satoさんの映画レビュー・感想・評価

sato

sato

映画(270)
ドラマ(1)
アニメ(0)

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

-

「ジョーカーなんていない」
派手に熱狂し、神格化されるジョーカー像に対してのトッド・フィリップスの解答なんだろうか。
誰もが言うように、ミュージカルは"僕らの求めるジョーカー"にマッチしていない…。
>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

-

右だ左だ。保守だリベラルだ。なんて戦っているうちに、本当に大切なものを傷付ける。
何が大事か理解していないと、闘う場所を間違える。ユウタは見えていたから、立ち上がることに躊躇がなかった。

この瞬間が
>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

「日の本は本当に良い国となったんでごさるな」
劇中劇の中で本物として描くことで、最後の決闘はフィクションではなくなる。錯覚みたいなものだろうか。
チャンバラの出来の良さと相まって、クライマックスは次元
>>続きを読む

映画検閲(2021年製作の映画)

-

B級ホラーといった具合で、結構スプラッタする。
上映時間が短いからだろうか。イーニッドの暴走に置いてかれてしまった。
そこで離れてしまったから終盤の演出も冷めて映る。

トニー滝谷(2004年製作の映画)

-

パン移動で場面を切り替える演出も相まって、まるで小説を読んでいるような感覚。
展開に動きが少なく退屈に思うこともあったが、それがこの心地良い雰囲気を生み出しているとも言える。

宮沢りえが素晴らしい。
>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

-

「あんまり死ぬの怖がるとな、死にたくなっちゃうんだよ」
日常の中に暴力が同居する世界。簡単に人が死ぬし、それに誰も驚かない。あぁ殺しちゃったの?みたいな。平和な日常パートですら、暴力は常にそこに居る。
>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

「1人選ぶなら当然子供よ 私たちならまた子供を望める」
幸せな家族のもとに訪れる不気味な男。
厭らしく家族に近づき、内側からの崩壊を狙う…かと思いきや、呪いかけたからヨロシクといきなりの宣戦布告…!
>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

-

「じゃあ顔も憶えてないか。その方が良いかもな。その方が良い。」
彼女の揺らぎは、幼少期の後悔から続く。あの夢を見ると身近な人が死ぬ。
幸せから生じる不安。彼女が産み出す感情の波は、僕らの心をも揺り動か
>>続きを読む

NN4444(2024年製作の映画)

-

直近で観た『Chime』によってホラー欲が高められ、その勢いのまま鑑賞も、肩透かしを食らった。
『犬』『Rat Tat Tat』:両作ともメッセージを前面に感じてしまい、ホラーエンタメとして楽しめなか
>>続きを読む

Chime(2024年製作の映画)

-

「私きちんと理屈で説明してもらわないと分からないんですよね」
安易に主人公に心を許すことなかれ。常識の物差しを取り上げられ、宙ぶらりんにされてしまう。
冒頭で引用したセリフのシーンがお気に入り。自身と
>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

-

「でも街も凄くないですか?変わっても無くなっても、あったってことは事実だから」
ありふれた私達は、簡単に他のもので代用されて、いずれはそこに居たことさえ分からなくなる。ゲンナリするけど、それでも街は続
>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

-

伝統的なセル画手法を現代風にアレンジ。
原作の持つ独特なタッチをそのままに、漫画がそのまま動いているような、印象的で面白いアニメーションに仕上がっている。

後半の展開に感情移入するには、上映時間が足
>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

-

「君は変わらないな。飲み比べしてからもう何十年になる?」
絵本のように、明るく、どこかくだらない。
森見登美彦の軽快な語り口と、それに呼応する映像表現が楽しい。
アジカンの主題歌も好き。

悪は存在しない(2023年製作の映画)

-

「水は常に下へ下へと流れるものだ。上流でしたことは下流に住む人々に必ず影響を与える。だからこそ上の者には責任が伴うのだ」
各々の生態系が重なるところに、摩擦と悲劇が産まれる。
不可解なラストは彼が自然
>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

-

「僕は正しく傷付くべきだった」
達観したような語りで紡がれる会話劇は、どこか演劇のセリフのようで、その裏にある意図や感情を意識させられる。
それはキャラクターの持つミステリアスな部分を強調し、彼らをよ
>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

-

「贅沢させてやってるのに!バカ女!」
アウシュビッツの女王は、作中で最も醜悪に描かれる。それがこの作品を最もよく象徴している。

物語は起伏に乏しく、はっきり言って面白くない。そういうコンセプトなんだ
>>続きを読む

スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ(2008年製作の映画)

