気候変動対策への貢献

気候変動対策への貢献 気候変動対策への貢献

当社はTCFDの提言ならびに、京都議定書に代わる2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」に賛同し、気候変動に関連する積極的な情報開示と、削減目標の達成を目指します。また、マテリアリティ(重要課題)として「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」を定め、AIやIoTの活用による電力使用の効率化を進める他、自然エネルギーの普及を通じた豊かな社会を実現していくために、再生可能エネルギーの導入、普及、拡大にも取り組みます。

TCFD提言への対応

TCFD提言への対応

当社は2020年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、TCFDが企業に推奨する「ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標」のフレームワークに沿って、積極的な情報開示とその充実に努めています。

[注]
  1. Task Force on Climate-related Financial Disclosures:2015年に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動が事業に与えるリスクと機会の財務的影響に関する情報開示を企業に推奨する国際的イニシアチブ。

TCFD提言に基づく情報開示(PDF形式:3.00MB/15ページ)

環境負荷データ

気候変動が当社に及ぼすリスクと機会を管理するため、環境負荷データの管理を行っています。
主な目標として、SDGsの達成を目指す2030年までに、事業活動で使用する電力などによる温室効果ガス(スコープ1、2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル2030」とともに、取引先などで排出される温室効果ガス(スコープ3)の排出量も含めた「サプライチェーン排出量」(スコープ1、2、3)を、2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」目標を設定しました。2050年の「ネットゼロ」に向けて、2021年度には基地局電力の50%の実質再エネ化を達成し、2022年度には70%、2023年度は80%と段階的に実質再エネ化を実施し、さらに、基地局以外の全ての自社の施設・設備での使用電力についても、温室効果ガス削減を進めていきます。
エネルギー使用量や温室効果ガス排出量など環境負荷データ開示詳細は「ESGデータブック」をご参照ください。
2023年度のカバレッジは原則として連結売上比率99%になります。

温室効果ガス排出量等検証報告書(PDF形式:2.54MB/3ページ)

エネルギーの管理

当社では、組織全体のエネルギー使用状況を監視・管理・分析し、最適化するためにエネルギー管理を行っています。エネルギー使用量削減計画の立案・実行・評価・改善を繰り返し行うことによって、環境負荷の低減・法令条例への対応などの地球環境や社会への貢献の実現を目指します。

エネルギー使用量削減の取り組みとして、オフィスやネットワークセンター・データセンター等の設備の見直しを行い、エネルギー効率の高い設備への更新や不要な機器の撤去等を促進しています。

