全編にわたり幽霊の一人称。そんな意匠の映画、ぼくははじめて。なわけで、なにはともあれそのユニークさに乾杯。フェンタニルを使った悪さの増幅にも呆れてドキドキ。ほんと困ったもんです。幽霊の視野は広角なのか>>続きを読む
小さな飛行機のなかでの3人のやりとりやアクションがほとんど全てというミニマルな作りなので、言葉や表情のニュアンスの絡み合いやそのテンポが良否に大きく影響を及ぼすと思うんだけど、その結果はいかがかな?こ>>続きを読む
理不尽で悲惨な境遇に置かれた人々。その呻吟は地球上いたるところ溢れている。そこから発信される幾多の映像。映像は心に響き、感情を揺さぶる。あふれる感性のもとでは理性が弛んでしまうこともある。そこで必要に>>続きを読む
自意識過剰で自己愛的なディラン像が60年代前半の政治状況や風俗とあいまってしみじみ納得。まわりのミュージシャンも存在感があり、音楽満載で楽しめる。印象的だったのが最晩年のウディ・ガスリー。追悼のために>>続きを読む
体を張って生きてる23歳の女の子と親のお金を湯水のように遣って遊び呆けている20歳の男の子、その出会いから結婚までの経緯はいささか退屈なんだけど、結婚を御破産にしようとする3人組が登場してからのワーワ>>続きを読む
入館時に手渡された小さなチラシを上映前にざっと読んでふむふむ、こんな建築家だったのね。インターミッションありの長丁場だったけど、まったく飽きることなく見終わった。バウハウスがひとつのモチーフになってる>>続きを読む
閉塞的で理不尽な政治状況への怨嗟に満ちたネットリした心理描写から一転、後半はアクション満載のハラハラドキドキ。その転調が面白い。耳マスクには笑った。祖国をこっそり抜け出してカンヌ映画祭に向かったという>>続きを読む
静かで心地よい展開。舞台の会話劇が原作なのか、映画的なメリハリには欠けていて、ダコタ・ジョンソンに魅入っているうち、いつしかうとうと。疲労と寝不足のなかで観た私の失敗。まあしかし、こんな運転手のタクシ>>続きを読む
テレビの生中継スタッフの右往左往ぶりを通してテロ事件を再現。銃撃戦も流血も定かには見せないまま展開する潔さ。それなのに臨場感や緊迫感に包まれて、これはアイディアの勝利だな。制作のコスパも多分悪くはない>>続きを読む
こんな奴おらんやろと呆れ返ってしまうほどに傍若無人暴虐非道の大地主vs笑顔を忘れた謹厳実直融通知らずの開拓者ミケルセン、その壮絶な闘いの顛末。かなりベタなメロドラマも絡んで、うーん、18世紀だもんな、>>続きを読む
うまく作られたお話で、なるほどね、なんだけど、繰り返しが多くって、僕にはちょっとくどかった。でもホテルのロビーみたいなところで、本当はね、と松たか子が真相を語るシーンとか、良いシーンがいっぱい。面白か>>続きを読む
ナチス関連の映画を観ていつも思うのは、ナチスに備わる容赦のない徹底性。それに抗うにはこちらも人間性を捨てるしかないということか。そこには正も邪もない。多くの欺瞞や裏切りの上でなんとか生き延びることがで>>続きを読む
怖くて気持ちのわるい事態の乱れ打ちで、ダレることなく突っ走る。それにしても邪悪なるものってなんなのか、邪悪なるものの目的ってなんなのか、そのあたりがよく分からなかったんだけど、そんな分からなさが邪悪の>>続きを読む
まるでポーランドの観光映画。そのなかにじんわりとユダヤ教やナチスによる強制収容所の問題が滲み出てくる趣向。とにかく画面が美しく目に優しいので気持ち良い。全編ショパンが流れるしね。ただキーラン・カルキン>>続きを読む
良くできたお話を心底堪能。舞台作品が原作なのかと思わせる徹底した会話劇。二人の名女優による演技合戦。都会の夜景と田舎の緑が対比的に描かれる美しい撮影。家具や小物、引用される言葉や映像など、画面の隅々ま>>続きを読む
とにかく恥ずかしい邦題に逃げ腰になってしまったんだけど、でもまあ映画を愛する者としては見なくちゃいけないのかと思って映画館に。章の立て方がピンとこず、でもまあ部分部分はそれなりに面白いので気持ちよく眺>>続きを読む
一人暮らしの老人男性の日常が淡々と綴られる前半が僕は好き。幻覚や妄想が現れてくる後半ももちろん興味深いけど、ここまで変な出来事が積もってくると、もっと凄い展開を期待してしまう欲張りな私には、案外淡白な>>続きを読む
この監督の映画が好きという人の気持ちもわからなくはないんだけど、エグみを見せびらかすみたいな作風が僕にはこけおどかしに思えてしまうのが残念。とはいえ見損ねていた今作が4Kレストアで上映されると知って映>>続きを読む
