シリーズ第12作目。
アクションシーン満載でドラマやサスペンス的要素は皆無。
前作の弛緩した過剰さが修正されており、映画としてていねいに作られていて好感がもてる。
ヒロインのキャロル・ブケの知的>>続きを読む
シリーズ第11作目。
舞台が目まぐるしくかわるわりにはドラマは平板で散漫。
SF大作から文芸作品までさまざまな映画のパロディが小ネタとして頻繁にはさまれるが、ただそれだけのことでギャグとしてさえ機>>続きを読む
シリーズ第10作目。
格段にセンスのよくなったのはオープニングだけではない。
全編にわたってエンターテインメント性をより追求しながら、ドラマそのものも演出もきわめてていねいにつくられていることに好>>続きを読む
シリーズ第9作目。
これまでよりはるかに完成度が高くなった今作。
高揚感をもたらすその演出の見事さもさることながら、なんといってもヴィランとしてこれ以上ないほどの存在感をしめすクリストファー・リー>>続きを読む
シリーズ第8作目にして、ロジャー・ムーア初登場。
主役のスッキリとした演技とヒロインの可憐な魅力はよい。
だが、見どころになりうるシーンがいくつもあるにもかかわらず、無駄なストーリーとテンポの悪い>>続きを読む
シリーズ第7作目。
ショーン・コネリーが今作限定で復帰。
シリアス路線も放棄されふたたびチープなギャグ路線に。
シリーズ第6作目。
この「異色作」でボンドを演じるジョージ・レーゼンビーがまったくのミスキャストというのは彼の責任ではない。
演出やカメラワークにかなりていねいかつ意欲的な部分(とくにオープニン>>続きを読む
シリーズ第5作目。
日本が舞台ということで、おおくのツッコミどころとともに楽しめる内容に。
現実ばなれした派手なアクションが控えめになったのも高感度アップ。
前作までより撮影の雑さがぐっと減って>>続きを読む
シリーズ第4作目。
内容も音楽もぐっと真面目路線。
いよいよ本格的なスパイアクションらしくなって面白くおおいにけっこうだが、雑なつくりは相変わらず。
もうすこしていねいにつくらないとその残念さがか>>続きを読む
シリーズ第3作目。
オッドジョブ(ハロルド坂田)との対決がBGMなしで繰り広げられるなど緊張感の演出に見るべきところもままある。
基本的には自己パロディ的なギャグ路線。
シリーズ第2作目。
数々のパロディを生んだ名シーンにあふれていることと、スウェイン&エドニー製のアタッシュケースが格好いいのが見どころ。
ショーン・コネリー主演のシリーズ第一作。
ボンドのスーツ姿の素敵なことには思わずため息が出るが、テレビドラマに毛が生えたような安っぽさには別の意味でため息が。
集合住宅に暮らす女たちをとおして、パリの街にひろがる矛盾とコミュニケーションの不可能性をえがく。
思いきって単純化すれば、消費されるものと消費するものとのものがたりとも言える。
この頃から顕著にな>>続きを読む
ジャン=ピエール・レオを中心とする若者たちの生態を、いくつかの不連続なエピソードをとおしてえがく一本。
それぞれのみじかい断片はどれもさりげないものだが、綿密なカメラワークと演出がたいへん効果的で、>>続きを読む
いつものゴダール流の浮遊するセリフとシンプルな色彩あるれる一本。
いつも音にかき消されるリシャールの名前。
ナンセンスな言葉と一向に成立しないミステリ的筋立てのなかでくりかえされのは、ベートーヴェ>>続きを読む
夢と映画との親和性を利用して鬼才リンチがえがく、人間の意識と世界とのかかわりの限界地点。
なにを最上層と決めることのできない、幾重もに重ねられた意識の層。
「なにが先でなにが後だかわからない」とか>>続きを読む
リンチという天才がそのすべてをつぎこんだ、たくみな構成と映画的美しさにあふれた大傑作。
ハリウッドビジネスの光に隠された欺瞞と闇をテーマとしながら、それをきわめて個人的なものがたりとしてえがいている>>続きを読む
ひとりの老人が、失ったものを取り戻すために自分に課した道程をえがく、素敵なロードムービー。
あまりにシンプルなものがたりを映画として一流に仕立てあげているのは、たっぷりとしたショット、舐めるような>>続きを読む
リンチらしい構成と演出の巧みさが完璧に生かされた傑作。
そこに起きているのは、愛と嫉妬と復讐をえがいたきわめてシンプルなものがたり。