エネルギー使用量・
温室効果ガス排出量

項目(単位) 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
電気
使用量(MWh)
1,680,530 2,117,259 2,278,902 2,435,781
うち
再エネ
(MWh)
324,766 631,248 998,571 1,241,828
都市ガス(m³) 4,914,000 3,256,578 3,067,817 507,580
A重油(kl) 198 213 354 202
原単位(通信量当たり電気使用量)
(MWh/Gbps)
1,124 1,084 979 890
[注]
  • 1Gbpsの通信を行う場合の電気使用量
項目(単位) 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
スコープ1、2
(t-CO2)
620,929 708,534 579,919 520,662
原単位(通信量当たり排出量)
(t-CO2/Gbps)
411 359 249 204
[注]
  • 1Gbpsの通信を行う場合に排出される温室効果ガス排出量
項目
(単位)
カテゴリ 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 算出定義
スコープ3
(t-CO2)
3,121,487※1 8,685,602 9,368,649 9,287,493
1. 購入した製品・サービス 340,222 2,715,644 2,916,405 3,061,864 製品・サービスの購入金額に、各製品の調達輸送段階を含む排出係数を乗じて算出
2. 資本財 1,446,099 1,211,839 1,312,591 1,094,719 設備投資額に、資本財の価格当たりの排出係数を乗じて算出
3. スコープ1、2に含まれないエネルギー関連活動 113,432※2 991,026 1,262,619 952,921 使用した電気・熱の使用量に製造過程での燃料調達等に伴う排出係数を乗じ、売電用に外部から電力を調達している場合は、当該電力量に燃料調達時の排出係数を乗じて算出
4. 輸送、配送(上流) 26,481 192,923 147,001 215,315 横持ち輸送、出荷輸送について、輸送費に金額当たりの排出係数を乗じて算出(調達輸送はカテゴリ1に含めて算出)
5. 事業活動から出る廃棄物 837 2,702 1,986 2,937 産業廃棄物重量に、廃棄物種類・処理方法別の排出係数を乗じて算出
6. 出張 4,216 6,149 14,780 23,097 交通費支給額に、交通区分別交通費支給額当たり排出係数を乗じ、宿泊日数に、宿泊数当たり排出係数を乗じ、レンタカーの延べ走行距離に、燃料別最大積載量別燃費の排出係数を乗じて算出
7. 雇用者の通勤 12,634 15,980 17,295 26,095 従業員の延べ通勤距離に、交通区分別の旅客人キロ当たり排出原係数を乗じ、テレワーク時における電力消費量に電力の排出係数を乗じて算出
8. リース資産(上流) 94,282 376,440 428,056 449,889 倉庫およびレンタルオフィスの延べ床面積に、建物用途別・単位面積当たりの排出原係数を乗じ、賃借物件に設置・運用してる通信設備の消費電力量に、電力の排出係数を乗じて算出
9. 輸送、配送(下流) 603,376 716,763 678,913 627,508 出荷輸送について、輸送費に金額当たりの排出係数を乗じて算出
10. 販売した製品の加工 0 0 0 (算出対象外)
11. 販売した製品の使用 449,008 2,275,537 2,397,972 2,559,800 販売・レンタルした製品の台数に、各製品の生涯電力消費量と電力の排出係数を乗じて算出
12. 販売した製品の廃棄 762 148,668 160,830 181,231 販売した製品の延べ重量に、廃棄物種類別の排出係数を乗じて算出
13. リース資産(下流) 48 961 67,688 レンタルした製品の台数に、電力消費量と電力の排出係数を乗じて年間排出量を算出
14. フランチャイズ 30,138 31,883 29,242 24,429 フランチャイズ店舗の延べ床面積に、建物用途別・単位面積当たりの排出係数を乗じて算出
15. 投資 0 0 0 (算出対象外)
[注]
  • ※1
    2020年度の温室効果ガス排出量(スコープ3)はカバレッジが異なる
  • ※2
    スコープ2に含まれないエネルギー関連活動
  • 第三者検証を取得しています。(ISO14064-3に基づく限定的保証水準)

温室効果ガス排出量削減
に関する中長期計画

項目
(単位)
バウン
ダリ
カバ
レッジ
計画
2024
年度
2025
年度
2026
年度
2027
年度
2028
年度
2030
年度
スコープ1、2合計(t-CO2) ソフトバンク+
主な子会社
100% 520,000 506,000 482,000 457,000 433,000 0

主な取り組み

気候変動の緩和

ネットゼロへの取り組み

ソフトバンクのネットゼロ~温室効果ガス排出量をサプライチェーン全体で実質ゼロへ。~

当社は、サプライチェーン全体で排出される温室効果ガス(スコープ1、2、3)の排出量を2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現に取り組んでいます。

ソフトバンクのネットゼロ

基地局電力の再エネ化

移動体通信事業を主力事業とする当社の電力の約半分は、全国の基地局で使用されています。
2022年度には基地局電力の70%、2023年度は80%以上の実質再エネ化を実施。2024年度には90%にする計画であり段階的に再エネ化を実施し、温室効果ガス削減を進めていきます。

ソフトバンクの基地局に再生可能エネルギーを供給

グループ企業の取り組み

LINEヤフー株式会社は、グループ全社の事業活動での温室効果ガス(GHG)排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を発表しました。2022年6月には、事業活動で使用する電力の100%再生可能エネルギー化を宣言する国際イニシアチブ「RE100」に参加いたしました。

カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ(PDF形式:160KB/1ページ)

社員による植林活動

倉本 聰氏主宰「NPO法人 CCC富良野自然塾」のご協力の下、社員を対象に「親と子の健全な関係作り」「環境・自然を考える」をテーマにしたオリジナルプログラム「夏休み親子自然塾」を開催しています。
2007年の開始からこれまで総勢250名以上の親子が参加し、ゴルフ場跡地に植林し、元の森に還す未来へつなげる活動などを行っています。

