灯油さんの映画レビュー・感想・評価

灯油

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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.3

全く期待せずに観たら、かなり面白かった。超娯楽映画。設定といい、岡田准一・綾野剛の顔芸といいい、もはやコメディでしょ!みたいな感じで見てた。韓国映画の質感も十分に残してて、良かった。ただ、終盤少しだれ>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

2.9

「違国日記」もそうだったが、創作をすることへの讃美歌のようなテーマ。観客を泣かせようとする仰々しい劇伴、ストリングスが鬱陶しい。最初は58分という短さに不満があったけど、鑑賞後は納得した。このサイズの>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

3.9

小説、音楽、料理、日記、そして歌うこと。すべてのクリエイティブを肯定する、そんな映画。ものを創ることの苦悩、楽しさ、快感。音楽と光の使い方(体育館のシーンでの光にはうっとりさせられた)も巧かった。年齢>>続きを読む

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)

4.5

なんて美しい映画なんだ...
鑑賞後、暫く放心状態になってしまった。冬の光が温かい映像として3人を映す。なんという多幸感。スケート描写も素晴らしく、カメラも繊細。中盤までずっと泣いていた。野球を放棄し
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トラップ(2024年製作の映画)

4.3

とにかく超楽しくて、超変な映画だった。設定自体はよくある脱出ものなのに、シャマラン・エッセンスで超面白い仕上がりに。キャラクター設定など脚本もしっかりしてる。35mmで撮った画がキマりすぎてるのも最高>>続きを読む

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

3.3

作風は『アルプススタンドのはしの方』と近かったが、断然こちらの方が好きだった。自らが女性であることに向き合い、苦悩し、そして答えを出すことができない。真摯に描いているな、と思う。が、乱雑している。あと>>続きを読む

きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.3

ホラーというかゲームムービーに近いかも。後半はかなり斬新でずっと予想の裏切りをしてて意外と楽しめた。映像だったりは、わざと雑にしてる印象(その方がこの映画にはハマるから)。とにかくストーリー構成のおか>>続きを読む

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

4.2

素晴らしかった。ずっと笑ってた。エリック・ロメールとかホン・サンスとか好きな人に観てもらいたい。そして、その系譜にあり今泉力哉のようなポップさ。登場人物もみんなチャーミングでどこか憎めない。余談がひた>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.8

ルカ・グァダニーノ最高傑作では?個人的にはベスト・グァダニーノ・ムーヴィー!
テニスを軸とした男女の三角関係をこんなに面白く撮ることができる力。時系列も分解して、それぞれの感情も不明。とにかく本能で行
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

下劣で卑猥で痛快で最高!搾取され、世界に絶望したエマストーン(素晴らしい演技力!)が冒険を通して、自由意思、性の快楽、知性を獲得し、男たちを拒絶していく圧巻のフェミニズム映画。狂気的なカメラワーク、へ>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

2.0

びっくりするくらい面白くなかった。脚本と設定が酷すぎる。学生映画じゃないんだから...特定のイデオロギーから作られた映画は本当に観るに耐えない。仮に思想的には自身と同じであっても、だ。野暮な台詞や説明>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

2.0

日本社会における公的なサービスの希薄さを痛感させられた。刑事の加害に対する周りのリアクションの描き方はもう少し考え直してほしい。彼を美化することは非常に危険だと思う。社会派ドラマという点でどうしても、>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.3

とにかく清原果が凄い。スクリーンに映るだけで眩い光を放つ。もはや恋に似た感情を抱いていた。天才だとしか言いようがない。内容はベッタベッタの青春ドラマ。ピュアすぎてキツかった感はあるけど、良く言えば爽や>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.4

頭を殴られた感覚。終始、死の匂いと不穏な空気がスクリーンから漂う。美しい自然を捉える長回しもどこか不気味に見える。印象的な台詞やコミュニケーション。芸能事務所側への見方が変わる車中の会話。厳かな石橋英>>続きを読む

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

4.6

黒沢清やりたい放題(セルフオマージュも感じさせる)の怪作。中盤から怒涛の展開で一気に面白くなる。古川琴音が黒沢清の作風とハマりすぎてて最高だった。工場の作りを上手く利用した銃撃戦もワクワクしながら観て>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.9

他愛のないコミュケーションから物語が、世界が広く大きくなる。会話にリズムがあり、ビートがあり、ユーモアがあり、エロい。コミュケーションが、言葉が持つ力を思い知らさられた。個人的な好みは第3話(大傑作!>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.9

