世界中のさまざまな分野で活躍する107人のアーティストに監督自身が「あなたはなぜ創造的なのですか?」と質問し回答を集めて回るドキュメンタリー。知らない人の方が多かった。ヘルツォーク、リンチ、北野、ウォ>>続きを読む
人生の長い時間を刑務所で過ごして来た主人公が今度こそはと更正を期するけれど、頭に血が昇りやすく直情的な性質によって困難なものになっていき、やはり元の関係性に居場所を求め戻りかけてしまいながらも、彼のこ>>続きを読む
一人の女を挟んだ兄弟の愛憎劇。渓谷の吊り橋から女が転落した事件は事故だったのか、それとも殺人だったか。田舎で家業を継いだ兄と都会で好き勝手に生きる弟との間の密やかな相剋。面倒事を兄に押し付け自己中心的>>続きを読む
引退を考えているウェディングプランナーの主人公の今回の仕事は古城が舞台。使えないスタッフたちが引きも切らずに巻き起こすトラブルをなだめたりフォローしたりしながらどうにかこうにか帳尻を合わせて終盤を迎え>>続きを読む
ブラナーの名探偵ポアロシリーズ第3弾。クリスティー晩年の作品「ハロウィーン・パーティ」の映画化で珍しいオカルトテイストな作風が印象的。舞台設定をベニスの古い館にしたことが奏功している。全編フォトジェニ>>続きを読む
孤島にある超高級レストランに集ったセレブリティたちの豪華ディナーコースが進むにつれ不穏な空気が店内を包み始めて…。味覚音痴、常連アピール、権力アピール、上から目線、下から目線…。グルメ気取りな嫌らしし>>続きを読む
「11歳の時、将来は何をしてると思ってた?」
20年前の父娘旅行のビデオを見返しながら、あの時のことを回想し父の心情に思いを馳せる現在の娘。一見すると楽しげな旅行であるけれど、時々父の不安定な内面が>>続きを読む
親を亡くした姉弟の姉エリザベートが夫にも先立たれ遺産と豪邸を受け継ぎ、弟ポールと親友ジェラール、アガトを交え始まった四人暮らしで芽生えた恋とその悲惨な顛末。女装した友人に瓜二つなアガトへのポールの倒錯>>続きを読む
70歳を超えたフランスの国民的女優ファビエンヌの自伝本が周囲に投げかける波紋。撮影現場や自宅での彼女と周囲の人々との穏やかならざる関係から、彼らの来し方にあった過ちや後悔を浮き彫りにし、そこからの再生>>続きを読む
革命グループのリーダーが手負いの殺人犯となり、仲間とはぐれ一人で街を彷徨い様々な人の手を渡りながら、恋人と共に非業の最期を遂げるまで。キャロル・リードの代表作の一つ。あの「第三の男」と同様に光と影と凝>>続きを読む
女の好意を都合よく利用する男と、男に尽くすことで依存する女の、どこにでもある交わらない恋愛のお話。相手から尽くされると重ったくなってきて鬱陶しくなっていく。好きになられた恋愛関係よりも好きになったそれ>>続きを読む
今までに観たイーストウッドの映画で一番良かった。彼の映画は”悪”がただ役割としての悪という意味付けでしか描かれていない気がして違和感を覚えることが多く本作にもそんな感じはあるのだけれども、復讐の応酬を>>続きを読む
性に目覚めたばかりのまだ子どもっぽさを残す主人公の少年が、憧れの年上女性と初体験するお話はよくあるのではあるけれど、本作はどこか神聖な感じがする。少年が人生で初めて悲しみを知って大人への階段を一歩上が>>続きを読む
オリジナリティとはまさにこれ。有名な「ファンタスティック・プラネット」と言い「かたつむり」と言い本作と言いルネ・ラルーにはそれがある。見たことない画の世界観の視覚的な面白さもさることながら、ラルーの最>>続きを読む
凝った設定が特長のランティモス作品らしくなくとてもシンプルな英国王室の内幕話。アン女王の信頼が厚く王室内で重用され強い発言力を許された公爵夫人サラに、彼女との縁故を頼って下働きに拾われた没落貴族の娘ア>>続きを読む
ある小学校の子どもたちにキアロスタミ自身が宿題についての取材を敢行したドキュメンタリー。なぜ宿題をしなかったのか。家族は読み書きができるのか。家族の誰が宿題の面倒を見ているのか。家族からの暴力の有無。>>続きを読む
離婚を突きつけられて当てつけに自殺する夫。その瞬間を目撃した強烈なトラウマに苛まれて常軌を逸していく妻。モラハラ夫は確かに相当ひどい男なのではあるけれど、妻だって夫に対して十分薄情に見える。滞在先のあ>>続きを読む
あの素晴らしい「アタラント号」のジャン・ヴィゴのもう一つの劇映画。これもまたすごく良かった。高圧的な教師たちや舎監によって窮屈な寄宿学校の生活を送っている子どもたちが起こした反乱。「大人は判ってくれな>>続きを読む