スマート林業の研究開発

森林総合研究所と共同し、4足歩行ロボット活用によるスマート林業の実現に向けて実証実験を開始しました。
日本の林業の高齢化、労働力不足、価格競争力不足等による木材の国内需給率低下や、それに伴う森林のCO2吸収量の低減による環境への悪影響などの課題解決に向け取り組んでいきます。

スマート林業の実現に向けて、電動四足歩行ロボットを荷物の運搬などに活用するための実証実験を実施

外部評価

CDP気候変動2023「A-」評価

CDP気候変動2023「A-」評価

世界の主要な企業・都市の環境評価を実施する国際的な非営利団体CDP(本部:英国 ロンドン)から、気候変動への戦略および対応が評価され4年連続して「A-」の評価を受けました。

また、サプライチェーン全体での気候変動対策の取り組みが評価され、最高評価である「リーダー・ボード」に3年連続で選定されました。

国際的気候変動イニシアチブ「SBT」認定

国際的気候変動イニシアチブ「SBT」認定

2030年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル2030」で掲げる短期目標と、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」で掲げる長期目標が国際的気候変動イニシアチブのSBTi(Science Based Targets initiative)によって科学的根拠に基づいた「SBT(Science Based Targets)」に認定されました。

脱炭素経営ランキング GX500

日本経済新聞社が有力企業500社の脱炭素の取り組みについてランク付けした「脱炭素経営ランキング GX500」の2023年版において、当社は最も高い評価を獲得しています。

第2回ソトコトSDGsアワード2022

テクノロジーを通じたSDGsへの貢献、特に気候変動対応やサーキュラーエコノミー(循環型社会)といった地球環境問題への取り組みが評価され、特別賞を受賞しました。

テクノロジーを通じて地球環境への貢献を。「第2回ソトコトSDGsアワード2022」で特別賞を受賞

気候変動への適応

大型化する災害への対応

近年大型化する災害に対し、インフラを担う通信事業者としての責任を果たすため、「質の高い社会インフラの構築」をマテリアリティに設定し、災害時の通信インフラ保持のために日ごろから対策を行っています。

BCP対策の実施

温室効果ガス排出量の削減

当社が入居する本社ビルでは、エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)や東京都環境確保条例の趣旨を踏まえて、電灯照度の適正調整や、空調稼働時間の合理化をはじめとするさまざまな省電力化を推進しています。

さらに本社ビルおよび大規模ネットワークセンター・データセンターでは、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得し、消費電力量の削減に積極的に取り組んでいます。基地局およびネットワークセンターの空調設備の設定温度を、設備が正常に稼働できる範囲で最適化したり、省エネルギーのトップランナー設備を積極的に採用して、老朽化・陳腐化した設備のエネルギー使用の効率化を推進するため計画的な更新を行うことで、効率的な省エネ施策の策定を進めています。特にデータセンターでは、熱流解析の可視化や局所型空調の実施などにより、消費電力の削減効果を得ています。

CO2排出量の削減

エコICTマークの取得

エコICTマークの取得

「ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会」の趣旨に賛同し、エコICTマークを取得しています。エコICTマークは、協議会が定める一定の基準に達した企業に与えられるもので、CO2排出削減に着目した装置やサービスの「調達基準」を策定するなど、電気通信事業者としてCO2排出削減の取り組みを自己評価し、取得しました。