だが「起こったとおりに記憶したくない」との言葉のとおり、置き換>>続きを読む
しらけるほどにすべての要素が浮遊する、ダサさ満載のロードムービー。
その中身は『オズの魔法使い』の世界を借りながら幸せをさがす旅をえがく、驚くほどシンプルでストレートなものがたり。
ひねりもないあ>>続きを読む
クライムサスペンスとしてはこのうえなく古典的でシンプルな作品。
そこに性倒錯と暴力をなかばシュールに、なかばコミカルに織り交ぜた面白さが評価されたのだろうが、日常の下に隠された世界というのも、いまと>>続きを読む
リンチのイメージから見世物小屋的な趣味でつくられたというのはさすがに穿ちすぎで、やはりヒューマニズムがテーマであることは間違いないだろう。
ただし、そこにあるのは奇異の目で見られるものへの共感より>>続きを読む
言語を超越した無意識領域へ踏み込む天才、デヴィッド・リンチの長編デビュー作。
わかりやすいメタファーの羅列によってつくられているので、シュールレアリスム的な見かけより難解ではない。
観るものをこの>>続きを読む
アメリカという国がはらんでいるいくつもの矛盾を、ひとつの架空の村のなかで起こる事件に凝縮してえがく傑作。
さまざまな差別、証拠なき復讐、振りかざされる正義など、ここで批評されるものは、アメリカ国内>>続きを読む
刑事アクションものの名作。
『ダーティハリー』からの影響やいくつものオマージュを感じさせながら、自殺願望のある刑事というところが面白い。
アクションも設定もかなりハードなもので、見せ場はどれもいま>>続きを読む
いわゆる「プラハの春」のころのチェコスロバキアの政治的記録として貴重な一本。
いまでは時代を感じさせる修正主義批判のあからはまな政治的メッセージにはややうんざりするが、前作『ブリティッシュ・サウン>>続きを読む
時代を考えればゴダールの真摯な訴えも説得力あるものだと思うが、なんのメタファーも効いていないあからさまな表現にいささか恥ずかしくなるくらい、わかりやすい作品。
「映画とは映像と音との闘いだ」と大上>>続きを読む
川島雄三を代表するコメディの傑作。
みずからの欲望になんの躊躇いもなく忠実に生きるものたち、すなわち獣が見せる滑稽なドラマ。
上質な舞台喜劇を観るようなセリフのリズムが心地よい。
急テンポの囃子>>続きを読む
やや古びて見えるサスペンスとしてのプロットの面白さよりも、構図やカメラワークの見事さ、照明の巧みさが観るものをうならせる。
音楽らしい音楽がほとんどないのも良い。
若尾文子の男をまどわせる魅力と罪>>続きを読む
全編にながれる不思議な音楽が象徴するような、不安定な根無し草の芸者の生き様をえがいた秀作。
終着駅/始発駅でひとりになるラストシーンは、彼女の再出発への兆しを感じさせる素晴らしいもの。
若尾文子の>>続きを読む
古典落語の「居残り佐平次」や「品川心中」などをたくみにまとめた、一流の時代劇コメディ。
フランキー堺や、左幸子、南田洋子をはじめとした(ある一部をのぞいて)芸達者な出演者が、自由にしかしあるスタイ>>続きを読む
ものがたりの舞台設定、プロット、生活感ある細部のリアリティ、いすれもセンスの光る仕事が見られる傑作。
川の向こうとこちら、そしてそこにかかっている「橋」のメタファーがきわめて効果的。
なにより、脇>>続きを読む
前作同様のいかにもなストーリーが展開されるが、続編ならではの引き伸ばし感にみちあふれている。
いちばんの見どころが南田洋子のナチュラルな弱き美しさだということも、前作とおなじ。
温泉宿やホテルでの>>続きを読む
題材としても人物造形にしても典型の域をでず、それらの作品の原点といえばそうかもしれないが、いまとなってはいささか陳腐な印象は否めない。
そのなかにあって、ひたすら南田洋子の美しさが見もの。
その抑>>続きを読む
明治から昭和にかけて生きた破天荒な男の一代記。
芝居のていねいさよりもテンポでもっていく演劇的なリズム感が、大阪の長屋裏の空気をつくりあげている。
それにしても主人公は、よくもこれほど身近なものを>>続きを読む
どこを切り取ってもお手本のような構図とカメラワークにあふれている。
随所に見られる思わせぶりでミステリアスな演出。
「享楽するすべ」を知らない日本人の空気が、みごとにえがきだされており、その先に幽>>続きを読む