サルサさんの映画レビュー・感想・評価

サルサ

サルサ

愛の狩人(1971年製作の映画)

3.5

テーマが好みな割にノリきれんかった部分もあるがジャック・ニコルソンの芝居は文句なしに素晴らしい。ブチギレるパートの凄まじさ。ラストの虚無感はかなり好きだった。

キノ・ライカ 小さな町の映画館(2023年製作の映画)

3.7

本人が監督してないドキュメンタリーなのにめっちゃカウリスマキ映画の雰囲気でおもしろかった。(もちろん寄せてるのはあるだろうけど)
街に映画館ができるっていいよね、とある意味ピュアに思ったりした。
終盤
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陪審員2番(2024年製作の映画)

4.2

イーストウッド、流石の傑作。
抜群の緊張感。アメリカの法制度を用いた法廷ものでありながら主人公の抱える後ろめたさは非常に卑近なもので、しかもその事実を主人公と観客のみが知っているという共有の仕方が状況
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お引越し 4Kリマスター版(1993年製作の映画)

4.3

めちゃくちゃすごいものを見た……機能不全の家族を繋ぎ止めようとする子供の描き方が素晴らしい前半パートも抜群に良いのだが、やはり白眉は凄まじい地平に辿り着く終盤。理解を超えた凄みに圧倒されつくした。
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夏の庭 The Friends 4Kリマスター版(1994年製作の映画)

4.2

最高の子供映画、夏映画だった。
子供のいい意味での奔放さを撮るのがうますぎる。老人との交流過程自体は目新しさというよりはクラシックな関係性と感じたけれど、そこも含めていい。
冒頭夕景の電車のショットが
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ミュージック(2023年製作の映画)

3.5

わけわかんない映画は嫌いじゃないんだけど申し訳ないくらいピンとこなかった……音楽と音使いは文句なしに素晴らしいんだけど。画も質の高さは間違いないし、超ロングショットとか中盤の部屋の中でのやりとりとか見>>続きを読む

ペパーミントソーダ 4K修復版(1977年製作の映画)

-

めっちゃ寝てしまったのだが、親の離婚関係の話とかビジュアル全般のよさはその中でも印象に残った。女生徒たちのパワフルな暴れぶりも。夏に始まり夏に終わる構成もよい。

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.2

めちゃくちゃ良かった。もっともシンプルなおばけ(あえてこう呼びたい)のデザインが良くてまずそこが魅力的。
ルーニー・マーラがパイを食べまくる長回しのショットが喪失の表現として素晴らしく、ここを見れただ
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

3.9

ある部分においてはタクシードライバー的であり、後のカード・カウンターに通ずる描き方がされていて、ポール・シュレイダーの癖を若干なりとも把握できた気がする。
スピリチュアルな感じにたどり着くのにはやや驚
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夜空に星のあるように(1967年製作の映画)

3.8

ケン・ローチ初期作。テレンス・スタンプに惹かれて鑑賞。貧しさから逃れられないシステムの描き方は近年の作品につながるものがあり、かつ女性の描写がこの時代の映画でこういう描き方を出来ているんだ、という点に>>続きを読む

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

4.1

よかった。タイトルから映画愛映画かと思いきや存外に青春映画、そしてコミュニケーションについての雰囲気の方が強く、そこが個人的にはよかった。全体的に『レディ・バード』を連想。
主人公の人との関わり方のダ
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ピンポン(2002年製作の映画)

4.2

デジタルリマスター版を劇場で初見鑑賞。いうまでもなく傑作。アニメ版を見ていたのでシナリオの流れは大体知ってはいたのだが、それでも胸が熱くならざるを得ない名シーンの数々。シナリオ的にも過不足なくまとめら>>続きを読む

ニッツ・アイランド 非人間のレポート(2023年製作の映画)

4.0

ゲーム映画でもあり、コミュニティについての映画でもあるんじゃないだろうか。
長い間同じゲームで過ごす人たち、コミュニティの生まれ方や自由度が高いからこそのそれぞれのプレイスタイル等、全体的に面白く見ら
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動物界(2023年製作の映画)

4.1

よかった。これは見ないとわからないタイプの映画だ……と思った。ボディホラーっぽくもありながら決してそこに終始するわけではないというバランス感覚が面白くて独特な感覚の作品だった。
終盤のあるシーンのクラ
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ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.0

暴力的でグロテスクでエロティックで全体的に頭おかしいんだけどきっちり青春映画としても締まっていて良かった。しっかりクィアだし男2人女1人の構図も良い。

HAPPYEND(2024年製作の映画)

4.2

「今」の感覚が投影された青春映画でとても良かった。近未来設定で政治的な題材を反映しつつも等身大の青春映画としての良さが突き刺さった。冒頭からたっぷりの青臭さが最高。とはいえ政治的メッセージの部分ももの>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.2

泣けた。ルック、デザイン、空気感、音楽使い全てが良い。2人を描く映画でもありながら、NYという街の映画でもあるのが意外で良い。お話的には予想通りだったのだが、しっかり純度の高いものを出してくれて満足感>>続きを読む

SUPER HAPPY FOREVER(2024年製作の映画)