電気通信事業者による
CO2排出削減の取り組み
自己評価チェックリスト

「電気通信事業者等によるCO2排出削減の取り組み 自己評価チェックリスト」を元に実施の有無や取り組み内容を公表しています。

必須項目
環境自主行動計画の作成など
評価項目 実施の有無・取り組みの内容
CO2排出削減を目的とした各種取り組みを記載した環境自主行動計画を策定・運用しているか 環境の維持・保全に取り組むための環境行動指針を制定するとともに、温室効果ガス排出量削減やペーパーレスの推進、産業廃棄物の適正処理、グリーン調達や環境教育の実施などについて環境目標を設定し、全社で取り組んでいます。
環境自主行動計画に、CO2排出削減を目的とした各種数値目標を記載した具体的な取り組みを盛り込んでいるか 環境目標として、温室効果ガス排出量削減のための数値目標を設定し、全社で取り組んでいます。
環境自主行動計画を社内外に公表するとともに、社員への周知・啓発活動を行い、環境意識向上に努めているか 環境行動指針および環境目標を当ウェブサイトにて公表しています。
また、社員に対しては、社内イントラネットのCSRページに掲載するとともに、定期的なeラーニングや環境意識啓発情報展開の実施などにより、社員一人一人の意識向上に努めています。
環境自主行動計画に記載した各種取り組みの実施状況・達成状況を一般に公開しているか 当サイトの「サステナビリティ>ESGの取り組み>環境」にて、環境への取り組みについて公開しています。
調達に関する取り組み
評価項目 実施の有無・取り組みの内容
ICT機器、データセンターについて、省エネを勘案した調達基準を作成し、それに沿った調達を行っているか CO2排出量削減の促進に寄与する製品の導入を推進するため、お取引先の皆さまに対してグリーン調達における基本的な考え方を示す「グリーン調達ガイドライン」を制定し、ガイドラインに沿った調達活動を実施しています。
オフィスで利用する事務機器、物品、物流について、グリーン購入など省エネに配慮した調達を行っているか 文房具類について、グリーン購入法適合商品など、環境負荷の少ない製品の購入を促進しています。
推進体制
評価項目 実施の有無・取り組みの内容
CO2排出削減の取り組みについて、担当部署もしくは担当者を設けているか CSR本部が事務局となり、全社で温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。
環境自主行動計画に掲げた目標等の実施状況・達成状況について、適切に把握するとともに内部監査等を行う体制をとっているか ISO14001の認証を取得し、そのプロセスに従い、環境目標の作成と適宜見直し、実施状況・達成状況の確認、および内部監査を実施しています。このような環境マネジメントシステムのPDCAサイクルが適切に実行されるための体制を整備しています。
任意項目
その他の環境対策の取り組み
評価項目 実施の有無・取り組みの内容
省エネの取り組み以外に環境に配慮した取り組みを行っているか 使用済み携帯電話のリサイクル率向上の促進や、携帯電話の包装箱・同梱紙資源使用量の削減、通信設備や建築廃材の廃棄物量削減など、積極的に取り組んでいます。
地域社会と連携した環境保全の活動を行っているか 年間2日の「ボランティア休暇」を付与しており、毎年複数の社員がこの制度を利用して植樹や清掃活動など、地域社会と連携したさまざまな環境保全活動に参加しています。

データセンターにおける
エネルギー効率の改善

データセンターにおけるエネルギー効率の改善

LINEヤフー株式会社と株式会社IDCフロンティアでは、下記のデータセンターにおいて、エネルギー効率の改善に取り組んでいます。北九州データセンター(福岡県北九州市)は、大規模な商用データセンターとして日本で初めて外気空調を採用した環境対応型データセンターです。高密度化が進むサーバー運用と空調効率を最適化することで、省エネルギーを実現しました。

また、福島県白河市の「白河データセンター」では、冷涼な気候と北九州データセンターの運用経験から得た高度なノウハウを生かし、サーバーから出る排熱を処理するために、建屋への直接外気導入が可能な建築機能と空調機能を融合した建物一体型の外気空調システムを導入しました。これにより年間空調負荷の90%以上を冷涼な外気を取り込み運用しています。

2018年に竣工した最新の5号棟では外気と水冷および空冷のハイブリッド空調を組み合わせたシステムを採用し、PUEは設計値で約1.2となる高い冷却効率を見込んでいます。

加えて、エネルギー管理装置によるエネルギー分析を導入して省エネ効果を検証し、より一層の省エネ継続・推進を図っていきます。

環境への取り組み(株式会社IDCフロンティア)

[注]
  • Power Usage Effectiveness
    データセンターのエネルギー効率を示す指標の一つで、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で算出。日本における一般的なデータセンターのPUE値は2.0以下と言われている。

環境負荷の少ない
通信インフラの実現

当社は、上空から通信ネットワークを提供するシステム「HAPS(High Altitude Platform Station)」を構築し、成層圏を飛行し続ける無人航空機「Sunglider」を開発しました。太陽光発電や蓄電技術の発展により、安定的な飛行と通信サービスを提供することで、環境負荷の少ないインフラの実現を目指しています。

