Mac用Final Cut ProのVocal Transformerの概要
Vocal Transformerを使えば、ボーカルラインのピッチをトランスポーズしたり、旋律の音程を広げたり狭めたりできます。音程を単一音まで狭め、さらに高低を逆にすることもできます。メロディのピッチをどのように変えても、信号の構成要素(フォルマント)は変わりません。
フォルマントだけをシフトすることができるので、ピッチは変えずにボーカルクリップをミッキーマウスのような声に変えたりすることができます。フォルマントとは、所定の周波数範囲だけ音量が特性的に強調されている部分のことです。これは固定的なもので、ピッチと共に変化することはありません。フォルマントは、その人固有の声質を決める音響要素です。
Vocal Transformerは、強烈な音声変調効果を生み出すのに最適です。モノフォニック信号(モノフォニック音源クリップを含む)について使用すると最高の結果が得られます。ポリフォニックなボイス(合唱を1クリップに収めた場合など)など、コードを伴うクリップには使用できません。
「Pitch」と「Formant」のパラメータの設定
Vocal Transformerの「Pitch」パラメータを使うと、信号のピッチを上下にトランスポーズできます。調整は半音刻みで行われます。入力ピッチは「Pitch Base」フィールド下の縦線で示されます。5度上(「Pitch」を +7に設定)、4度下(「Pitch」を-5に設定)、または1オクターブ上下(「Pitch」を ±12に設定)のトランスポーズが、和声的には最も有用です。
「Pitch」パラメータを調整しても、フォルマントは変わりません。
「Pitch」パラメータは音声の特性ではなくピッチを変更するために使用されます。女声のソプラノについて負のピッチ値を設定すれば、そのシンガーの声の特性を変えずにアルトにすることができます。
フォルマントはシフトしますが、ピッチは保持されます(または、個別に変更してください)。このパラメータに正の値を設定すると、ミッキーマウスのような歌声になります。このパラメータの値を小さくすると、「スター・ウォーズ」のダースベイダーを思わせるサウンドエフェクトを実現できます。
ヒント: 「Pitch」を0、「Mix」を50 %、「Formant」を+1(「Robotize」はオフ)にすると、元の歌い手の横に少し小さな歌い手が並んでいる状態を作り出すことができます。2人の歌い手はほぼ同じ声で合唱します。声のダブリングは非常に効果的で、「Mix」パラメータで簡単にレベルを調整することができます。
「Robotize」モードを使う
「Robotize」をオンにすると、旋律を広げたり狭めたりすることができます。「Tracking」パラメータを使うと、元の音からの離れ具合を調整できます。
「Tracking」スライダおよびフィールドは4つのボタンと連動し、以下の最も便利な値に即座にスライダを設定できます:
「-1」ボタン: スライダを-100 %に設定します。すべての音程が逆になります。
「0」ボタン: スライダを0%に設定します。ボーカルクリップのすべての音が同じピッチで歌われるという面白い結果が得られます。この値を小さくすると、歌われている旋律が話し声のようになります。
「1」ボタン: スライダを100%に設定します。旋律の範囲が維持されます。値が大きくなると旋律が広がり、値が小さくなると旋律が狭まります。
「2」ボタン: スライダを200%に設定します。音程が倍になります。
「Pitch Base」パラメータは、「Tracking」パラメータが基準とするノートのトランスポーズに使います。例えば「Tracking」を0 %にすると、ノート(声)のピッチが「Pitch Base」の値にトランスポーズされます。