めしいらずさんの映画レビュー・感想・評価

めしいらず

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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.3

このドキュメンタリー映画の胸糞悪さは三層からできている。
一層目はもちろん12歳の少女たちに欲情する男たちのリアルなその発露の気色悪さ。チャットでの初対面から股間を手でいじっているわ、あまつさえそれを
>>続きを読む

ストレンジャー/謎のストレンジャー(1946年製作の映画)

2.8

ナチスの残党の主人公がアメリカで安泰な教師の身分に身を隠していたけれど、かつての仲間を殺したことで怪しまれ始め、少しずつ追い詰められていく。妻に罪をあっさり告白し味方に変えてしまう狡猾さが大胆で面白い>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

3.5

さまざまな映像を粗い質感の色彩処理と音響処理によって編集しコラージュしたゴダール最後の長編作品。政治的な側面を云々すること能わずなので、ひたすらイメージの奔流に流されるのみだったけれど、今なお鋭敏な彼>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.0

「葉隠」を読み”サムライ・スピリット”を継承する殺し屋ゴースト・ドッグの物語。マフィアに追われ、愛鳩を殺され、マフィアに属する主人の体面を保ちながらマフィアを掃討し、主人に討たれるまで。真面目なように>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.3

何ら特別でないどこにでもある普通の人の人生観の移ろいを映して確かな手触りがある特別な映画。観客の誰もが自分の恥に満ちたそれを思い出さずにはいられない普遍性がある。結婚、出産、仕事…。人生を決定づけてし>>続きを読む

ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

3.4

おとぎ話のように描かれた反戦映画。主人公が運命的に出逢った女に恋に落ち紆余曲折を経て家族を築くまでの前半。強制収容所の経験が息子のトラウマにならないよう父として精一杯に奮闘する後半。重く悲しく怒りを込>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

3.2

根から毒を分泌して周囲の木々を枯らしてしまう木「カリスマ」を、それぞれの思惑で執着し奪い合っている人々。彼らの起こす行動の動機は全く見えてこない。何の為にそうするのか。そもそも何をしているのか。それ以>>続きを読む

白い酋長(1951年製作の映画)

3.0

新婚夫婦の妻がローマで憧れの俳優と会って心が揺らぎかけ、夫は家族の手前妻の失踪を隠しながら彼女の行方を追って街をあちこちする。フェリーニ最初期のコメディ作品であり、ニーノ・ロータとの盟友関係は早くも始>>続きを読む

ヒッチコックの映画術(2022年製作の映画)

2.5

ヒッチコックが自身の作品や演出作法、その意図を語る体で作られたドキュメンタリー映画。映画内で彼のおそらく全作品について言及があったと思われる。ヒッチコック映画から映像素材もふんだんに用いられており、ど>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.2

映画の尺の3分の2までが主人公ベティ(ダイアン)の願望が投影した夢であり、クラブ・シレンシオの場面を境として残り3分の1が彼女の現実が示されているのだと思われる。「楽団はいない。全て録音テープです。こ>>続きを読む

アナベル 死霊館の人形(2014年製作の映画)

2.8

お話は正直よくある人形ホラーから逸脱するものではないのだけれど、人形の造形がとにかく恐ろしくてそれだけでもう既に成功している。良い点は人形自体が直接人に何か危害を加えてくる訳ではないところ。ただ人形棚>>続きを読む

自由を我等に(1931年製作の映画)

3.8

トーキー初期のルネ・クレールのドタバタ喜劇の傑作。チャップリンの「モダン・タイムス」が本作を真似ていると揉めたようだけれど、それに対するクレール自身の言葉が素敵で大好きなエピソード。管理統制され人がシ>>続きを読む

女神の継承(2021年製作の映画)

3.0

「ヘレディタリー/継承」と「エクソシスト」を織り交ぜたような擬似ドキュメンタリー映画。タイの土着信仰の女系祈祷師の家系の娘に悪霊が取り憑いて、祈祷師の叔母がそれを取り除こうと立ち上がったけれど…。ドキ>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.6

海辺の別荘にやってきた主人公ポーリーヌが、従兄弟マリオンと二人のダメ男との恋愛をめぐるトラブルに巻き込まれ、芽生えかけていた彼女自身の初恋にすっかり水を差されてしまう。それぞれの恋愛観が対立しているけ>>続きを読む

永遠の0(2013年製作の映画)

2.8

特攻みたいな愚策で命を散らすなんて隊員の無念を考えるほど冷静でいられなくなってしまうけれど、あの時代にあって臆病者と誹りを受け続けながらそれを拒み続けるのも同様に過酷なものだったはずである。部下に対す>>続きを読む

ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう(1972年製作の映画)

3.1

ウディ・アレン最初期のタイトルが印象的な佳作。7編からなるオムニバス。媚薬を用いて王妃と関係する芸人。患者が愛する雌羊を略奪し愛し合う医者。あるシチュエーションでのみオーガズムを得る不感症の妻。よその>>続きを読む

2000人の狂人/マニアック2000(1964年製作の映画)

3.1

ハーシェル・ゴードン・ルイス3作目。謎の百年祭のお祝いムードで賑わう村に密かに誘導された6人の旅行者が、村人たちから世にも恐ろしい歓待を受けることになって…。殺され方がどれもあまりに恐ろしいのだけれど>>続きを読む

アートのお値段(2018年製作の映画)

