おかもとさんの映画レビュー・感想・評価

おかもと

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小さき麦の花(2022年製作の映画)

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これは在りし日の人間の生き方に対するレクイエムだと思う。この映画の世界に何かしらの理想像を見出す全ての人は、もはや人類にはこのような生き方が難しいことを知っているように思える。

物を燃やすことでその
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過去のない男(2002年製作の映画)

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名作だ。特に警備員がおもろすぎるけど、オフビートな中にユーモアがあって良い。
演歌歌手が日本語でホノルル〜言うてるとこの面白さは日本人以外に伝わるんやろか?笑
と思ったら演歌じゃなくてクレイジーケンバ
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罪と罰(1983年製作の映画)

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救済の話。ソーニャたるところのエヴァがカッコいい。カッコいい女性とは必ずしも強い女ではなくて、弱さを知る人だ。と言えるほど人間心理を単純に済ます気がドストエフスキーにあるのかどうかわからないけど、なん>>続きを読む

オーケストラ・リハーサル(1978年製作の映画)

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フェリーニはマジの天才なんだなと思う。のちの影響について考えると、多くの映画監督がフェリーニになりたかったんやろなって気がする。
ネオレアリズモをやめてからもフェリーニは終始社会派だったんだなと、この
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

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個である限り孤独であり、生きる限りは欲望と記憶と老いから逃れられない、この世界の悲しみを描く映画。これを見てまず思い出したのは、昔テレビで見た、マリリンモンローが当時の配偶者であったアーサーミラーを見>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

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古代の人間は右脳における左脳の言語野にあたる部分で神の声を聞いていた、という真面目な学術書があるけど、そのあたりのことなんやろうなと思う。久々にガチアート映画を見たという感じで、右脳人間には評価され、>>続きを読む

Blue(2018年製作の映画)

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人間が死ぬ頃には既に3分の2くらい死に終えてるみたいな、モンテーニュの話を思い出した。この映画が進んでいく間も、徐々に自分たちは死につつあるわけで。
生きていることと死んでいることの不思議さを不思議な
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書かれた顔(1995年製作の映画)

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坂東玉三郎の美しさもさることながら、大野一雄がヤバすぎて印象に残る。
坂東玉三郎はなんというか、どんな作品であれ精一杯の演技で貢献しようとする、俳優の鑑という感じで、本当に尊敬する。

二つの季節しかない村(2023年製作の映画)

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なまじインテリな人間はあらゆる人間を蔑むことによって自分の劣情を正当化し、たまに知的な異性を見つけると気に入ってしまうが、それはあくまでも、自分がいかに優れているかを確認するための鏡としてその相手の知>>続きを読む

その女を殺せ(1952年製作の映画)

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小気味のよい映画。話が入り組んでておもろい。
終わり方も洒落てる。
ヒロインの女優がまだ生きてて101歳なのが驚き。

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

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過去の良質な作品の良質な部分をふんだんに吸収して出来た良質な作品という印象。オルフォイス神話を前向きに捉え返す発想とか、燃ゆる女のイメージとか、作り手の想像力の豊かさに感心してしまう。まあ裸股間丸鏡は>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

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名作だと思う。撮りたいものを撮ったんだろうという感じ。
女優の美しさが光る。全員えらい目にあってるからアレやけど…
内容は重たく混沌と哀愁に包まれているのに、何故か勇気をもらえる。

ハムレット(1948年製作の映画)

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リア王マクベスオセローがどれも人間の心の弱さに着目したものやから、ハムレットもそうやと思ってたけど、わりと英雄譚の感じがあって意外だった。社会的役割に翻弄される個人の心の問題というよりも、運命に翻弄さ>>続きを読む

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版(1991年製作の映画)

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物凄く豪華な俳優陣と、エゲツないスケールのロケ。全然面白くないというか、失敗してると思うけど、描きたいことはなんとなくわかるし、それを描こうとする監督の心は信頼したくなる、という感じの映画。
映画って
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エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

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夢と記憶には関連性がある。現実の中で夢を見ようとすることも恋愛感情の大きな要素だろうな。愛情とはからだとからだをよせて、さむさをあたためあうことなのだ、という金子光晴の言葉を思い出した。

それにして
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寄席の脚光(1950年製作の映画)

