「Final Cut Pro」のStereo Spreadのコントロール
通常、Stereo Spreadはマスタリングに使われます。ステレオベース(空間の感覚)を広げるには、リバーブなどのエフェクトを使用する、信号の位相を変えるといった方法があります。これらの方法は効果的ではありますが、トランジェントレスポンスが発生して、ミックスにおける全体的なサウンドが弱くなってしまうなどの問題が生じがちです。
Stereo Spreadでは、中音域をいくつかの周波数帯域(数は可変)に分け、左チャンネルと右チャンネルに振り分けることによって、ステレオベースを広げます。中音域を左チャンネルに、中音域を右チャンネルにというように、交互に振り分けがなされます。特にモノラル録音の素材にステレオ効果を与える場合、ほとんど違和感のない出力が得られます。
クリップにStereo Spreadエフェクトを追加する方法や、エフェクトのコントロールを表示する方法については、「Final Cut Pro」のクリップにLogicエフェクトを追加するを参照してください。
「Lower Int.」(Lower Intensity)スライダ/フィールド: 低周波数帯でのステレオベースの広がりを設定します。
「Upper Int.」(Upper Intensity)スライダ/フィールド: 高周波数帯でのステレオベースの広がりを設定します。
注記: 「Lower Int.」および「Upper Int.」スライダを設定する際、次の点に注意が必要です。ステレオ効果は主として中・高音域で顕著に表れるため、低音域を左右のスピーカーに分配すると、ミックス全体のエネルギーが大幅に変化する場合があります。したがって、「Lower Int.」パラメータの値は低めに抑え、「Lower Freq.」パラメータの設定を少なくとも300 Hz程度にしてください。
グラフィックディスプレイ: 信号を分割する周波数帯の数と、高周波数帯/低周波数帯のStereo Spreadエフェクトの強度が表示されます。上部セクションの表示が左チャンネル、下部セクションは右チャンネルに対応します。周波数スケールは右に行くほど高くなっています。
「Upper Freq.」/「Lower Freq.」(Upper/Lower Frequency)スライダ/フィールド: ステレオイメージに戻される周波数の上限と下限を設定します。
「Order」ノブ/フィールド: 信号をいくつの周波数帯に分割するかを設定します。通常、ほとんどの作業では8つの周波数帯で十分ですが、最大12の周波数帯まで分割することができます。