晴れない空の降らない雨さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

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CGではなくて撮影や演出の問題だと思うが、今見るとどことなく古臭さを感じる。クロースアップの撮り方とかスローモーションとかディゾルブとか? 単純に立ち上がりが遅いから、というわけでもない気がする。別に>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

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 オープニングの、朝霧漂う庭の定点ショットのモンタージュからなるシークエンスはあたかもタルコフスキーの映画のようだ。しかし物語が動き出せば、そこには、タルコフスキー的な神秘主義の入る余地などほとんどな>>続きを読む

コロンバス(2017年製作の映画)

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 ミラー邸でフラッと消える教授とそれを探す助手。この冒頭のシーンが、ついに劇中で親子の会話どころか対面を見せることもない息子を使って反復される。しかし、広大な庭を前にたたずむ男を背後から捉えたショット>>続きを読む

波が去るとき(2022年製作の映画)

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 『立ち去った女』しか観ていないが、あちらに比べると何だか力強いショットもなく構成にも締まりがなくてイマイチだった。ショットの長さそれ自体に意味があるのは分かるのだが(長回しとはそういうものである)、>>続きを読む

1950 鋼の第7中隊(2021年製作の映画)

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うーん? 

まず映像の質感が古くて、今風の全てが鮮明でコントラストが強すぎる色調を予想していると面食らう。そこは時代の表現としてよいと思うのだが、CGまで古臭くしなくても笑 空母やら爆発やら、はて
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豚の王(2011年製作の映画)

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悲惨すぎてコメントしようがない。日本の作品だったら炎上間違いなしのローファイなアニメーションも、登場人物たちの置かれた境遇や卑小な存在に驚くほどマッチしている。

ナショナル・シアター・ライブ 2022 「ヘンリー五世」(2022年製作の映画)

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NTLで観てきたシェイクスピア劇では一番興味をそそられない作品だった。

開始前にヘンリー5世役の俳優がインタビューされており、作品にやや批判的なスタンスを取っていたので、作者の意図を裏切るようなアイ
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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 邦題つけた人には長男が見えなかったらしい。

 ヨーロッパの映画監督には、セックスをいかに不快でおぞましいものとして描けるかで勝負している人たちがいるみたいだけど、ランティモス監督はこの初期作品から
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ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

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『ロミオとジュリエット』において恋人たちが自身の姓を否定するくだりがお気に入りなので、この翻案でそこが消えているのは残念だが、設定を中米移民と白人の下層階級同士の不毛な対立に置き換えてアメリカンドリー>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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 主題に沿って物語を展開していく構成力の高さ。世界初の「映画」に撮られたという忘れ去られた黒人騎手、馬たち、ゴーディ、しょっぱいテーマパーク、そして未確認飛行物体。モデルかつ女優にフラれた男も脇役で登>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

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 60年代のベルイマンの代表作で、多分最もアブストラクトな一品。
 『沈黙』から『誰もその女たちについて話さない』ときて本作と並べると、主題の面では男性から女性へと焦点が移行したことが明確となる。失語
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沈黙(1962年製作の映画)

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 「神の沈黙」三部作を締めくくる本作だが、神ではなく人びとの間のディスコミュニケーションが主題に据えられている。ディスコミュニケーションは異言語ゆえに起きているようで、実際は言葉が通じ合う姉妹こそが最>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

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 「神の沈黙」三部作の第1作であり、監督のフィルモグラフィ全体においても男性から女性への焦点の移行という意味で画期をなしている。ベルイマン本人の説明によると、第2作『冬の光』の撮影中に、彼を悩ましてき>>続きを読む

Happiness(原題)(2017年製作の映画)

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ネズミを使った文明風刺アニメーション。誰かがリクエストすれば、ほぼ掲載されるっぽいなfilmarks。

骸骨の踊り(1929年製作の映画)

5.0

 ディズニーの伝説的シリーズ『シリー・シンフォニー』第1作で、ティム・バートンのオマージュも有名。自由に動かせる骸骨でできることのアイデアを連発するだけの、まさにSillyな短編である。死者をももてあ>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

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 ベルイマンの『神の沈黙』三部作の2作目。あえて作家主義的にとらえなくても「神への決別宣言」以上でも以下でもない作品。ベルイマンの映画では珍しくないのだが、ドラマもアクションもほとんど存在せず、映像上>>続きを読む

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)

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「あくびが二人を分かつまで」

 幾つかあるベルイマンによるコメディ作品のひとつ。ヘイズコード以前のルビッチ映画を彷彿させる、ちょいエロ艶笑喜劇である。男女の赤裸々な会話や後半の狂言回しを演じる馬丁の
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流浪の月(2022年製作の映画)

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 撮影監督がホン・ギョンピョだということで鑑賞。暖色と寒色の対位法がややゴリ押しだったが、見せ方がうまかったので良し。例えば、喫茶店で広瀬すずがくつろぎを感じているときに、横浜流星から電話がかかってき>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