成層圏通信プラットフォーム「HAPS」

次世代電池の開発を通じた
環境負荷軽減

次世代電池の開発・実用化に向けた研究開発を通じた環境負荷軽減に取り組んでいます。デバイスの進化による電力の消費が増え、CO2排出量の増加につながっています。デバイスに搭載される電池を高容量化、高エネルギー密度化することでデバイスや機器のパフォーマンスを向上・効率化し、環境への負荷を軽減することができます。また、2021年6月に「ソフトバンク次世代電池Lab.(ラボ)」を設立。同ラボにて世界中のさまざまな次世代電池の評価・検証を行っており、2021年10月には米国Enpower Greentech社と共同で、質量エネルギー密度が従来の電池比で約2倍以上(520Wh/kg級)となる、軽量かつ高容量な質量エネルギー密度の高いリチウム金属電池の実証に成功しています。

今後、研究開発や早期実用化を推進することで、次世代電池の開発を促進するプラットフォームになることを目指しています。

「ソフトバンク次世代電池Lab.」を設立

再生可能エネルギーの
普及・拡大

東日本大震災による被害や東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、エネルギー需要や節電対策などへの関心が高まり、東日本のみならず日本全体の国民生活に大きな影響を与えました。当社では、エネルギー問題を日本全体の課題と捉え、安心・安全な自然エネルギーの普及・拡大を図ることが解決策の一つであると考えています。

再生可能エネルギーの普及・拡大

当社 創業者 取締役であり、親会社ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役 会長兼社長執行役員を事務局長とし、全国の道府県で構成する「自然エネルギー協議会」と、政令指定都市で構成する「指定都市 自然エネルギー協議会」を設立し、ソフトバンクグループ株式会社を両協議会の事務局として活動を開始しました。当社は準会員として全国34道府県、20都市の自治体と共に、自然エネルギーの普及促進に向けて、政策提言や情報共有を行っています。

当社は、地球温暖化による気候変動対策および防災対策としての自然エネルギー推進に関する政策を支持しており、2022年には環境省、経済産業省に対し、脱炭素社会実現に向けた機動的な財政支出の推進について、2050年カーボンニュートラルの実現のための予算措置、カーボンプライシングの導入などの政策提言を行いました。

そのほか、埼玉県戸田市にあるネットワークセンターでは、年間約1万kWhの発電能力を持つソーラーパネルの設置や、ソーラーパネルを備えた無線基地局(通称「エコ基地局」)を設置しています。天候良好時には基地局稼働に必要なエネルギーを全て太陽光発電で賄うことが可能です。

環境に優しい
電力サービスの提供

自然エネルギー普及の取り組み

環境にやさしい電力サービスの提供

当社とSBパワー株式会社は、実質的に再生可能エネルギー比率100%・CO2排出量ゼロ※1の家庭向け料金メニュー「自然でんき」を北海道、東北、東京、中部、関西、中国、四国、九州の各電力エリアで提供しています。あわせて、SBパワーが「自然でんき」1契約につき50円/月を拠出し、森林保全団体への活動を支援※2しています。2022年度は、「自然でんき」の提供を通じて、年間でCO2排出量約3.8万tの削減効果を生み出しました。

また、企業や自治体において加速する脱炭素化の流れに応えるため、法人向け電力サービス「ソフトバンクでんき for Biz 環境オプション」では、2021年2月より環境負荷の低いオプションサービスを提供しています。2022年度は「ソフトバンクでんき for Biz」の提供を通じて、年間でCO2排出量約5,500t-CO2の削減効果を生み出しました。

当社とSBパワーは、今後も再生可能エネルギーを実質的に活用する電力サービスを提供することで、環境に優しい社会の実現に貢献していきます。

自然でんき
高圧電力サービス(ソフトバンクでんき for Biz 高圧)

[注]
  1. ※1
    お客さまへ供給する電気に、再生可能エネルギー指定の非化石証書を組み合わせることで、再生可能エネルギー比率100%かつCO2排出量ゼロの電気の供給を実質的に実現。
  2. ※2
    経済産業省、環境省および農林水産省が運営する「J‐クレジット」認証事業を行う団体への寄付。

