63さんの映画レビュー・感想・評価

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ハッシュ!(2001年製作の映画)

4.7

『ハッシュ!』男性ゲイカップルと子供を欲する女性が出逢う物語は時代を先読みしたとしか思えない。二人で服を着回したり怒るとアイス食べたり丁寧なディティールが〝家庭を持つ〟新しい関係にリアリティを与える。>>続きを読む

憐れみの3章(2024年製作の映画)

3.4

『憐れみの3章』異なる三つの物語をメイン俳優は固定したまま別の違う役を演じる構成でRMFが死んで飛んでサンドイッチ食べてエピソードを全て繋げる。無秩序で不条理な悪趣味極まりないランティモス監督の神経を>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.4

『笑いのカイブツ』大喜利番組ではレジェンドにハガキ職人から構成作家へとネタ作りのみに魂を燃やした自分とはツボが合わないツチヤタカユキの青春。お笑い至上主義すぎるあまりに憧れた世界の現実で孤立し衝突し挫>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

『ゴジラ-1.0』生き延びてしまった罪悪感に苛まれる苦悩を抱えた敷島が敗戦国に追い打ちの被害を及ぼすシンゴジを凌駕した破壊神と対峙する。「俺の戦争は終わってない」を合言葉に無謀な作戦へ命を懸けるカタル>>続きを読む

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.5

『Cloud クラウド』やがて転売ヤーは私利私欲に走り孤立して周囲に敵を作ってしまう運命に陥る。その敵達が時を同じく一斉に復讐しに来た圧倒的不利な状況を描くスリラー。後半の黒沢清流ガンアクションは発砲>>続きを読む

九十歳。何がめでたい(2024年製作の映画)

3.5

『九十歳。何がめでたい』草笛光子生誕九十周年記念映画と銘打つだけあり卒寿の女優として深い貫禄の姿と声が現在は百歳を迎えた佐藤愛子先生を演じるに相応しく絶好の当たり役だ。エンドロールの孫と撮ってた実際の>>続きを読む

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.6

『マンティコア 怪物』秘密として隠し通すべきタブー視される性癖を抱えたオタク野郎の恋。傷付けなければいい?未遂で終わればいい?だが本質を突き付けられた時のショックは計り知れない!本作でも随所に散りばめ>>続きを読む

雨の中の慾情(2024年製作の映画)

3.6

『雨の中の慾情』「いい顔するなぁ義男君は」つげ漫画の冴えない主人公の渇望を成田凌が肉体的にも精神面でも好演する。性愛や暴力や金欲で幾層にも重なる夢想を一枚ずつ剥がすと底に現れるは戦禍の惨状。うねる時間>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.6

『瞳をとじて』かつて失踪した出演俳優を監督が友として捜索する内に忘れ去った記憶を人々を介す会話劇で紐解く。やがて1本のフィルムが起こすだろう奇跡へじっくり時間をかけて美しいドラマに綴った。ビクトル・エ>>続きを読む

お母さんが一緒(2024年製作の映画)

3.6

『お母さんが一緒』朝の連続テレビ小説風に奥ゆかしく始まるも本編はヒステリックに勃発する血は争えぬ三者三様姉妹喧嘩の芝居合戦会話劇。映画がハートウォーミングに終幕できたのは誠実な傍観者として軌道修正し続>>続きを読む

墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)

3.6

『墓泥棒と失われた女神』特殊能力で感じた場所に穴を掘り埋葬品を盗むダウジング野郎と愉快な仲間たち。イタリア人の国民性なのかネガティブは音楽と歌と踊りで陽気に囃し立てる。まさか覚束ない物語が夢の赤い糸で>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

3.6

『No.10』主役と演出家の女優妻の不倫を台詞覚えが悪い老俳優が密告するギスギスな舞台稽古を経て上演されたステージに起きる痛々しい事件。とは無関係に映画の後半は謎めいた主人公の出生の秘密を紐解くSFに>>続きを読む

蛇の道(2024年製作の映画)

3.6

『蛇の道』配役は哀川翔から柴咲コウ、舞台は日本からフランス、仇敵は反社から財団に変更された。Vシネ版の薄汚れた泥臭さは上品で小綺麗に一見まとまるが女性と仏語のイメージで残虐さと陰惨さが逆に際立つ。復讐>>続きを読む

シサㇺ(2024年製作の映画)

3.7

『シサム』アイヌとの関係に絆が生まれた若き武士は侍魂を非戦へ変える。タイムスクープハンターを手掛けた中尾監督なだけに拘り抜いたディティールと時代劇らしからぬカメラワークと合戦場面のリアリティーで魅了。>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.7

『ビヨンド・ユートピア 脱北』不謹慎ながらクレイジージャーニー的なスリルと緊迫感を期待した本作は脱北を通じ北朝鮮の醜悪な実態を世に知らしめる告発映画だ。証言と映像で国の惨さを改めて学んだ上で観る一家の>>続きを読む

助産師たちの夜が明ける/助産師たち(2023年製作の映画)

3.7

『助産師たちの夜が明ける』新人研修や産婦家族に費やす時間もない現場の過酷さを慌ただしいカメラワークで伝える。実際の出産をシーンで使用して嘘のないリアルな誕生の瞬間に感動が込み上げる。エッセンシャルワー>>続きを読む

リトル・ワンダーズ(2023年製作の映画)

3.7

『リトル・ワンダーズ』風邪で寝込むママのため、いやゲームを起動するパスワードのため、ブルーベリーパイ作りに必要な「卵を返せ!」とちびギャング達が悪党団に立ち向かう。試練を乗り越えて友情を確かめ合う冒険>>続きを読む