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 去年のこの時期にこれ観ていたことを不意に思い出したが「お父さんのばかー」以外の記憶がない。完結直後に読んだ原作漫画はまだ少し覚えているのだが。

野いちご(1957年製作の映画)

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 ベルイマンにしては優しい(ように見える)作品だからか、おそらく当時も今も人気ナンバーワンな作品。自分が初めて観たのもこれだった。ベルイマン的主題という観点からまず指摘されるべきは「老いと死」だろうが>>続きを読む

道化師の夜(1953年製作の映画)

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 ベルイマンらしいペシミズムに満ち溢れた初期作品。堂々としたエロティシズムも。また、現代以外の時代を初めて舞台にした作品でもあるが、それはあまり重要でないだろう。結局のところベルイマンが語りたいのは現>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

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 本作の“死”は映画におけるアレゴリカルな登場人物として最も有名だろう。ペストと魔女狩りの時代を背景にした宗教劇だが、意外とコミカルなところもあって面白い。とりわけ座長と鍛冶屋の言い合いは喜劇そのもの>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

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 古き良き冷戦末期ハリウッド映画の手の込んだパスティーシュを成立させるために召喚された「ならず者国家」(劇中のセリフより)はどこだろうか。結論から言えば、「イラン+東欧」のハイブリッド架空国家だと思う>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

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主人公(漫画家)のキャラクターが弱いので中だるみが発生する。
その俳優がボソボソ声と棒読みの違いを分かっていないので演技力不足が露呈する。
テーマとキャラクターの掘り下げが弱いのでカタルシスが不足する
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映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

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 すぐ後で映画の撮影場面であることが分かる冒頭の長回しが『黒い罠』っぽいなと思っていたところ、後半に答え合わせがあった。監督本人が演じる、劇中劇をとりまとめるフェラン監督の夢の中で、少年期の彼は『市民>>続きを読む

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

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■写真
 制作中のトリュフォーが果たして『死刑台のエレベーター』のことを意識していたかどうかは知らないが、同じくジャンヌ・モローがヒロインを演じた同作のことを自分が思い出した理由は「写真」である。
 
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

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 冒頭の『パラサイト』オマージュ以外は、韓国が舞台でも概ねいつもの是枝。監督の永遠のテーマである「家族」に関する制度や考え方が日本と大差ない、というのも理由の1つだろう。ただ、いまだに男児により価値が>>続きを読む

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

2.0

 もう何年もピクサーには失望させられてきたし、企画の時点で気に入らなかったし、予告編もつまらなそうだったし、アメリカ本国のレビューも今ひとつだった割には、まぁ「見ていられる」作品ではあった。
 少なく
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

5.0

 ゴダールの長編第1作は、今見ると色々と物足りなく思える。例えば、彼のカラフルな色遣いを知っている者にとって、モノクロは残念に感じるところだろう。
 とはいえ、(ベタベタに作家主義的なことを言うが)偉
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

5.0

 ひとりの少年の映画であり、子どもたちの映画であり、パリの映画でもあることに本作は成功している。

 何かとモノローグを入れがちなこの時期のフランス映画にあって、アントワーヌ少年の内面に対する直接的描
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水の話(1958年製作の映画)

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 短編。大洪水のときにゴダールとトリュフォーが企画し、トリュフォーらが撮影した無声素材をゴダールが台詞を考えて編集・録音したらしい。男性のナレーションはゴダール。そういうわけで、一応は共作ということに>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

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 安徳天皇の入水を3回も見ている変な年(平家物語、鎌倉殿、犬王)。
 久しぶりの妥協しない湯浅。グロ表現もあったりして『ケモノヅメ』を思い出させるも、さすがにあの頃のB級感はなく。最初から最後までやり
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不良少女モニカ(1952年製作の映画)

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『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』でゴダールらに影響を与えたとして紹介されていたので鑑賞。もともとベルイマン映画もきちんと観るつもりだったけど。ヌーヴェルヴァーグへの影響は、確かに女性の肢体にある種の即物>>続きを読む

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

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 コンラッドと映画といえば何はともあれ『地獄の黙示録』ということになろうが、こちらも少なくとも現状よりは有名になるべき傑作だ。
 長回しフェチとしては嬉しいワンシーン・ワンショットが非常に多かった。例
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ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー(2010年製作の映画)

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なーんか散漫で印象に残らない。本を読まない人にとってはそこそこお勉強になるが、映画史的なストーリーと二人のストーリーとが中途半端に取り上げられてどっち付かずになってる。俳優のジャン=ピエール・レオを第>>続きを読む

罪の天使たち(1943年製作の映画)

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 ブレッソンの長編デビュー作。最近BDがたくさん出たので、もしかして日本語ソフトがない唯一の長編作品か? 1943年なのでヴィシー政権時代の映画で、要するにブレッソンは1930年代の巨匠たちがフランス>>続きを読む