シェアリングエコノミーの推進

当社のグループ会社であるOpenStreet株式会社は、モビリティを所有せずに移動手段として利用できる環境に優しいシェアモビリティサービスを提供しています。
シェアサイクリングプラットフォーム「HELLO CYCLING」とマルチモビリティシェアサービス「HELLO MOBILITY」により、自転車・スクーター・超小型EVを一つの拠点から貸し出しできる「マルチモビリティステーション」を各自治体やパートナー企業と連携し展開しています。
これにより、まちの交通利便性の向上を実現する他、各車両に利用する電力の一部を再生可能エネルギー由来の電力で供給し、低炭素社会の実現に貢献します。今後も再生可能エネルギーを利用した電動モビリティの普及を目指し、地球環境と共存する社会の実現に取り組んでいきます。
「HELLO CYCLING」は、2022年6月時点で全国200市区町村、約5,000カ所にステーションを設置、順次拡大中です。

シェアリングエコノミーの推進
シェアリングエコノミーの推進

日本のカーボンニュートラル
達成に向けた
政策提言の
実施と外部団体との協働

脱炭素社会を早期実現し気候変動問題やエネルギー危機を解決するため、気候変動に危機意識を持ち、1.5℃目標の達成を目指す外部パートナーと協働して業界連携や政策提言などを通じて地球温暖化対策を推進します。
なお、加盟する団体における気候変動対策と当社の気候変動対策の整合性を定期的に確認し、団体において対策に一部不足があると考えられる場合には、加盟企業と協働して対策強化に努める他、対策の不足が著しい場合には、当該団体から脱退する可能性を含め検討しています。

当社は、取締役会の諮問機関としてESG推進委員会を2020年3月に設置し、代表取締役社長がESG最高推進責任者に就任し、取締役会の監督の下、気候変動対策をはじめとするサステナビリティ活動全体の最終責任を負っています。
外部団体への所属やロビイングなどの公共政策への関与状況については、ESG推進委員会に報告し、ESG最高推進責任者(代表取締役社長)が最終責任を負うとともに、重要事項については取締役会に報告しています。
また、ESG推進担当役員およびESG推進室長の責任の下、所属する外部団体の活動やロビイングが、パリ協定の理念に沿うものであるかの評価・管理を含め監視しています。

政策提言に向けた活動

生成AIの普及に伴い、大量のデータ処理需要の増加への対応や新たなデジタル社会基盤の構築のために、データセンターの整備が進められています。一方、電力消費の大きなデータセンターの拡大に伴う必要電力の増加は、国際的にも大きな課題とされており、カーボンニュートラルの実現に向け、データセンターを動かすための脱炭素電力の確保やGX推進の必要性が高まっています。

こうした状況に対し、関連省庁主催の有識者会合や基本政策分科会に当社代表取締役社長の宮川が参加し、脱炭素化の実現を前提としたデータセンターの地方分散化と地産地消による脱炭素電力発電確保の必要性について、政策提言を行っており、当社の主張が関連省庁主催の中間取りまとめ報告としても発表されています。引き続き日本のカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現と日本産業の発展に向けて推進していきます。

産学協創プラットフォーム
「ETI-CGC」への参画

東京大学グローバル・コモンズ・センター(CGC)が日本企業有志13社と共に設立した、日本が今世紀半ばまでに脱炭素を達成するための経路と政策を議論する産学協創プラットフォーム「ETI-CGC(Energy Transition InitiativeCenter for Global Commons)」に通信事業者唯一の設立メンバーとして参画しています。
現在、当社が取り組んでいるDXのソリューション提供やデジタルツインなどの事業運営、通信インフラの運用などで得た知見を活用し、ETI-CGCにおける政策提言の取りまとめなどの各種活動に参画し、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするという日本の目標の実現へ向けて貢献します。

今後は、2050年の日本におけるエネルギーシステムをカーボンニュートラル化するためのパスウェイの模索と政策提言のため、ETC(Energy Transitions Commission)と連携し、ETI-CGCメンバーとカーボンニュートラルを達成するエネルギートランジションについてディスカッションを定期的に実施していきます。

