このレビューはネタバレを含みます
目を覆われていた妻がその視覚を取り戻し空間を認識するファーストカットに始まり、この映画はそれぞれの人物の立ち位置から見える世界を何度も塗り重ねることで幾層もの正義を描出する。そして遂には、保安官であっ>>続きを読む
最高のラストカットがあるけどそれでも不快さが上回ってストレスがとんでもない
神保がその身体性を以てフィクションを規定するフレームからの脱出を測るシークエンスの、躍動する人間とそれを追従するカメラそのものの運動が相剋する映画的な瞬間。純粋な画面の面白みを越えて、説話的な意味にお>>続きを読む
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90年代後期の黒沢清の陰影がバキバキに決まった画面が極点へと到達したのが『回路』だと思っていて、今回久々に見返したら全編を通したあまりのショットの強度にこれはもうエドワード・ヤンですやんと言わざるを得>>続きを読む
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「終わらないことの方が苦しい」と柴咲コウに台詞として発声させ、更に西島秀俊の死に際に放った言葉までをも生者に語り直させてしまうのは説明過剰な気がしないでもないのと、やはり柴咲コウの動機が完全に解明され>>続きを読む
こんなに面白くていいんですかって不安になるくらい面白くてエグい。横と縦のアクションがどっちも面白くてエグい。
結構面白い。フォーリング・ダウンが好きなオタクとしては終わり方が最高と言わざるを得ない。
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怪異に遭遇した人物が精神に異常をきたす結末になぜ人は恐怖を覚えるのか、というネット怪談の怖さの正体について、人間は例えば狂犬病のような、自己を喪失し別の生き物へと変容してしまうことに根源的な恐れがある>>続きを読む
デヴィッド・バーンがカメラにマイクを向けた瞬間、絶頂した。カッコよすぎる。
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こんな生き方、終いに発狂して自殺するか人を殺して世界に報復するかしか残されてなくない?と思ってしまう俺の価値観。この生活を称揚しているのは真の孤独を知らない人間だけで、こんな暮らしを数年も続けたら間違>>続きを読む
1作目が真面目にサイコスリラーやってたのに2作目で急にロマンポルノばりの怪作に化けててビビる。そこはかとなく村上龍感。
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実際にジェシーの目の前で爆発が起こったとき、その志とは裏腹に、シャッターを切ることはおろか、自身がカメラを持っているという前提すら失念するほどに我を失い取り乱してしまった苦い経験。戦禍の中心でカメラマ>>続きを読む
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暑さを殊更に強調する演出、例えばクローズアップで人物が映されるときに額を汗が滴っていたり、首筋をハンカチで拭う動きであったり、あるいはもっと直截に人物に台詞として喋らせたり、法廷で主人公が語る動機に繋>>続きを読む
現代の撮影クルーが19世紀にタイムスリップして奴隷制度を2時間で総括するという斬新な切り口のメタ映画。
現代の倫理観で許されないのは当たり前として、なんで当時でもこれが撮れたのか疑問に思う露悪的なショ>>続きを読む
樽=娘の記号化が成立していて、文脈を抜きにはサスペンス足り得ないショットに緊張が生まれていてすごい。自然光での撮影だからか稜線がはっきりしたショットに仕上がっていて、バザンが称揚していた完全映画の概念>>続きを読む
部外者を家に招いたことで家庭が崩壊の一途を辿っていく『テオレマ』の系譜。相変わらず撮り方とか繋ぎはめちゃくちゃなんだけど、そんなものが気にならない程のパワーでゴリ押してきて最後には圧倒されてしまう。こ>>続きを読む
少ない予算の中で逆算的に経済的な恐怖表現を思案した結果として『邪願霊』が擬似ドキュメンタリーの形式を選んだのに対し、『ドラッグレス』は『邪願霊』の制作後に小中千昭の内にしこりとして残り続けた擬似ドキュ>>続きを読む
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まず目につくのは、事象と音の発生の関係を逆転させたショットの繋ぎ。
映画の冒頭部、天を仰ぐカメラが森の木々の枝葉と空模様を長回しで捉え続ける。この長回しの終わり際、雪を踏む足音がずり上げられ、次いで花>>続きを読む
岩井俊二、庵野秀明、幾原邦彦に代表されるオタク的映像作家のワナビーを自己批判的に言及して相対化することで、自身はそこからの脱却を測るというメタ的な構図。痛々しさを自覚した上でこれをやってるんだよ!的な>>続きを読む
恐怖演出が面白い反面、平易な会話の切り返しが締まらなくて退屈だと思っていたら、そこで印象付けられる相関関係が後の展開でめちゃくちゃ重要になってくる見事な作り。何よりこの驚きの応酬を80分の短い尺でやっ>>続きを読む
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不気味なクロースアップで何者かの来訪を告げるドアノブ、偏執的な不安を映し出す鏡、今にも崩れそうにぐらぐらと揺れるらせん階段、取り憑かれたように両手を広げて廻るジュリー・ハリスの踊り、転倒して運動を停止>>続きを読む
Jホラーの源流らしい。水辺に佇む亡霊を捉えるショットのカメラの遠さ。デボラ・カーの目力。
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美術室で、浅井と阿部が身体的に距離を接近させる場面にて、その成り行きを教室の外から見守る千葉の視線とは別に、フィルムで撮影されたザラついた映像が繋がれる。これは明らかにこの場には「存在しない」何者かの>>続きを読む
目ガン開きの女の子の話がビジュアルも怖さもレベル高かった。俺が中学生の時にあんな見た目の怖い人形の画像がちょっとだけ流行ってて、そのことを思い出したりもした。
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霊体となることで、全能的な感覚、神的な視点を獲得したにも関わらず、事象的な全貌を掴むのみに留まり、精神的な領域へと踏み込むことは叶わないまま、謎がたちどころに雲散霧消する意地の悪い結末。冒頭にて先輩幽>>続きを読む
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現実に足を踏み入れた瞬間にそれまでの質感とは相反してハイファイな世界が映し出される演出は面白いけど、本当にそれだけだった。ウォシャウスキー姉妹が『攻殻機動隊』から霊感を得て『マトリックス』へと至った経>>続きを読む