昔観た時は「オペラは踊る」ってタイトルだったけれど、今では「オペラの夜」になっていて別作品かと思ったけれど無論同じだった。マルクス兄弟らしいナンセンスなギャグが愉しめる代表作。チコとハーポの芸達者ぶり>>続きを読む
三人の魔女の予言と欲をかいた妻に唆されて王を暗殺し玉座についたマクベスが、悪になり切れぬ脆弱な精神に苛まれ、偽りの玉座を守る為に邪魔者を排除して罪業を深め、やがて後悔が見せる妄執に錯乱し、恐怖と孤独の>>続きを読む
ジョーダン・ピール作品は「NOPE/ノープ」に続いて2つ目だけれども、観客を一気に引き込む不穏な導入の巧さが際立っているのが共通していると思う。ある日に自分たちと同じ顔をした家族がやって来て家を乗っ取>>続きを読む
「Pearl パール」を先に経てから本作を観ると老夫婦の言動の其処此処に腑に落ちるところがある。「悪魔のいけにえ」「シャイニング」「死霊のはらわた」「サイコ」などのこの種の名作へのオマージュを感じさせ>>続きを読む
子どもが生まれる為には両親が必要ということ。親が子どもに寄せる思いは絶対的であり、それは時に理不尽でもあるということ。本当に寡黙な映画で美しい画と相まって観客を引き込まずには置かない。盛り込み過ぎず程>>続きを読む
画業に進むことを許されず意に染まぬ見合い結婚をさせられたちひろ。親に抵抗できなかった分だけ夫への苛烈な恨み辛みとなって表出する。指一本触れさせず、写真一枚残さぬまでに夫を完全に拒絶しきった彼女の態度は>>続きを読む
夫婦関係が破綻し一家離散した家族の関係が、紆余曲折の4年を経て再び動き始める。家族を捨て4年間放浪した父トラヴィスが、母ジェーンによって彼の弟夫婦に預けられていた7歳の息子ハンターと再会し、会わなかっ>>続きを読む
三年生が部を離れ新部長に選ばれた二年生のクミコがなかなか部長と呼ばれることに慣れず自信も持てないでいたけれど、イベントやちょっとしたトラブルを経ながら少しずつ部長らしくなっていく。親友レイナは物事の本>>続きを読む
新入り修道女の主人公アンヌ・マリーが、出所後にすぐに殺人を犯し修道院を隠れ蓑にとやって来たテレーズの世話係を任されるが、必死に更正させようとするあまりに周囲から孤立していく。正しさを自負し周りの修道女>>続きを読む
如何にもアメリカらしい雄大な自然描写の美しさ。経済優先の社会からドロップアウトしその自然へと還っていくようなノマドたち。暮らしぶりは貧しく苦労は多くとも何物にも縛られない身軽さにはやはり惹かれるものが>>続きを読む
禁欲的な生活を強いる謹厳な母。動けない父の世話。出征した夫。抑圧される夢。満たされない性欲。踊り子になり映画に出たい主人公パールの手枷足枷に募る恨み辛みと夢が断たれた絶望感。最初から顕著だった彼女の異>>続きを読む
「2001年宇宙の旅」の裏側をキャストやスタッフが証言。字幕の翻訳が今ひとつ要領を得ない感じ。
生産者、バイヤー、コーヒー店主らの一杯のコーヒーにかける情熱が伝わってくるドキュメンタリー映画。ほとんどの国で手作業によって収穫、精製、乾燥され出荷されている。大量生産向きではないものなのである。こん>>続きを読む
三姉妹とそれぞれのパートナーの関係性が入り乱れたり入れ替わったりしながら程よいところに落着するまで。コメディでありつつしっとりした味わいもある。才能豊かで精神的に自立した長女ミア・ファロー。美貌の三女>>続きを読む
タイトルの意味があまりに凶々しくて私たちを戦慄させずにはおかない。そして母親によるお話の繋がり無視のあの1カットは、「サスペリアPart 2」の自動人形のシーン級に心胆寒からしめる破壊力だった。こんな>>続きを読む
"swallow”(飲み込む)の字義通りの映画である。夫婦生活の中である種のストレスを覚えた時に何か異物を飲み込みたい衝動を起こしてしまう異食症の女の物語。飲み込む異物がだんだん禍々しくなっていくのが>>続きを読む
今や我が国の代表的な”和食”となったラーメン。店主たちがラーメンにかける情熱を取材した飯テロドキュメンタリー映画。「とみ田」店主富田への密着が軸になっている。観ていて辛くなるほどにそれぞれのラーメンが>>続きを読む
映画内の時間が上映時間の通りに進行し、全編をほぼワンシーン・ワンカット(数度カットの切れ目があるが)に見えるように繋いだヒッチコックの才気が冴える野心作。悪辣な動機で殺人を犯した二人の男は、その直後の>>続きを読む