死せるお豆腐さんの映画レビュー・感想・評価

死せるお豆腐

死せるお豆腐

胸騒ぎ(2022年製作の映画)

3.9

無礼を恐れて違和感を受け入れてしまった先の絶望 恐ろしすぎた

ただの胸糞バッドエンドじゃない
これだから北欧スリラーはやめられない

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

3.8

人間の陰湿さや矛盾を映していながら、開放的な地で肉体をふるう姿はまるで動物のようだった

鍛えあげられているのにどこか弱々しく見えるのは、彼らの精神が未熟で脆いからなのだと思う 戦闘のために訓練をする
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ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!(2024年製作の映画)

4.3

続編、ありがとう
ウォレスの声が欽ちゃんじゃないのは残念だけど、過去作のオマージュがたくさんで嬉しかった

今回もグルミットのありがたみを痛感
うちにも来てくれないかな

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.2

かなり面白かった
梟というタイトルが意味すること、灯りが消えて顔つきが変わる瞬間に一気に心を掴まれた

見えない者としての上手い立ち回り、鍼の腕、鋭敏な聴覚や嗅覚は、見える者よりも真実を捉えているよう
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

キラキラとした夏の開放感と無邪気な娘、対比するように閉塞的になるカラム、その存在の曖昧さが印象的だった 残酷なことに、娘と過ごす楽しい時間がカラムの希死念慮を加速させてしまっている気がしてならなかった>>続きを読む

無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)

3.8

心で想ったことを誰かに伝えたければ声に出す、伝えたくなければ声に出さない そんな選択を当たり前にできている自分がどれだけ幸せか

声に出すこともままならない彼らは、伝えたいことでさえも伝えないままで
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく3時間ずっと飽きなかった というのも、簡単にこの悪夢から抜け出せてしまうこちら側が刺激を求めて体験した非日常にすぎない 気絶から目覚めるたびに悪夢に囚われ続けるボーにとっては耐え難い苦痛であり>>続きを読む

トレーニング デイ(2001年製作の映画)

3.8

デトロイトが炙り出す正義の皮をかぶった化け物 街がそうさせてしまうのか、なるべくしてなったのか

最初から最後までずっとアロンゾのことが嫌い それくらいデンゼル・ワシントンの演技力が凄い

イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

3.8

超やかましくてうざったいんだけど、ジョーみたいなやつに人生を翻弄されるのもまた一興かも 翻弄されるうちに、人間としての魅力が増していくアルドルファが愛おしくてたまらない こういうヘタレ役にブシェミが似>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

3.7

たのしーー 画面酔いするし、がっつりPOVものが好きな人にしかウケない作品

主人公のぶっ飛びキャラが濃すぎてそこまで深刻になりすぎてないので見やすい、けどちゃんとグロくていい 配信中のコメント欄含
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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.9

彼らが人間をゾンビと形容することが強く印象に残った

何世紀ものあいだ人間の仕業を見てきた結果、彼らを失望させるに至った 人間に期待しても仕方ない、人間は愚かだ、そんなことをヴァンパイヤという異種族の
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フィフス・エレメント(1997年製作の映画)

3.7

オレンジボブのリールーが可愛い
ぶっ飛んだ世界観のようで、妙に納得しながら観れちゃう

メッセージ(2016年製作の映画)

4.0

なんだこれ...すごく惹かれた
体感したことのないジャンルのSF
得体の知れない生物、物体への恐怖がありつつ、物理とか化学が緻密に組み込まれたロジカルな要素もあってリアル

過去・現在・未来に対する固
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

起きて働いて寝る、自分本位でできることには限りがあってどうしたって習慣を退屈としてしまう その習慣が少しでも狂うと余裕がなくなるくせに、他人によって動かされる感情とか思いもよらぬ出来事に退屈を邪魔され>>続きを読む

セリ・ノワール(1979年製作の映画)

4.0

かなり好きだった
たぶん「Buffalo’66」に近いものを感じるからかも

身体を売ろうとするモナに対して紳士的な対応をしたフランク、この始まりからは予想もつかない狂乱の連続に退屈する隙がなかった
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セルピコ(1973年製作の映画)

3.8

命の危険を冒してまでも、自身の正義を貫き理不尽と戦うセルピコがひたすらかっこいい 正義を貫くことは、何かを失うということでもあるんだな デカ犬が唯一の癒し

一度は正義のヒーローを夢見て警察官になった
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

「マーティンが引き金を弾くきっかけとなった原因とは何だったのか」 この疑問を抱きどう解釈するか この作品の意義はそこにあると思う

実話が元になっていて物語の終着点が明らかになっているため、マーティン
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スノータウン(2011年製作の映画)

3.7

マイノリティを私刑によって排除する 異質なものを取り除いて何が悪いの?とまるで悪気などない、純度100%の善意であると信じてやまない倫理のバグ

子供たちにとってのすべて、絶対的なコミュニティである
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.0