気候変動イニシアチブ(Japan Climate Initiative:JCI)
への参加

1.5℃目標の実現に向けて積極的に取り組みを進める日本の非政府アクターのネットワークである、気候変動イニシアチブ(Japan Climate Initiative:JCI)に参加し、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、団体、NGOなどと共に脱炭素社会を推進しています。

日本気候
リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟

持続可能な脱炭素社会の実現を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」に賛助会員として加盟しています。脱炭素社会に向けた取り組みなどの最新動向の把握や、先進的に取り組む企業などとのリレーションの構築などを通して、脱炭素に向けた自社の取り組みを強化し、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

国際イニシアチブ
「RE100」に加盟

世界で影響力のある企業が、自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことをコミットする国際協働イニシアチブ「RE100」に加盟しました。

各業界団体への参加

GSMA グローバルの通信業界団体が加盟するGSMAにおいて、気候変動等の環境課題に取り組むClimate Action Taskforceに参加しています。GSMAは、当社を含む加盟企業に対しSBT(地球温暖化を1.5℃に抑えるための科学的根拠に基づく目標)の設定を促進しています。
TCA

国内電気通信事業者を会員とするTCA(一般社団法人電気通信事業者協会)では、環境部会に参加し、加盟企業と協力して業界団体として気候変動対策や資源循環の取り組みの推進に努めています。

ESG最高推進責任者である代表取締役 社⻑執⾏役員 兼 CEOは、2020年度にTCAの会長およびGSMAのボードメンバーを務めるなど活動推進に貢献しています。

TCAは、2017年に⽇本国内における電気通信業界のカーボンニュートラル行動計画を立て、2020年(フェーズ1)および2030年(フェーズ2)までの環境⽬標(通信量あたりの電力効率改善など)を設定しました。当社は、加盟企業と協働して目標設定等の策定に関わっており、フェーズ1目標である、2020年度の通信量あたり電力効率5倍以上(2013年度比)に関して、省エネ性能に優れた通信機器の導入や効率的な設備構築・運用を推進することにより、6.7倍に改善し目標を達成しました。フェーズ2では、2030年度において10倍以上に改善する目標を設定しています。

気候変動対策の活動・協賛

国民運動「GXリーグ」に参画

国民運動「GXリーグ」に参画

経済産業省が公表した「GXリーグ」に参画し、2050年のカーボンニュートラル実現および経済と環境の好循環の観点から、参画企業群と共に経済社会システム全体の変革や新たな市場の創造に貢献します。

国民運動「COOL CHOICE」に賛同

国民運動「COOL CHOICE」に賛同

環境省が実施する地球温暖化対策のための国民運動「COOL CHOICE」に賛同し、その周知啓発を呼びかけています。

「COOL CHOICE」とは、省エネ・低炭素型の製品・サービス・行動など、温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」を促す国民運動です。

再生可能エネルギーの普及・拡大活動として、実質再生可能エネルギーを活用した「自然でんき」プランを提供するなど、地球温暖化問題の解決に貢献していきます。

自然でんきプラン
COOL CHOICE(環境省)

気候変動キャンペーン「Fun to Share」への参加

気候変動キャンペーン「Fun to Share」への参加

環境省が実施する、豊かな低炭素社会づくりに向けた知恵や技術をみんなで楽しく共有し発信する気候変動キャンペーン「Fun to Share」に賛同しています。低炭素社会実現に向け、オフィス設備および各種業務における継続的な節電・省エネルギー対策の実施や、クールビズ・ウォームビズの推奨をイントラネットで呼びかけるなど、従業員一人一人の節電に対する意識向上と自発的な取り組みを推進しています。

気候変動キャンペーン「Fun to Share」(環境省)

「Green x Digital コンソーシアム」への参画

「Green x Digital コンソーシアム」への参画

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が設立した「Green x Digital コンソーシアム」に参画しています。「Green x Digital コンソーシアム」は、環境関連分野のデジタル化や新たなビジネスモデルの創出等に係る取り組みを通じて、国の産業・社会の全体最適を図ることで、2050年カーボンニュートラルの実現に寄与することを目的としており、ネットゼロの活動を通してその達成に向けて貢献しています。