"Everything gonna be fine..
消費社会が進む現代において、暴力(決して肯定はしていない)を通じて自身の内面、身体、肉体へ。単なるマッチョイズムじゃないところもGood。一切の
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あの日々の話(2018年製作の映画)

5.0

大学生が過ごすオールのカラオケ2次会。ただ、それだけの話。それがなんで愛おしいんだ。きっと朝なんてやって来ない、来てほしくない。不毛な会話、交錯する人間模様、幼稚な男ノリ、たくさんの笑いと少しの涙。大>>続きを読む

Chime(2024年製作の映画)

4.4

ひたすら怖かった。ずっと不穏で不快な雑音が耳に残っている。この映画の怖いところは(言うまでもなく)不穏な空気感と料理教室で講師をする松岡が狂った人間でないこと。自分も突如として暴力を振るう衝動に駆られ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

社会に隣人に寄り添う暖かさ、16mmフィルムが提える光の暖かさ、とにかく温もりを感じる映画だった。外にはわからない問題を抱える2人が少し助け合い、少し分かりあう。松村北斗が自転車で坂を下るシーン、あぁ>>続きを読む

7月の物語(2017年製作の映画)

3.9

ある夏の映画。他愛のない日常からドラマが静かに動き出す。第一部が特に面白い。色々あったが(それでいて大したことは起きてない) ラストは電車で隣同士に座る彼女たち。微量の変化でも美しい。第二部は、突如襲>>続きを読む

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.2

緩やかな起伏の地形にある多摩ニュータウンのサウンドスケープと三人の女性たちの一日(そして、彼女たちが微かに交錯する様子)を描く。この街の生活音とそこに確かに存在する人々の会話を録る。そう、これは音の映>>続きを読む

魚座どうし(2020年製作の映画)

4.0

精神が不安定な母と暮らす少女と、母親がのめり込む新興宗教の勧誘を手伝う少年。2人が居場所を失っていく様を交互に描いた作品。とにかく大人が怖い。こころが壊れてしまった母親、ヒステリックに怒鳴る担任、恐喝>>続きを読む

ラストマイル(2024年製作の映画)

3.5

言うまでもなくAmazonを舞台とした映画。
Amazon の物流センターで殆どの物語が進むのは斬新。大量の荷物が置かれる倉庫というのは映像から圧迫感が痛いほど伝わる。グローバル資本主義に人が搾取され
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きみの色(2024年製作の映画)

2.9

回収されてない問題が多すぎる。と、物語に繋がってこない余計な設定も多い。廃教会でバンドの練習をするのはとてもエモーショナル。相対性理論が歌ってそうな「水金地火木土天アーメン」というフレーズがずっと頭に>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.9

人はどうして祈り、どうして信じるのか?
冬の光と雪景色の実景がとにかく素晴らしい。信仰という主題であっても作者のイデオロギーが出てこないのは非常に良いが、キリスト教を道具として用いた感じは否めない。独
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ツイスターズ(2024年製作の映画)

4.6

現代的かつ正当なるハリウッド映画。やっぱり映画なんてものは、いかに観客を興奮させるか(アクションの快楽!!)というのが大事なのかを思い知らされる。35mmフィルムの大作映画なんて珍しいが、非常に効果的>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.6

ベッドから転がり落ちて爆笑する石橋静河、3人で行くコンビニへの買い出し、3人での宅飲み、長尺で撮られるリアルなクラブシーン(OMSBと Hi'specの登場も!)石橋静河の歌う「オリヴィアを聴きながら>>続きを読む

あみこ(2017年製作の映画)

3.2

田舎で鬱屈した青春を過ごしてる彼女がレディオへッドを知っていた彼に片想いし、拗らせて暴走する気持ちは理解できる。自分はレディオヘッドこそ大好きだったものの鬱屈した青春を過ごしてた人間ではないのでノれず>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

3.6

石原さとみが凄すぎる。こんな彼女は観たことがない!子供を失くした母親の複雑な心理を見事に演じきるこのどうしようもなく狂った冷たい世界にも確かに存在する人の善性。奇跡の虹。ありきたりな演出であってもこの>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.5

冒頭の長回しからの河合優実へのズーム、あそこがこの映画のピークだったかも。それ以降もカメラは主人公の心情に寄り添ってるんだけど、、、主人公のキャラクターとしては岡崎京子の漫画の人物のような。河合優実の>>続きを読む