ここでの違和感の原因は絶対にあみ子ではないし、あみ子であってほしくない 両親、いじめる子たち、学校、どれもあみ子のそばに在るのにいないふりをしていた あみ子の存在に対する周りの反応、対応がいちばんの違>>続きを読む

BULLY ブリー(2002年製作の映画)

3.7

ムカつくから殺そう!ってなってみんなで団結するところまでがピークだった

思考が単純で杜撰すぎるからハラハラするけど、これがリアルなのだろう 成熟しきっていない精神がいとも簡単におかしくなっていく様は
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野火(2014年製作の映画)

3.8

観てよかったと思うと同時に、二度と観たくないとも思う

何より没入感がすごいし、今にも飛び出してきそうな肉片、鮮血、銃声、油っこい匂い、空腹感、絶望感、これら質感の生々しさに圧倒されてしまう

私た
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ゴールデンボーイ(1998年製作の映画)

3.6

戦争が終わり過去になったとしても、誰かの記憶に残っている限りどこまでも地続きだし何もいいことない とにかくそれに尽きる

自己陶酔もりもり、挙動がとにかく子供なトッドに腹が立って仕方なかったけど、好奇
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ワルキューレ(2008年製作の映画)

3.7

第二次世界大戦、ナチス・ドイツのレジスタンスたちによるヒトラー暗殺計画

心臓を捧げた先に見るのは、勝利か安寧か
祖国のために祖国を裏切る、反逆者とならざるを得なかった彼らの苦悩や葛藤は計り知れな
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.2

ただ肉片をすり減らすだけが戦いではない 脳みそ震わす才をもって暴力を制する、そんな決定的瞬間に立ち会ったことで生を肯定された気がした

アラン・チューリングに魅了され命を救われたと公言するグレアム・
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12モンキーズ(1995年製作の映画)

3.8

精神病患者が現実と幻覚の間で苦悩する様を映しているのだと思いきや、しっかり作り込まれたタイムトラベルものだった 向かう先に気付くと一気に面白くなる 伏線回収もありがたい

キャラクターに対しての解像
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ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994年製作の映画)

3.7

生まれつきの殺人鬼であると自負するミッキーと、愛を求めた先にあったのが殺人だったマロリー そんな2人の社会からの逃避、殺人ツアー とにかく殺す

倫理観バグのトリップもので終わるのかと思いきや、ジャー
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.8

下劣な会話劇、黒スーツで闊歩、好奇心を煽るような冒頭から、仲間内での疑心暗鬼で一気に深刻になる後半 振り幅が凄くてまんまとのめり込んだ

裏切り者を探すだけというほぼワンシチュエーションながら、みん
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

当たり前に違和感を感じながら、それをただ不気味だと形容するだけでは納得がいかない しかし自らの解釈には限界があり考察記事を漁ってみると、「これは多世界タイムループものだ」と解釈している記事を見つけめち>>続きを読む

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.8

「revenge」 が意図すること、復讐と捉えれば冷たく突き放されて胸糞が悪いけど、再挑戦だと捉えると優しい愛の物語にすぎない 捉え方や立場で物語の行方、結末が違うものに見える興味深い作品 よかった>>続きを読む

ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.8

思ったより呆気なく終わった
烏野より音駒がメイン?

劇場版!って感じで作画が綺麗だったり、一人称視点で試合に没入させる手法は面白かった 試合中の躍動感をアニメーションでここまで再現できるのは凄い

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.9

渋くてよい
騙し合いのクライムサスペンス
最終的に誰が50万ドルを手にするのか、ハラハラしながらそのお金の行方を追う

一見無害に見えるが地雷がありそうなルイス、銃を持たせたら最後なオデール 混ぜた
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

倫理的な人間であることを重んじられるこの世の中で、邪悪な部分の解放を肯定してくれるジョーカー だけど前作のような派手さはなく、ひたすらジョーカーをいじめて抑え込む 狂っているのはジョーカーであったと徹>>続きを読む

プラットフォーム2(2024年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

法、宗教、上層の豊かさ、下層の貧しさ 上下する欲望の台座が運ぶものは食べ物だけじゃない まるで世の中の構図 人類誕生からこういうことが繰り返されてできた秩序の上に、私たちは生かされているのかなーとか漠>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.2

A24が撮る戦争映画が気になって

ジャーナリストを通して内戦を擬似体験 今日起こるかもしれないリアルさ、生命の躍動が凄まじい

分断された原因は語られないためフラットな状態で戦地に没入 誰が敵で誰が
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ルックバック(2024年製作の映画)

4.2

自分は天才ではない、と気付いて絶望してからが始まり そこからどうするかで生き様も死に様も決まる 残酷だけどクリエイティブに生きる人は、孤独を作品の糧とし昇華させてやっと生きていることを許されているのだ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.7

夫の不審死から配慮に欠けた警察の捜査、妻を被告人として行われる裁判、その一部始終を会話劇で淡々とみせられる

目や耳の数だけ事実があり、それらにどう見られているかで自分の行く末が決まってしまうなんて
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