もちろん観終わったあとには突っ込みどころは満載で、リアリティを考えるとありえないことだらけなのだが、それ>>続きを読む
七つの大罪になぞらえた猟奇的連続殺人をあつかったサスペンス。
作品内のセリフにあるように、これは「異常者」の話ではなくわたしたちの「日常」の話だ。
それは人間のなかに潜みながら覆い隠されているもの>>続きを読む
ロブ=グリエらしいフェティシズムとわざとらしい虚構性にあふれた作品。
前年の『快楽の漸進的横滑り』の突き詰めた倒錯的世界の感覚的な美がおさえられ、そのかわりには(あきれるほど)わかりやすいプロット>>続きを読む
あっという間に観終わる気楽に楽しめるエンターテインメント。
古代から伝わる不思議な力でパワーアップするが、CGに頼らざるを得ないそのアクションがややチープ。
ふつうに見れば(いまだに)ワクワクする>>続きを読む
ホラー映画の古典中の古典だが、いまとなっては古臭くなってしまったホラー的要素はむしろ脇役で、キリスト教的な「罪/赦し」のシリアスなものがたりとして捉えられるべきだろう。
きわめてていねいな映画とし>>続きを読む
エラリー・クイーンの『厄災の町』の翻案。
豪華な出演陣がそろい、それぞれみごとなアンサンブルを魅せる。
片岡仁左衛門(当時は孝夫)の頼りないほどの若々しさがよい。
推理もの好きな野村芳太郎にしては>>続きを読む
数多くの類似作を焼き直したかのような、典型的アクションコメディ。
しかし、エディ・マーフィのコミカルな演技と自然体で「ノリの悪い」デ・ニーロの存在のミスマッチが、凡庸になりかねない典型に絶妙にアク>>続きを読む
シリーズ3作目。
こんどはエリアがぐっと拡がって街中をかけまわる。
そのこともあってか、それぞれのアクションシーンをバラバラに羅列したという印象は拭えず、全編を観終わったあとの爽快感はいまひとつ。>>続きを読む
シリーズ2作目。
前作のタワービルから空港へ舞台を移しての受難。
主人公のライトなぼやきは健在。
アクションの派手さとスケールは前回より増してエンターテインメントとして楽しめるが、移動できる空間の>>続きを読む
現代アクション映画のもはや古典的ともいうべき名作。
テロリストたちの手段や目的がシンプルなのがかえってよく、ブルース・ウィリスの軽口と無駄のないアクションシーンをテンポよく楽しめる。
それでいなが>>続きを読む
クリエイティブな現場にかぎらず、さまざまな仕事でありうるパワハラ・セクハラ。
その実態というよりも、それを受けている被害者の心理をていねいにえがいている一本。
しかしながらそれだけではあまりにピュ>>続きを読む
ブルガリアのツォンチェフ監督によるショートムービー。
集合住宅にはつきものの問題をとりあげた、ちょっとした心理ドラマなのだが、そのとぼけた味わいが面白い。
ただ、質屋の女店主にまつわるリアルさがこ>>続きを読む
イーストウッドの監督2作目。
3人のならず者の復讐から街を守るという典型的西部劇のスタイルながら、勧善懲悪とはまったくことなる作品になっているのがよい。
裁かれるものははたして誰なのか。
また裁>>続きを読む
これを100分の長編にしようと思えば、それはそれでいくらでも可能性はひろがるだろう。
はれを30分という尺のなかに過不足なく見事にまとめた秀作短編。
主人公の刑務官の人間性がじんわりと感じられて、>>続きを読む
コメディのセンスのない監督が、コメディに不向きな愛人の女優と共演するためにつくったとしか思えないほど、いたるところに穴のあるコメディにもシリアスにも中途半端な作品。