三峡ダム建設によってやがて水没する古都・奉節で、別れた妻子を探す男と、音信不通の夫を訪ねる女。解体されていく街と、そこを立ち去っていく人々。生活と労働。
写真や映画はつねに失われたものを表象しており>>続きを読む
『不眠症』『シネマトグラフ』『健康でさえあれば』『もう森へなんか行かない』の4篇を収録したオムニバスコメディ。
特に4つ目が好みで、田園を舞台にピタゴラスイッチのように不条理が連動していく展開作りが>>続きを読む
「1はかなり酷いけど2は面白いよ」と勧められたので観たが、こちらも十分酷かった。強いて言うならば、唐突なミュージカルパートがあったり、ミスティックシールドを連発しまくったり、前作の大失敗を生かして笑い>>続きを読む
サイレント映画の到達点ともいわれる名作中の名作。目まぐるしく変わる展開と、映像と音楽だけで全てを語り切る映画的な表現力の高さに驚かされる。
まずストーリーが凄まじく、随所に設定されたサスペンスにも惹き込まれた。落魄の身になったじじいの抱える屈辱感は滑稽だが、家族を殺そうとする苛烈な憎悪はゾッとするほど悍ましい。生まれてきた天白(ティエンパ>>続きを読む
紅の色彩美を浴びるような作品。原作はノーベル賞作家の莫言。監督チャン・イーモウと主演コン・リーのデビュー作にして、コラボレーションの出発点。
赤々と照り映える夕陽、燃え盛る炎、血のように注がれるコー>>続きを読む
驚くべきつまらなさ。あらゆる点において駄目なところしかないが、だからといってツッコんで楽しめるほどの突飛さもなく、裏笑いにすら昇華されない部分が大半なのでタチが悪い。
テレ東の名作モキュメンタリー『このテープもってないですか?』を彷彿とさせる後半の展開。前半は自主映画制作の裏側を覗くような映像で興味深かった。この映画そのものが進級のための……というメタ的な想像をした>>続きを読む
アカデミー賞(短編ドキュメンタリー賞)ノミネート作品。コロナ禍の小学校で、来年度の新入生に向けた歓迎の演奏を1年生たちが練習する様子が記録されている。カメラの存在を感じさせない巧みな撮影によって、学校>>続きを読む
ジュブナイルホラーながら怪異の表現は結構凝っていて、子供時代に観たら強烈な印象を残していたと思う。途中で意識が飛んでしまったが、終盤、ある事実を知った一同が旧校舎前で沈黙するシーンはめっちゃ良かった。>>続きを読む
女性が初めて本格的な商業映画の監督を務めた記念碑的作品。国立映画アーカイブで上映後、山崎博子監督のトークがあり、当時のスタッフやキャストの方々も客席に沢山いらっしゃっていた。35年以上前の映画なのにこ>>続きを読む
前後編合わせて5時間40分の超大作。1978年に起こったアルド・モーロ誘拐事件の真相について、史実を再解釈したかたちで描き出されている。途中で少し寝てしまったが、それでも否応なしに圧倒される重厚さがあ>>続きを読む
内容はかなり重く、随所に痛々しいシーンもあるが、傑作であることは間違いない。イラン映画ならではの強烈なメッセージが提起されながら、物語はダイナミックかつスリリングに展開し、167分間ずっと画面に釘付け>>続きを読む
とても良い作品だった。どんな教育が正解かはわからないけど、子供の可能性を信じてあげることは忘れちゃいけないなと思う。
冒頭と最後のシーン、学校の外側で暮らす子供が映る。詳しくは描かれないが、恐らく学>>続きを読む
普通に面白そうで楽しみにしていたが、不眠症で連日まともな睡眠を取れていなかったので、たがが外れたように熟睡してしまった。冒頭のシーン、柴咲コウがフランス語喋ってるのだけは見届けた。あと途中で銃声が結構>>続きを読む
人間味や倫理観の欠落した人物造形、説明なしに恐ろしい状況に陥っていく不条理性、ジャンルが変わったかのような急展開など、キャッチーなパッケージでありながら黒沢清に求めるものがすべて詰まってる。
とくに>>続きを読む
米軍撤退によりタリバンの制圧下になったアフガニスタン。生命の危機に晒されたアーティストたちを救うため、モフセン・マルマルバフ監督一家は、フランスやアメリカに救援を要請する。しかし、飛行機で脱出できる人>>続きを読む
