散らかった複数の物語があり、複雑に時間とシーンを切り貼りし、強烈なバイオレンスの末に、こんがらがったものが綺麗に畳まれるように整理されるという、タランティーノのパターンではあるが、その色合いは薄い。仲>>続きを読む
接収した瀟洒な邸宅に旧ドイツの政府や軍部の幹部が招集され、会議が行われ、終わって解散するまでを描く映画。シーンのほとんどは会議室で、回想シーンもなければ、時間の前後の入れ替えもない。物理的な暴力シーン>>続きを読む
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この映画は、人の老いと死を描いている。認知症の夫、ジョンと不治の病の妻、エラ。この物語の先には死が待っているに違いない。それがどう描かれるのか。そのような思いで話を追いかけていた。暗くなりがちなテーマ>>続きを読む
ヒーローもヒロインもなく、正義もない。善意の人が最も悲惨な目に遭い、悪がそれを飲み込む力=ニューオーダーで制される。ニューオーダーの為には、邪魔になるなら無辜の民も消される。物語の大胆な展開に何が起こ>>続きを読む
親に捨てられてしまった4人兄弟の姿を観ているのは苦しい。親からは捨てられているのに、兄弟で一緒に暮らしていくことを望み、自分たちだけで何とかしようとしている彼らはいじらしい。親からの戒めを破っていき、>>続きを読む
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ミュージカルだけど、歌も踊りも適当。特に集団の踊りは全然揃ってない。終盤、4人がそれぞれの恋人に12ヶ月で克服すべき課題を投げられ、さて、ここからそれぞれの奮闘が始まるのかなと思ったら、戦争になって勝>>続きを読む
この映画は、何かを深く捉えて論評するようなものじゃないってことは分かっているが、それでも、モヤッとしたところがある。それは、死後の考え方。現世に思い残すことがないゴーストは現世から切離され、そうでない>>続きを読む
軽さが効いた映画である。元チーム・ダイダロスのメンバーは、リタイアしても、それぞれが人生を楽しんでいる。適当な牧師、女にモテモテのジェットコースターのディレクター、ぶっ飛んだ曲芸パイロット、気難しそう>>続きを読む
題名通りなのですが、海戦シーンが長時間続き、BGM、台詞の抑揚など一本調子で山谷がありません。戦略の駆け引きなども少なく、おもしろくなかったです。
日本人は、秀吉の朝鮮出兵について考えることが少ないと>>続きを読む
特に欠点はないのだけれど、自分には響かなかった。突き抜けたアクションが楽しめるわけでもなく、意表を突く仕掛けや謎解きがあるわけでもなく、心の琴線に触れる慈しみや葛藤があるわけでもない。中途半端。私の評>>続きを読む
メグレのメタボの診断での始まりといい、画面の色調、明るさなど、全体が陰鬱なトーンです。パリの暗く、少し隠微な部分を感じることができます。映画になる事件の構造としては平凡で、ちょっとした小編という感じで>>続きを読む
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この映画は、強い人間と弱い人間の関わり合いを描いたものだと思った。強い人間とは、言い換えれば、自分で進むべき道を決め、周りを巻込んでもそれを突き進み、後悔しない人。弱い人間とは、人に共感し影響され、自>>続きを読む
昔の中国で、何かと何かの勢力が対立している、と言うことは分かりましたが、込み入ったところの説明は全くなく、ストーリーにはついて行けませんでした。アクション・シーンでは切り替わりが多いためか滑らかに流れ>>続きを読む
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今のアドベンチャー・ゲームの原型のような映画。なので、それなりに楽しめばいいのだと思う。それでも、筋として腹落ちしなかったのは、ナチス・ドイツ軍の将校たちが、自白剤を飲ませた捕虜から聞き出した情報を鵜>>続きを読む
この映画では、土方歳三を、自分の思い描いた理想の自分をひたすら目指し、その自分たることを決して崩さない、ただそれだけの男として描いている。彼には、大所高所に立ったヴィジョンや行動はない。ただ、ありたい>>続きを読む
あくせくして生きていくより、仲間がいて、その仲間を信じ、信頼され、その仲間を大切にすることを一番の信条に生きていきませんか、っていうことを語りかけてくるような映画です。全体的に和やかで微笑ましい雰囲気>>続きを読む
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この映画を観た最初の印象は、黒澤明の「椿三十郎」そのままじゃないのか、というものだった。 そして、それなら、森田芳光はなぜこの映画を作ったのか、という疑問をもった。そこで、 場面を区切りながら、二つの>>続きを読む
この映画の前段となるのが映画「ジャネット」である。大きな表現方法はこれを踏襲していた。少ない場面切り替えで、舞台演劇のように、人物が代わる代わる登場し何かを語っていく。舞台は僅かに草が茂るだけの砂地と>>続きを読む
前3作と比べて、主人公は弱いです。格闘で結構やられます。カーアクションも空港のシーンを除き少し抑えめ。この点、気になる箇所は減っていました。一方、多くの台詞がおしゃれや粋を気取ったもので、それがあまり>>続きを読む
1作目、2作目に続きこれを観ました。物語の辻褄の甘さ、アクションの度が過ぎる現実味の無さは残るものの、前の2作と違い、私の許容範囲でした。また、それを許容範囲だと感じさせたのはキレキレのカーアクション>>続きを読む
アクションは痛快。冒頭の1作目をなぞって意外な方向で裏切るやり方は「おしゃれ」を感じました。1作目のレビューでは、突っ込み処をいっぱいあげつらって酷評しましたが、こういう映画は、頭を空っぽにして楽しめ>>続きを読む
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掴みの車での逃走シーンを始め、アクションは見応えあり。
しかし、突っ込み処は満載。
- ライ(人)を法定速度で運ぶなら普通自分たちで運ぶのでは?