狭苦しく迷路のような九龍城砦のセットのなかを縦横無尽に、とくに落ちたり這い上がったりのアクションがとにかく痛快。むっちゃっくちゃ強い主人公や敵役を中心に繰り広げられる激しいバトルが見所だけど、その背後>>続きを読む
震災の記憶、コロナ禍の記憶、東北vs東京、行政と企業、とかなんとか、いろんなアルアルが緩やかに詰め込まれているんだけど、いちばんの見所はなんと言っても三陸の美味三昧。「くいしん坊!万才」みたいでお腹が>>続きを読む
統合失調症になってしまったお姉さん、そして父と母。そこに生まれる困惑や混乱、理解と無理解、愛と抑圧、そして不如意のまま過ぎ去っていく幾歳月。そんな家族の日常を、ホームムービーのように、そして定点観測の>>続きを読む
かなりえげつない犯罪ものなので、面白いなんて言っていいのかと躊躇いもあるけれど、とにかく面白い。テンポもいいし、わるい奴らはとことんわるく、それをとことんやっつけるもんだから胸がすく。父カサヴェテスを>>続きを読む
錯綜する駆け引きや腹の黒さなど、もっとハラハラドキドキの展開にもできただろうに、さすがフランス、エスプリ重視の抑え気味の展開。美術界やオークションの裏にうごめく人間模様が面白い。へーっ、なるほど、と思>>続きを読む
先生はユニークで面白いし、校長とのコンビも愉快だし、子供たちは可愛いし、ダメ集団が一致団結して昂まっていくってのは感涙への定番のひとつだし、そこから落ちこぼれる犠牲者がいるのもスパイスだし、そんなよく>>続きを読む
マルタの猫たちと地域猫活動や保護猫活動をしている人々のゆるいドキュメンタリー。このゆるさを良しとする向きもあるかもしれないけど、はてさて。印象に残ったのは前脚一本を失った猫さんの凶暴さ。
ゲームのやや荒いCG画面がテレビやパソコンのモニターではなく大きなスクリーンに映し出されることがまず新鮮。全編ゲーム画面で展開されるのもユニーク。現実空間vs仮想空間、その境界の揺らぎ、そして現実逃避>>続きを読む
悪い奴らをそのてっぺんまで徹底的に追い詰めていく痛快なお話ではあるんだけど、どう考えても殺し過ぎ。悪い奴らじゃない人もけっこう犠牲になっている。いくら正義の刃でも、行き過ぎちゃうのはいかがなものか、自>>続きを読む
オランダでのナチの暴虐のエピソードが女性ナレーターによる淡々とした語りで次々に紹介され、そのエピソードの舞台になった場所の現在の姿がスケッチ風に次々に写し出される。始まりもなく終わりもなく、それが4時>>続きを読む
これは面白い。お話のベースがユダヤ教なので、それだけでも無知な私にとって興味深いのに、そのなかで展開される恋愛模様がユニークで、教える教えられる、救う救われる、といった関係の両義性が上手く盛り込まれて>>続きを読む
人に優しく親切にすることの大切さが、衒いも屈折もなく直球で飛び込んでくる。説教くさく感じる人もいるかもしれないけれど、そんな人にこそ薦めたい映画でした。日常のなかのいじめと民族間の差別や暴虐とを繋ぐよ>>続きを読む
人間の内と外が呼応しあって展開していく趣向は面白いけど、外に比べて内の描写は漫画的というか学芸会風で、ヘルメット姿がいささか情けない。動物を人間が演じるってのはよくあるけど、細胞を人間が演じるってのは>>続きを読む
大小ダブルの冤罪、逃避行でのトリプルの出会い、捜査の杜撰やネットの功罪、そんなあれこれが盛りだくさんで、いささかお腹にもたれ気味ではあるんだけど、過去と現在をワンカットで収めようとする力のこもったシー>>続きを読む
王国ブータンに突如持ち込まれた民主主義に右往左往する村の人々。そんなお話が、世界のあちこちで民主主義の限界や破綻の兆しが見られているこんなご時世に突如現れたもんだから、新鮮というか衝撃的。民主主義って>>続きを読む
いまそこで起こっている出来事をその場で覗き見しているような感覚。ドキュメンタリーというよりライブ感覚。それが凄い。かなり作為的な物語なんだけど、あまり作為を感じさせないのは、社会の流れの中で追い詰めら>>続きを読む
いったいどこの国がモデルなのか分からないけれど、これほど自浄作用に欠けた学校が認可されてることがまず不思議。そして学校におけるマインドコントロールや摂食障害さらにはカルトといった深刻な問題がブラックユ>>続きを読む
60年代から70年代に。反抗の時代から諦念の時代へ。それぞれの形容の仕方は違っても、まあそんな時代の変遷をなんとなく感じて過ごしたことのある人にとっては心に響く物語。僕はバイクを運転したことも後ろに乗>>続きを読む