4.0

全体に漂う喪失感がすばらしい。熱海、伊豆のロケーションが絶妙で作品の雰囲気とのマッチしていてよかった。
セミナーのくだりはあんまり入ってこなくてちょっともったいなかった気も。とはいえとても楽しんだ。山
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国境ナイトクルージング(2023年製作の映画)

4.1

好きな映画だった。いい意味で雰囲気力がめちゃくちゃ高い。何か濃いストーリーがある訳ではないのだけど、それを期待して見てる訳でもないので個人的に満足度は高い。
舞台設定も相まってずっと寒そうなのが空気感
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

4.0

たしかに面白くないが、個人的には全然アリというか、好きな映画だった。前作がおそらくは意図せず(あるいは意図以上に)受容されてしまった部分への脱神話化をしっかりしているところに好感を持ったし、それならこ>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.2

傑作。
思った以上に報道についての映画でもあり「アメリカを斬る」を連想したりも。戦場で銃を構える軍隊とカメラを構える主人公グループとの連関と対照性。
圧倒的恐怖のジェシー・プレモンスの場面は言うまでも
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ロックンロール・ハイスクール(1979年製作の映画)

4.0

全体的に期待を裏切らない映画でめっちゃ良かった。ライブもラストも最高。ライトに楽しめる映画としてこんなに良く出来てるのも意外に貴重なんじゃないだろうか。

クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

3.7

冒頭から流れる主人公の内面を反映したかのようなノイジーな音楽が映画を象徴していたように思う。痛々しいいくつかのシーンももちろんなのだがクライマックスのシーンが辛すぎてキツかった。

Daughters(2020年製作の映画)

3.7

絵に描いたようなおしゃれムービーだな!!という悪意を持った感想もなくはないのだけど嫌いじゃない。中目黒舞台なのも鼻につく部分もなくはないが良い。メインテーマとシスターフッドムービー性はきっちり描いてく>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.0

正直内容の読み解きはあんまりできていないのだけど、この時代でこの規模の映画を……というところにただひたすらに圧倒されてしまった。言うまでもなく超大作で、ショットの美しさもすごい。

ヒューマン・ポジション(2022年製作の映画)

4.1

めちゃめちゃよかった。いわゆるスローシネマというか、ちょっと眠くなる感じもあったんだけど、画面の美しさで十分すぎるぐらい楽しめてしまった。
椅子とかライブとか日本文化の描写とかディテールの部分が好きだ
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至福のレストラン/三つ星トロワグロ(2023年製作の映画)

4.0

4時間の長尺にて繰り広げられる、三ツ星レストランを余すことなく描いて見せた見事なドキュメンタリー。言うまでもなく高級レストランの舞台裏ものとして面白い。客へのホスピタリティ、提供のタイミングのコントロ>>続きを読む

ファニーゲーム(1997年製作の映画)

3.9

大体知ってたけどなんて嫌な映画なんだ!
話が通じない他者に自分のテリトリーに侵入されて好き放題される恐怖。
中盤の長回しのショットが圧巻で心が締め付けられた。
何かとセンセーショナルに話題があがりがち
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捜査官X(2011年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

かなり変な映画だと思うけどアクションミステリとして不思議な見応えがあって良かった。前半の金城武の捜査官のドン引きする暴走っぷりに少し笑ってしまう。相手がドニーさんじゃないと死んでる。主に後半に牙を剥く>>続きを読む

北(ノルテ)―歴史の終わり(2013年製作の映画)

3.9

凄まじい。4時間超の尺に見合う壮大さを感じた。とにかくフィリピンの自然を捉えた強烈なショットの数々に引き込まれ、そこだけでもお釣りが来るレベルの大作。
寓話的な部分については理解が及ばない部分は正直あ
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.1

「日本は少子化と貧困で終わっていくので今後の目標は生存です」

矛盾と混沌に満ち満ちた人間のわからなさをたっぷりと感じられて心地よい困惑の中に留め置かれる作品だった。
あんなに衝動的には生きられないけ
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ラストマイル(2024年製作の映画)

4.2

超面白い!こんなに社会的なテーマを大エンタメ映画に仕上げられているところが凄すぎる。ケン・ローチの家族を想うときを思い起こさせられるような映画を日本のメジャー大作で見られるとは。
冒頭から残酷なまでに
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

4.0

ひたすらに映画としての演出力がものすごい。ポール・トーマス・アンダーソン恐るべし。話は正直掴み兼ねた部分もあったのだが有無を言わせぬ説得力があるレベルの演出の強度。ショットが常に強いまである。メインを>>続きを読む

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

4.0

意外性はないものの上手い。期待通りのものをしっかり見せてくれる感じでよかった。
(ある意味)限定的なシチュエーションで見せる恐怖演出は流石のフェデ・アルバレス。
エイリアンシリーズ初見でも全く混乱せず
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Chime(2024年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ怖かった。40分尺でよかった……日常と地続きの中にある狂気と恐怖を孕んだ異常性を淡々と描いていく描写が怖すぎる。直接的なものを見せないからこそ際立つ恐怖。過去見た黒沢清作品の中では『降霊』>>続きを読む