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

3.7

『王国(あるいはその家について)』台風の日に友人の娘を橋から突き落とした事件が物語の核。まだホン読み段階の稽古場風景を本編に採用し反復する演出技法で役者の微妙な芝居の違いから人物背景を良い意味で観客の>>続きを読む

エターナルメモリー(2023年製作の映画)

3.7

『エターナルメモリー』記憶と記録。思い出す為に残したい為に流れる過去映像と共に観客は二人の半生を知る。夫のアルツハイマーが進行しても妻はポジティブに献身的に対話を試み続けた大事さ。まるで幸せにイチャ付>>続きを読む

ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.7

『ペナルティループ』制度として〝同意します〟にチェックした以上は繰り返される日々の中で殺しを完遂せねばならない。「撃つよ」「どうぞ」疲れる執行人の若葉竜也と痛がる死刑囚の伊勢谷友介に芽生えたラフな関係>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.7

『ゴッドランド/GODLAND』教会建設を命じられた若き牧師の過酷な旅の果てに起き得る壮絶な運命。異国語、部外者、信仰心、集合写真に収まらないフレームの外の島民の姿を当時のカメラに似た縦横比1対1.3>>続きを読む

サユリ(2024年製作の映画)

3.8

『サユリ』アンバランスに調和が取れた家族内でボケ演技が過剰だった根岸季衣が「すっかり目が覚めてもうたわい」と超覚醒。お祖母さんの発する台詞は全て金言となる頼もしさで定番Jホラーは悪霊退治の復讐劇と化す>>続きを読む

エストニアの聖なるカンフーマスター(2023年製作の映画)

3.8

『エストニアの聖なるカンフーマスター』運命に導かれし勘違い野郎が修道院で学びを得る与える物語の正しく実写化されたギャグ漫画。【クリスチャン+ブラックメタル+ワイヤーアクション=バカ】オマージュ満載で真>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』横溝ミステリな一族殺人事件が妖怪に一体どう絡むかは心配ご無用とテンポ良く展開する物語。オカルトホラー、ラブロマンス、サスペンスアクションを網羅する先の読めないバディ映画は面白>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.8

『マッドマックス:フュリオサ』女は美しく凛として野郎共はジャックとイモータンジョー以外クズとして存在する図式の潔さ。偉大なる母から受け継いだ遺伝子で髪を切り頭を丸めた義手姿で復讐を成し遂げる勇ましさた>>続きを読む

悪魔と夜ふかし(2023年製作の映画)

3.9

『悪魔と夜ふかし』70年代デザイン、司会者の胡散臭さ、バンド生演奏、CM中のドタバタ、放送事故となる地獄絵図に至るまでもTVショウとして普通に面白い。単なるモキュメンタリーでなく因果応報的な伏線回収も>>続きを読む

霧の淵(2023年製作の映画)

3.9

『霧の淵』河瀨直美プロデュース作品らしく〝そこにいる〟という情景をリアルなままにフィルムで掬い撮る。これからの不安〈村〉これからの希望〈娘〉の対立軸に水川あさみが自然体で溶け込む奇跡。風に当たる硝子戸>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.0

『ありふれた教室』切っ掛けは校内で起きる盗難事件の決定的証拠を掴んだという気の焦り。疑惑、失望、流言、欺瞞、どんどん局面は負の連鎖を起こしブーメランが己へ矛先を向ける。数学の授業とルービックキューブの>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

『アイアンクロー』前半と後半で作風が変わるほど順風満帆なレスラー家族に見舞われる悲劇。父からの過度な期待はプレッシャーとなり鍛え抜いた肉体を蝕む。リングでは強くあるべきマチズモが代償として私生活を滅ぼ>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

『ミッシング』解決しない女児失踪事件は当事者にとって余りにも地獄すぎる。常時焦燥な石原さとみ、挙動不審な森優作、良心葛藤な中村倫也らの心揺さぶる熱演。どんなに辛くても些細な出来事に救われた瞬間は自分も>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

『デューン 砂の惑星PART2』Dヴィルヌーヴの世界観を保ち第二章として規模が壮大にスケールアップ。救世主ポールが対照的なハルコンネン家へ決闘を仕掛ける復讐と成長の神話。前作は脅威でしかなかったサンド>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.0

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』おんたん&門出の呑気キャンパスライフは命を救う究極の選択的ジレンマに陥る。ちゃんと好戦派と反戦派は両併させ、ちゃんと前章から伏線を回収し、ちゃん>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』女子達の守り抜く青春と正義は円盤が出現したとて影響するか?あの&りらの声優魂も浅野いにおの緻密な1コマをアニメ化する全カットの画作りも見事。ラスト>>続きを読む

ゴンドラ(2023年製作の映画)

4.0

『ゴンドラ』無台詞劇かつ限定空間という制約のある条件設定が逆に映画的なドラマを生み出す。しかし往と復の二台がすれ違う内に逢瀬へと転じて女性乗務員の恋物語に発展するとは。見下ろす側と見上げる側のコミュニ>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

4.0

『ドリーム・シナリオ』意図せず超バズった男が被る代償の哀しき不条理劇は世界総SNS時代の皮肉な風刺として明日は我が身な恐ろしさが脳裏を掠める。主人公ポール(ニコラス・ケイジ好演)のキャラ造形も夢シーン>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

『PERFECT DAYS』役所広司は過去に演じた誰にも似ずに紛れもなく平山だった。ヴェンダースは東京の面白さを抽出しながら〝慎ましやかな暮らし〟を提案する。アナログな趣味、シンプルな関係、クレバーな>>続きを読む