- ライがトイレに行きたがったとき、あんな縄を首に緩く>>続きを読む
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「選択を重ねてその人の今がある」とフランチェスカが言った。私にはこの言葉が重く深く響いた。私たちは誰でも、無限の選択肢の中から一つの道を選びながら一瞬一瞬を過ごしている。言い方を変えれば私たちの過去に>>続きを読む
作り手の自己満足的映画。監督を始め、俳優陣も名の知れた人たちがずらっと揃っているが、そろいもそろって何を見せてくれてるの、っていうのが私の感想。作り手はさぞ楽しんだのだろうが、ふざけるなら、もっと、笑>>続きを読む
この映画は、私に「信仰」のことについて考えさせる。私は自分の命、極限の苦痛、更に、家族や仲間のそれと引き換えにしても守らなければならない信仰を持たない。言い換えれば、自分、家族、仲間の命や健やかな生活>>続きを読む
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主人公サミーがフェンブルマン家の血として受け継いだものは、芸術、表現者としての才能と、やりたいと思ったことを行いやめられない心である。しかし、母のミッツィは、保守的な祖母に育てられ、ピアニストとして大>>続きを読む
私は、この映画の主人公ビクター・ナボルスキーのような人物を描く映画が好きだ。明確な目標を持ち、ひたむきにそれに向っていく。降りかかる困難も、不満や恨みごとを言うことに心を煩わすことなく、受入れ、奮闘し>>続きを読む
時代の過渡期を迎えた奴隷制度とそのビジネスに翻弄される主人公シンケとその仲間たち。活劇や法廷ドラマの要素も含み、蹂躙された人間性の回復というシリアスなテーマを娯楽として堪能しながら深く噛みしめることが>>続きを読む
私が三島由紀夫の小説で一番好きなのが「豊穣の海」。この輪廻転生を描いた四部作の第一部が「春の雪」。なので、どうしてもこの原作から切離して観ることは不可能だった。主人公、松枝清顕の友人である本多は、原作>>続きを読む
多くの美しさが楽しめる映画。料理人が扱う食材、それに対する手さばき包丁さばき、田舎の風景。そして、これは映画では味わうことはできないが、敵役が語る「料理は芸術」という言葉は、既に、彼が語る前に私の頭に>>続きを読む
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この世とあの世を行き来するお話です。コンビニの冷蔵がその双方をつないでいます。そのこと自体は明示的には語られていませんが、いろいろなことがそれを暗示しています。ドッグフードの空き瓶での献花、冷蔵庫の中>>続きを読む
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暗示的な台詞やシーンがあちこちにちりばめられている。深読みし始めればきりがないほど。私がはまった仮説は、実は主人公の満州男は、最後のシーンに至る前のどこかで死んでいるのではないかというもの。この考えに>>続きを読む
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この映画は、戦場でのおびただしい死を冷徹に描いている。その場にいる誰もが予想し覚悟している死が、突然にやってくる。血は流れ、内臓は飛び出し、胴からは手足どころか首までもがちぎれる。それはベルトコンベア>>続きを読む
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戦争そのものが人間性を踏みにじるものだが、この映画では、その有様はもちろん、日本が戦争に向い、その戦争を支えるために組立てられ、人々が従っていた人間性の強烈な抑圧と無視が描かれている。一定の人間性を示>>続きを読む