-

目指せ『ローグ・ワン』、目指せ『マンダロリアン』ということで、時系列順に関連作品を再履修中。
本作の時系列はエピソード3の手前、クローンウォーズ最中の物語。

ジェダイとしてのアナキンが堪能できる良作
>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

-

実在の事件を基にした本作。上映時間も事件と同じく80分。
シーンを重ねる毎に増幅するストレスは、一発の銃声で最高潮を迎える。
「どうしてこんな事が起きるのか」
心に空けられた穴に、メッセージが流れ込む
>>続きを読む

フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

-

ノーランのデビュー作ということで。確かにぽい。
オープニングのセンスが凄く刺さった。

Here(2023年製作の映画)

-

長めのインサートが多用され、作品全体にゆったりとした時間が流れる。テンポは悪いが、一つ一つの画がキマっているから観れてしまう。
この作品から目覚めたとき、あぁ良い夢だったと思うような心地良さがある。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

-

話が進むにつれて謎が深まり、どんどん物語に惹き込まれる感覚が楽しい。この辺りは王道ミステリーぽい。
しかし、事件の謎が紐解かれることはなく、裁判が明らかにするのは夫婦の真実。
事件の真相は観客に委ねら
>>続きを読む

コットンテール(2022年製作の映画)

-

キャラクターの感情のラインが掴めないせいで、主人公への悪感情が拭えず、作品全体への共感が薄くなってしまった印象。

ただ、クライマックスはリリー・フランキーの名演も相まって、心が動くものがあった。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

-

グロテスクな前振りからは想像もできないほどすっきりとした展開。とっつきにくい印象とは裏腹にドラマ的にもとても楽しめた。

シュール調の演出/ギャグが効いた物語に惹き込まれ、気づけばベラ・バクスターの虜
>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

-

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー完。

ホリデースペシャル・スペシャルと併せて鑑賞。
ギャグのキレや、音楽を絡めた心踊る演出など、本シリーズの良さは健在で、両作とも楽しめた。

ただ、リミックスの完
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

-

普段混じり合わない世界が時折重なり、不思議な模様が生まれる。そんな木漏れ日のような美しさを日常に見出してくれる作品。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

-

まるでダメだと厭世的に語るには綺麗すぎて、手放しに楽天的になるには汚すぎる。
普段蓋をしている感情を覗き込まれるような感覚。なんか凹む。

乱暴な役所広司が良い。
完璧にハマってました。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

-

ゴジラが暴れる様は恐ろしくも爽快で、一見の価値あり。
全体的に演技がクサイので、そこは合う合わないがありそう。

アメリ(2001年製作の映画)

-

癖のあるキャラクターと作風が、他にはない世界観を表現する。この"癖"こそ本作が長く愛されている理由だろう。

本作は、キャラクター造形からは想像できないほど愛に満ちており、そのギャップもまた愛おしい。
>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

-

多くの人が認識しながらも、見えないふりをする分厚い壁。ドラマを通じてその存在がリアルに描画される。

壁はドキュメンタリーのように実際の音声を交えてリアルに描かれる。
リアルを感じるからこそ、そこに切
>>続きを読む

真実の行方(1996年製作の映画)

-

謎とサスペンスがいくつも重なり、観客の心を掴んで離さない。教科書のような名作ミステリー。面白い。
観客を惹きつけるのが抜群に上手くて、冒頭15分で夢中になれる。

人の善性を問いかけるメッセージは、観
>>続きを読む

君が生きた証(2014年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

"銃乱射事件で息子を亡くした父親が、息子の遺した音楽を通じてその死に向き合い始める。ただし、父親には秘密がある…息子は被害者ではなく加害者なのだ。"
コンセプトが超魅力的。「息子は加害者」という最高の
>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

-

それぞれのキャラクターが持つ表面と深層を探っていく。
謎やミスリードが入り混じる様はサスペンス映画のようで楽しい。

深層に興味を持つことは、すなわちキャラクターに興味を持つこと。
作品のテーマ自体が
>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

-

目をつぶって鉄骨を渡れば、明るい結末にならないことは容易に想像ができる。
何故そんなことをと思いながら、私達は見届けなければならない。

手持ちカメラ風の映像が世界観を演出する。
陰鬱でリアル。
この
>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

-

モーター音が良い。映画館の巨大なスピーカーで聴くと、迫力と臨場感で胸が高鳴る。
マシンにロマンを感じる人には是非とも勧めたい作品。
ストーリーは良くも悪くも王道。

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

-

ジャファル・パナヒ監督の息子の監督作品と聞いて、『熊は、いない』と併せて絶対に観ようと思っていた作品。

行き先を知らない次男の明るさが対比となって、この旅の不穏さが強調される。
送り出す側の感情が丁
>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

-

ドキュメンタリー風に描かれる本作。公開後に監督が収監されたという事実が、一つの演出として作品に力を与えている。
"熊"によって引き起こされる二つの悲劇は、この国が抱える閉塞感を象徴している様だった。
>>続きを読む