次に、フローとしての毎年のICT投資額に対し、ICT投資の蓄積から減耗分を控除した各年のICT資本ストックの額を取り上げる。規模感を把握するため、名目値を日米で比較する。(図表1-3-1-11)。
1994年から2015年までのICT資本ストックの推移を名目値で見ると、日本は50.1兆円から53.2兆円へとなっており、1999年以降、横ばい傾向であるのに対し、米国では、増加傾向で0.6兆ドルから1.5兆ドルへ20年間で2.5倍となっている。すなわち、この期間で、米国では新たなICT資本ストックの蓄積が進んできたが、日本ではICT資本ストックの額が横ばいであることから、更改が主体となり、規模の拡大が進まなかったと考えられる。
日本のICT資本ストックに対する米国のICT資本ストックの比率は、1994年は1.2倍であったが、2015年には3.2倍となり(いずれもドル建て換算の場合)、ICT投資額と同様、両国の差が大きく広がっている。(図表1-3-1-11)
ICT資本ストックに対するICT投資の比率(名目)は、日本は2008年までは30%台前半、2010年以降は30%程度で推移しているのに対し、米国は比較期間中いずれの年も日本より比率が高く、米国のほうが、既存のICT資本ストックに対する毎年のICT投資の割合が高くなっている(図表1-3-1-12)。
このICT投資/ICT資本ストック比はICT資本ストックの更改及び蓄積の速さを表す。2015年には、日本では30.5%、米国では37.0%となる。これにより、米国の方が日本よりもICT資本ストックの更改及び蓄積が速いことがわかる。
続いて、日米のGDP/ICT資本ストック比を比較する(図表1-3-1-13)。これはICT資本1ストックあたりが生み出す付加価値を表す。期間中全ての年で米国の値が高く、2015年には、日本は10.0、米国は12.0となっており、日本のICT資本ストックは米国との比較では、付加価値創出効果が小さいことがわかる。