2.9

アーティストを差し置いて作品をギャラリーやオークションが常軌を逸した価格で取引し、コレクターがそれを投機目的で買い占め、そして転売によって更に価格が高騰し莫大な金の流れを生んでいくアート市場のありよう>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

3.7

明確に3.11を想起させる作りになっている。あの時に国民が固唾を飲んだ地震と津波、原発事故の映像をずっと見ていた時の感覚が蘇ってくる。体裁は怪獣映画であるけれど、実際には想定外の規模で発生した災害に対>>続きを読む

オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

4.3

オーソン・ウェルズによるシェイクスピア劇。逆光で光と影を際立たせたオープニングの画はまるで版画を見ているような美しさ。史跡をお得意のパンフォーカスでスケール感豊かに切り取った映像と、荘重な音楽や重厚な>>続きを読む

トラベラー(1974年製作の映画)

3.4

サッカーのことにかまけてばかりいる10歳の悪童が、イラン代表チームの試合がどうしても見たくて、あらゆる悪い手段を使ってどうにか金を工面し、バスで遠路はるばるテヘランの会場に到着したけれど…。平気で嘘を>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

3.2

原水爆や核開発への恐怖として描かれたパニックホラー映画。後の人間に飼い慣らされたようなゴジラ像とは全くの別物。ゴジラの造形が恐怖の対象として機能している。得体の知れない事象と遭遇した時に民衆や国家がい>>続きを読む

カラー・ミー・ブラッド・レッド(1965年製作の映画)

3.1

「血の祝祭日」に続いてハーシェル・ゴードン・ルイス作品二つ目を。絵の具の赤に納得できないでいたスランプ中の画家が、偶然に画布に付着した血に啓示を受け、恋人を殺した血で描いた絵によって評価を得、新しい絵>>続きを読む

血の祝祭日(1963年製作の映画)

3.4

これも子供の頃に読んだホラー映画紹介本で見つけた映画で、朱色味を帯びねっとりした血糊が毒々しい画像の強烈な印象を記憶している。スプラッタ映画の元祖ハーシェル・ゴードン・ルイスによる世界最初のスプラッタ>>続きを読む

アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)

2.2

低予算B級ホラーの帝王ロジャー・コーマン作品を初鑑賞。ポーの著名なゴシックホラー小説の映画化である。子供の頃に読んでいたホラー映画紹介本(確か4分冊だった記憶…)で見つけてずっと観てみたかった映画。低>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

4.6

予告編を偶然見かけてこれは面白そうな映画だと記憶に留めていたけれど、実際に観たらまあその素晴らしいことと言ったらない。もう既に6回も観てしまったくらい良かった。一つの好きなことに一心不乱に取り組み夢を>>続きを読む

幸せのレシピ(2007年製作の映画)

3.0

ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のリメイク。母を亡くした幼い姪を引き取って育てることになったシェフの叔母が、子育てに仕事に恋に振り回されながら奮闘するお話。主人公自身の誇り高さが数々の問題を難しくして>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

2.7

何かを為せずにいじけ、為してもいじけ、どのみちうじうじしいるだけ。問題の何もかも自分の所為だと口では言い、お前の所為だと言われると反射的に自己弁護し周りの所為にする。説得された重い腰を上げ、しくじって>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

3.3

庵野秀明はきっと子供の頃に特撮ヒーローものやロボットアニメに触れたときめきや、思春期の頃のイタさをそのまま持ち続けている人なのではないかと思う。気恥ずかしくて隠しておきたいような自己をちゃんと表現でき>>続きを読む

蛇イチゴ(2003年製作の映画)

2.8

リストラを隠し借金が嵩んだ父。耄碌した義父を救護せず見殺しにした母。篤実さで家族に疚しさを植え付けていた長女。そして犯罪に手を染め家族の厄介者扱いの長男が祖父の葬儀に現れて騒動が巻き起こり、その中で家>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

2.2

アルジェント作品らしくなくお話が割とちゃんとしている。しかも人情ものという意外さ。冒頭の日食シーンが美しい以外は美学性は少なめ。犯人の動機が「パラサイト半地下の家族」を思い出させる。アルジェントが高齢>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.8

4話からなるオムニバス。昔に「木と市長と文化会館」一本だけ観たきりで何となく避けてきたロメール作品であったけれど、何て勿体ないことをしていたのかと後悔するくらい面白かった。二人の女の子と、彼女らがあち>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.1

これまで観た西川作品の中でもとりわけ素晴らしかった。「100万回生きたねこ」を思わせるお話だと思う。自意識にまみれて生きて愛することを知らないまま妻を失ってしまった幸夫の不毛な人生はもう取り返しがつか>>続きを読む

アクト・オブ・キリング オリジナル全長版(2012年製作の映画)

3.8

1965年にインドネシアのスカルノ政権にクーデターを起こし誕生した軍事政権が右派勢力に命じた共産主義者狩りによって100万人以上が虐殺された「9月30日事件」。加害者たちはその時の英雄と讃えられ地元の>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

2.9

例えばオリンピック選手が支えてくれた人々の応援に感謝したり期待に応えられなかった悔いを語ったりするけれど、これは思春期の真っ只中にいる如何にも子供っぽい14歳の主人公が今からそういう大事なこと、人は決>>続きを読む

天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~(2019年製作の映画)

2.8

世界中のさまざまな分野で活躍する107人のアーティストに監督自身が「あなたはなぜ創造的なのですか?」と質問し回答を集めて回るドキュメンタリー。知らない人の方が多かった。ヘルツォーク、リンチ、北野、ウォ>>続きを読む