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さすがフェリーニ、面白い。フェリーニはいわゆる天才の部類に入る映画を作るというか、フェリーニにしかできない表現によって、フェリーニにしか伝えられないことを伝える能力を持ってるような気がする。
フェリー
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ウンベルトD(1952年製作の映画)

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素晴らしい映画だと思う。
このような作品に仕上げる作り手の人間的深みをしみじみ思う。

神の道化師、フランチェスコ(1950年製作の映画)

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豚足善行とか人間縄跳びとか、カオスなネタが随所に入る笑
ぼーっとみてるとなんやこれって感じやけど、考えれば考えるほど深みの増してくる感じがする。
信仰に救いを求める人間を嘲るのは最も卑しい行為だと誰か
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墨東綺譚(1992年製作の映画)

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パパ活に勤しむ孤独な老人の悲哀。
人間心理の機微を分かってしまうことは、愉快でもあり災難でもある。
男に比べて女は強いというか、生命力があるというか、孤独への忍耐力については随分と差があるような気もす
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一人息子(1936年製作の映画)

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さすが小津安二郎という感じの、シビアな作品。
利子付きなら金貸してくれる同僚を描くあたり、芸当が細かくてすごい。

インターステラー(2014年製作の映画)

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クリストファーノーランがなんで色んな映画で時間軸いじくるのかがよく分かった。
そんなんありかいなと思いながら普通に感動してしまうこの不思議。

ノマドランド(2020年製作の映画)

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伊藤忠の課長年収が3000万になるとかいうニュースを見ながら見た。
美しい世界の厳しい現実。現代を生きるヒッピーとしてのノマド。自分も去年は車中泊で旅をしたし、別の機会には本物のヒッピーにも会ったけど
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

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一人の主観的世界は他人のそれと通じ合うことが難しい。身を守る人間は最初から通じ合わせる気のないコミュニケーションに閉じてるけど、通じ合わせたい人間は失敗して傷つく。通じ合わせたい人間は往々にして、そん>>続きを読む

イントロダクション(2020年製作の映画)

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愛を一人へ向けられる本物の理念だと信じたいロマンチックな若者と、愛は嘘も本当も無く誰にでも向けられる行為だと語る現実主義的な大人。社会の荒波に飲まれた大人は現実主義のゆえに偽物っぽく演劇的に生きる一方>>続きを読む

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

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飛ばし飛ばし見た。
人間の深淵に触れようとして狂気に陥る人達と、頼んでもないのに最初から狂人な人達。狂気に陥る夫を見て興奮する奥さんが1番怖いけど、まあ人間やからしゃあない。

人類が滅亡した後に栄え
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近松物語(1954年製作の映画)

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カメラワークが引き中心で、行きずりの恋愛物にも関わらずキスシーンすらない節度は、旧態依然とした抑圧の面もあるだろうけど、美意識として凄まじいものだと思う。
特に中盤の舟のシーンからがすごく良かった。キ
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シェーン(1953年製作の映画)

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所有と承認ドリブンの社会ではエゴが肥大し、老害現象が生じてしまうというのは、決してある時代のある場所に限られることではなく、その点は今の日本社会を生きる上でもだいぶ勉強になった。

映画史的にみると、
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ミュンヘン(2005年製作の映画)

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途中から見た。スピルバーグらしい映画的な演出(それは現実的じゃないやろ演出)をどう捉えようものかと考えた。というのも、現実に対するフィクションの特権の一つは誇張や脚色が出来ることだろうから、イタリアン>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

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ビョーク登場シーンだけ見た
ビョークが登場したって感じやった。

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

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孤独な男が覚悟を決めるまでの過程という感じ。どれだけ孤独であっても、周りの助けがいかに大きな意味を持つかということを考えさせられる。チャーチル自身は流石やけど、演出とかは結構疑問。
言葉の力を再認識さ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

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この映画を通して1番感じたのは怒りだな。それは、私は悪くないという顔をして人を傷つける行為への怒りであり、それを要請する社会への怒りでもある。これが解決されるべき課題であるとしたら、原因はおそらく人間>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

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すごい映画やと思う。戦間期のドイツでユダヤ人の監督が群集心理と司法以前の私刑について扱ってる点が凄く興味深い。
近代社会のブレイクスルーの一つは無意識の発見だと思うけど、改めて近代初期の1930年代は
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