小津論を色々読みながら今月2度目の再鑑賞。新しい発見が多かった。
それにしても、本筋とは関係ない何気ない日常の描き方が抜群に良い。夜中にショートケーキ🍰食べていると子供が起きてきて咄嗟に隠すところとか>>続きを読む
めっちゃ久しぶりのティム・バートン。前作を観てなくてもそれなりに楽しめたが、観ていたらまた色々な発見があっただろうと悔やまれる。衣装や風貌などキャラクターのビジュアルは見ていてどれも愉快だし、音楽もノ>>続きを読む
初めて観る表現の数々に衝撃を受けた。怖くて面白いけど、観終わったあと最終的には「変だな」と思った。奇天烈というべきか。何でも詰め込んだゲテモノ趣味のお化け屋敷に入ったような気分。
そもそも知らない猫>>続きを読む
ビクトル・エリセのキャリアを締めくくるのに相応しい文句なしの集大成であり、沈黙の巨匠の31年ぶりの新作長篇というバイアスを抜きに、現役作家の一本として観ても最高水準の傑作だと思う。何から語るべきか見当>>続きを読む
固定カメラで水面を映したシンプルな掌編。何回か観たことはあるが映画館で観るのは初めて。大画面のスクリーンで観れて嬉しい😃
木々が映った水面をアメンボが移動し、円やかな波紋が絶え間なく広がる。鴉や蝉の>>続きを読む
今週ウォン・カーウァイ7本目なので流石に言うことがなくなってきた。前半はパイン缶食べすぎだし、後半は「California Dreamin'」流しすぎ。 そして言うまでもなく雰囲気が良すぎる。スタイリ>>続きを読む
監督二作目にして、後の常連キャストにもなる香港スター6人が一堂に会した作品。疲労と睡眠不足により劇場ではほとんど寝てしまったため配信で再視聴。
俳優の演技力とショットの映像美は素晴らしいが、物語その>>続きを読む
ウォン・カーウァイの監督デビュー作。ある日叔母さんから電話があり、面識のない従姉妹を家に泊めることになり、仲間からは彼女と間違えられたりしながらも、だんだん二人は打ち解けていき、そうこうしているうちに>>続きを読む
香港の裏側にあるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスを舞台に、男性同士の刹那的で倦怠感のある恋愛を描いた作品。カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞。映像の素晴らしさは相変わらずだが、本作は冒頭と終盤にイグア>>続きを読む
傑作『恋する惑星』(1994)と『ブエノスアイレス』(1997)に挟まれ、ウォン・カーウァイのなかでもあまり目立たない作品だが、個人的にはこれが一番好き。ハードボイルドでもあり、コメディでもあり、ラブ>>続きを読む
『花様年華』の実質的な続編になっており、こちらを後に観るのがいいと思う。
作家であるチャウは日本人青年のタクを主人公のモデルにしたSF恋愛小説を描くが、やがてその主人公に自分を同一化させ、現実と虚構>>続きを読む
おかしがたい気品とあでやかな色気を兼備した極上の不倫映画。新聞社で働くチャウと、アパートの隣室に住むチャン夫人は、お互いの伴侶の不貞を知ったことから、少しずつ心を通わせていく。二人で小説を書くことで共>>続きを読む
この映画の面白さは、開かれた読みの可能性にあると思う。一方では読者への挑戦状でもあり、他方では純文学的な宙吊りにもなっているという、洞察に富んだプロットが素晴らしい。観客は、いくつもの伏線を散りばめて>>続きを読む
『東京物語』と二本立てで鑑賞したが、こちらも甲乙つけがたい名作。
本作での紀子(原節子)は、家族から結婚を心配される独身女性の役。紀子の結婚が物語の中心となりつつも、おじいちゃんと孫の交流、父に叱られ>>続きを読む
ストーリーも一つひとつのカットも全てが沁みわたる世界的マスターピース。
仕事と家庭に追われ、遠方から訪ねてきた親をどこかで邪険に扱ってしまう子供たち。連れ立って歩く老夫婦の寂しい背中。まだ自分の家庭が>>続きを読む